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2009年5月25日 (月)

良心的裁判員拒否者について 各党は裁判員制度廃止を公約せよ! その6

NHKは5月14日、午後4時頃配信のニュースで、裁判員候補者168人に対してなしたアンケート結果(回答者121人)によれば、「絶対参加したくない」とする人が16%いると伝えた。
一般的な世論調査ではなく、最高裁から具体的に候補者に選ばれ、「呼び出しがあれば、国民の義務として応じなさい」とのお達しを受けた上で、なお、16%の人が「絶対参加したくない」としている各党は裁判員制度廃止を公約せよ! その2)。

自分が裁判員をやりたいかどうかを考えることも司法のあり方を考える上では大切だ。
しかし、それだけでなく現実に裁判員の指名を受けても、人を裁くことには「絶対に参加したくない」とする人がいるのだということについて考えることも大切だ。この問題は人権の本質に関係しているからだ。憲法が人権を保障しているのは、多数決でも奪ってはならない人間の人格の基本に関わる根源的な価値を保護しようとするところにある。
先のNHKの裁判員候補者アンケート結果では「どちらかと言えば参加したくない」という人が42%に上っている。本音は参加したくないという人の合計は58%と過半数を占める。だが、逆にいえば、裁判員に選ばれてしまったのだから仕方がないと思って、しぶしぶ従う人を含めれば、8割の人が結果として裁判員に参加することになる。
このときに「絶対に参加したくない」16%の人を、多数の人が我慢しているのに自分だけ「国民の義務」に反して身勝手なことを言うわがままな奴だと非難するなら、これは、人権という考え方を全く理解していないことになる

(なお、同日、午前にNHKが伝えた、一般の世論調査では本音は参加したくない派の合計は75%、「絶対に参加したくない」は27%だ。具体的に指名された人に対するアンケートでは、これが16%に減少している。一般論として聞かれれば「絶対に参加したくない」と考えていた人が、候補者に選ばれてしまった以上、国民の義務としてやむなく受け容れたという人が相当数いることが想像される。候補者に選ばれた後でも、それでもなお、絶対に参加したくないという人は、相当な覚悟を持って裁判員を拒否する人だと考えるのが相当だろう)。

国会は多数決で政治的に意思決定をする機関だ。裁判所は、たとえ、たった一人を除く国民の全員がよしとすることでも、憲法に違反することや人権を侵害することは許さないことを使命にしている。
「絶対に参加したくない」人の理由が、その人の世界観に関わっているのであれば、それは本来、思想・良心の自由として守られなければならない。いわば良心的裁判員拒否だ。裁判所は、本来、こうした少数者の基本的な人格に関わる権利の最後の守り手でなければならない。

具体的な裁判員候補者が、なお「絶対に参加したくない」と拒むとき、裁判員制度の矛盾が露骨に表れる。少数者の権利である人権の守り手である裁判所が自ら、少数者の権利を侵害しかねない。
この背理をどう考えるのか。
裁判官は、自らの裁判官としての「良心」に照らして、どのように対応するのか。

「すべて裁判官はその良心にしたがい、独立してその職権を行い、この憲法及び法律にのみ拘束される」(憲法76条3項)。
この場合、憲法上、最も問題になる規定は思想・良心の自由を定める19条だ。この自由は絶対的に保障されるとするのが憲法学の定説である。
法律は裁判員法ということになる。この両者の間に少なくとも葛藤が存在することは裁判員制度推進派といえども認めざるを得ないだろう。

「絶対に参加したくない」として裁判員への参加を拒否する人の権利を擁護するのか、あるいは蹂躙してしまうのか。
自らの思想・良心の証として裁判員への参加を拒む人を前に、その人の思想・良心の自由を保障すれば、自らその人を過料の制裁付で引っ張ってきた自分の立場が崩れる。
逆に無理強いすれば、人権擁護の最後の守り手としての自らの立場を放棄することになる。
自縄自縛とはこうしたことを言う。
この一点を考えるだけでも、今回の裁判員制度は、根本的な矛盾を抱えたまま、出発しようとしている言っていいだろう。

ことが、アメリカの陪審制のように国民による権力監視・権力制限に徹底した制度であれば、これほどの葛藤は生じないと思う。
しかし、現在の裁判員法では、この葛藤を無視することは許されない。

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