交通事故の話の続き
昨日の日記に書いた交通事故。態様を改めて復習すると以下の通り。
僕が、片側三車線の中央車線を車の流れにしたがって通行中、交差点の近くで、突然、左折車線の車が中央車線に割り込んできて、とっさに急ブレーキをかけて、接触を避けたところへ後ろから、ガーン!である。
この交通事故の過失割合は10対0で、全面的に補償してもらえることになった。僕の過失割合は0である。
信号待ち停車中に追突された場合を除けば、被害者の過失割合が0ということは極めて珍しい。しかし、僕の過失が0であることついて、加害者側の保険会社も含めて、誰からも異議がなかった。
ま、控えめにいえば、僕が弁護士だったから贔屓されたということになりそうであるが、それだけではないと僕は思っている。そうなるにはそうなるなりの経過があった。
衝撃を受けた直後のことだ。僕は、割り込んだ車は当然、路肩に寄せて止まってくれるものと思っていた。
ところが、減速することもなく、どんどん、どんどん進んで行くではないか。
僕はクラクションを鳴らしながら、追跡。
さいわい赤信号になって停車したので、車から降りて近寄り、運転者に窓越しに、路肩に止めるように誘導。まずは、住所・氏名を確認。
「事故届けをする」と告げると、ゴールド免許に傷が付くのがいやだとか、苦労して取った資格があるとか、訳のわからないことをおっしゃる。
僕は、公式な事故処理をしないでこじれた紛争を職業柄、よく見てきた。
「警察が来るまで待とう」と言うと、これから見舞いに病院に行き、その後に大学で講義の予定があるからと言って、早く立ち去りたいご様子。
「僕も10時の裁判はキャンセルにしたのだから、おあいこだ、待とう」
と説得。
さらには、待っている間に駐車違反になると困るというので(彼の車だけは無傷である)、近隣の公営駐車場の守衛さんに掛け合って、警察の調査が終わるまで車を無料で置かせてもらうようにし、ようやく彼が立ち去る口実を封じ込めて、警察を待つ体制になった。
何かと世話が焼ける割り込み車ではあった。
割り込み車の運転者を現場で確保してあった結果、警察も事故直後の現場で三者それぞれから事情聴取することができ、一度に事故の全体像が明らかになった。後日、ばらばらに聞かれようものなら、事故の実体はいたずらに複雑化し、真相は容易に明らかにならなかっただろう。
もし、割り込み車を僕が追っかけ、現場で警察を待つように説得しなければ、僕の供述は、
「いや、とにかく割り込み車があったので、急ブレーキをかけた」
としか言いようがなく、
「そんな車どこにいた」
と言われても後の祭りであった。そんな曖昧な供述では、過失0などということはあり得なかったろう。
別に自分の利益を考えた訳では毛頭ない。
自分の割り込みで、かなりの事故が起きたことがわかりながら、知らぬ振りで逃げ出すのが許せなかっただけだ。その結果が過失割合0である。意図せず自分の利益にもなった。
この話には、まだ後日談がある。

