河村たかし新市長への注文
名古屋市長選で、河村たかし氏が当選した。
極めて個性的な候補者で、河村市長が誕生すると、大丈夫だろうかという不安もあるのが、右左を問わず、名古屋市民の実情だった。市長選について話題にした依頼者の多くは、およそバランス感覚のない彼が市長になったらどうなっちゃうんだろうという話になった。
ところが、フタをあけてみれば、記録的得票で圧勝である。名古屋市民は不安感より、市民税10%減税等の彼の斬新な公約に、閉塞感を打ち破るエネルギーにかけたようである(ファシズムの歴史を見るまでもなく、こういうエネルギーは、ときに時代を危うくすることもある。しかし、以下では敢えて、ぶっちゃけこうなっちゃったら仕方がない、河村氏の当選を積極的に受け止める立場で思うところを書く)
僕は、さる集会で河村氏とパネリストとして同席したことがある。集会後に居酒屋で開かれた懇親会までご一緒した。あくは強い人だが、テレビで見るままの人柄で好人物であった。思想では一致しなかったが、およそ彼の思想と違うところでも呼びかけられれば、パネリストとして参加する姿勢は好印象だった。
当選翌朝のテレビ番組で、10%減税を前提にして無駄を洗い直すという手法や、減税額は名古屋市予算の1%にしか当たらないのだという主張に意外な説得力を感じた。
無駄に関して、一つの例を挙げる。名古屋市相手の訴訟がそうだったかどうかは、記憶が曖昧だが、県を相手に訴えた裁判では確実にこんな体験をしている。
裁判期日と言っても、ただの書面交換で終わる期日もある。いやその方が圧倒的に多い。にも拘わらず、被告側の代理人には、お供の公務員が10人くらいやってきて、傍聴席に陣取る。彼らは何をやるでもない。せいぜいメモを取っている程度だ。きっとメモに基づいて、帰ったら報告書を起案して上司の決済を仰ぐのだろう(裁判所は書記官が記録を取る。強調しておくが、記録を取る書記官は一人である)。
原告席はせいぜい2、3人の弁護士だ。膨大な記録があるときなど、原告側の弁護士は、いくつもの風呂敷や大型の旅行鞄に記録を詰め込んで出頭する。膨大な記録は弁護士が自分で机の上に並べる。
対して、大勢のお供を引き連れた被告側代理人は、鞄持ちを公務員にさせ、記録を机に並べるのも公務員がやる。お供のおかげで被告代理人は至れり尽くせるである。
公務員の傍聴にどんな意味があるのか。
この無意味なお供と報告書作成が公務員の労働時間にきちんとカウントされる。しっかりと賃金を払われる訳だ。出張手当すら出ている可能性がある。
私は、至れりつくせりの被告側代理人を見るにつけ、常々、疑問に思っていた。彼らは何のためにぞろぞろと被告側代理人のお供をしているのか。
被告側の代理人は一流の弁護士であるはずだ。わざわざ職員が期日にぞろぞろと出てこなくても、期日後に的確な報告が弁護士からなされるはずだ。弁護士と要点を絞った打ち合わせをすれば、それで十分な筈である。期日に弁護士のお供をする10人近い公務員の賃金は全く無駄に払われていると言っても過言ではないだろう。
こんなのを見せつけられれば、公務員に対する市民の目が厳しくなるのはやむを得ないと思う。
名古屋市相手の裁判のときがどうだったか、確たる記憶がないので申し訳ないが、もし名古屋市も同じ慣行があるのなら、新市長にはこの悪習を直ちにやめさせていただきたい。
河村氏なら、多分、おやりになると思うが、市民から意見を寄せてもらうようにしてもらいたい。手紙、FAX、メール、目安箱など、市長に直接、市民の意見が届くようにしてもらいたい。多数に上るに違いないし、悪意の公務員バッシングもあるだろうから、全てに直接、自分で目を通すことが困難であれば、信頼できる人をそばに置いて、無駄の洗い直しのために有意義な提言には全て目を通していただきたい。そうすれば、総予算の1%程度のカットはむつかしくないだろう。河村氏の意気込みを見ていると本当にそんな気がしてきたから不思議だ。
但し、経費節減というと、真っ先に切られるのが文化予算だったり、福祉予算、教育予算だったりする。現実に、河村氏の減税公約に対して、そうした不安を感じている人もいる。文化、福祉、教育の切り捨ては、衰退への道だ。僕もこれには断固反対する。
新市長さん、僕はあんたに投票せんかったけど、頑張って、名古屋の街をよーしてちょー。
まー、ぎょーさん、公務員が来てくれると、何か、どえりゃー裁判をやっとるような気がして、悪い気はせんかったような覚えもあるけど、やっぱりあかんものはあかん。
国相手の裁判では、もっとひどいのがあった。その話は、いずれまたの機会に。
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