河村市長への手紙(大森保育園のおひさまを守る会)
名古屋市立大森保育園の日照問題が起きたのは、平成18年10月のことだった。
名古屋市北東のはずれの守山区には珍しい14階建てマンションの計画が持ち上がった。
マンションのために保育園は、午後の日照が大幅に奪われる。
子どもの成長にとって、園庭や園舎の日照は、何物にも代えがたいものだ。
親たちは、マンション建設反対の運動を始めた。
地域の協力も得て、町中にマンション反対の幟が林立した。
僕はひたむきに頑張る親たちの姿が好きだ。
だから、名古屋の保育園の日照運動の多くに付き添ってきた。
付き添うことで、計画自体が撤回された例も経験している。
しかし、このケースの事業主は強硬だった。
結局、平成20年末頃、計画通り14階建てマンションが完成の運びになってしまった。
それでも親たちは諦めなかった。
マンションのために日影になる部分に代えて、屋上園庭の実現を求めて運動を続けた。
平成20年12月、名古屋市の仲介で、屋上園庭(合意書の文言では「屋上広場」)を設けるための費用を事業主が名古屋市に寄付することで合意が成立した。
親たちは喜んだ。大森保育園おひさまを守る会のHPには感謝の言葉がつづられている。
名古屋市は、予算の関係で平成21年度に入らないと寄付は受けられないとしていた。
このため親たちは年度が明けて4月になり、寄付がなされ、屋上園庭ができるのを心待ちにしていた。
この間、親たちが「屋上広場」の内容を見せてほしい、
親や職員の意見も取り入れてよりよいものにしてほしいと言っても、名古屋市は
「入札の秘密」
などを理由にして決して内容を見せようとしなかった。
5月、いよいよ落札業者も決まった。
ようやく、見せてもらった図面は、屋上園庭、「屋上広場」はおろか、わずか25㎡程度(LDKの1部屋並)のオリだった。
名古屋市は、昨年12月には、この程度のものなのに「屋上広場」ができると親たちを喜ばせ、納得させた。
親たちがその内容を知ると、とうてい同意しないだろうから、「屋上広場」の具体的な内容を親たちには決して知らせようとしなかった。
名古屋市は、落札業者も決まって、既成事実になってから初めて「屋上広場」は「広場」と呼ぶのもおこがましい「オリ」程度のものだという中身を明らかにした。
老練な市の官僚にかかれば、善良で疑うことを知らない親たちをごまかすことくらい赤子の手をひねるようなものだった。
既成事実になってしまえば、親たちも、あきらめるだろうという読みだったに違いない。
ところがどっこい、5月、庶民の味方、河村たかし新市長の誕生である。
親たちは、あきらめない。
河村市長に直訴した。
以下は、親たち(足かけ4年にわたる運動で卒園児の親になってしまった)が昨日(6月4日)河村市長に宛てて提出した直訴状である。
この運動に付き添い、親たちのひたむきな姿に接してきた僕としては、河村市長に、是が非でも親たちの願いを叶えてあげてほしいと、心から切に切に願うばかりである。
河村市長ならできる
河村市長様
突然のお手紙の失礼をお許しください。
私は大森保育園のおひさまを守る会、会長の武藤と申します。
大森保育園には、平成14年から6年間、子どもがお世話になりました。
大森保育園の屋上園庭計画について、園庭設置に向けて運動を担ってきた私たち保護者の声を聞かずに、名古屋市が計画を進めようとしています。
7月には着工予定という喫緊の事態は一刻を争う迅速な対応が必要です。
今、それができるのは市長だけです。
ぜひ面会し私たちの声を直接聞いていただきたく、ペンを取りました。
大森保育園は守山区内にある名古屋市立の保育園であり、長きにわたり地域の皆様に見守られながら、多くの子どもたちが健やかに成長してきた保育園です。
ところが、今から2年半前、保育園が冬の午後に日影になってしまうマンション建設計画がわかりました。
私たちは、保育運営課はじめ、建築指導課など行政機関に対しても、名古屋市条例に基づく配慮、改善要請の協力を求めましたが、「中立性」を唱えられ、有効な手立てとっていただけませんでした。
また業者に対しても話し合いを求め、計画の変更、見直しをお願いしましたが、日影に対しては全く聞き入れてもらえませんでした。
私たちは保育園の保護者をはじめ、OB、地域の方々などとともに、大森保育園のおひさまを守る会を結成し、子どもたちの日照を守るため、ビラ配り等さまざまな運動をしました。
幸い地域の方々も、子どもたちが被害を受けることを一緒に心配してくださり、快くのぼりの設置等に協力していただきました。
残念ながらマンションは昨年末に完成し、保育園は日影になってしまいましたが、保護者やOBの粘り強い運動の成果として、冬場に時間的に最後まで長く陽のあたる部分に、0歳から2歳の子どもたちが遊べるようなスペース=屋上園庭を建設するための費用を、業者から名古屋市に寄付するという約束を取り付けました。
名古屋市も構造上問題はないとし、昨年の秋に見積もりを出し、その費用として、606万9000円の寄付を受け取りました。
しかし今、新たな問題に直面しています。
私たちの再三の要求にもかかわらず、名古屋市は屋上園庭の計画を明らかにしてくれず、保護者は不安を抱えていました。
今年の5月になり、屋上園庭の建設業者が決まってから、やっと知ることができ、その狭さにとても驚きました。
その園庭の大きさは5m×5mです。今まで使っていた乳児用園庭が最も日影の被害を受けるところであり、10m×8mあります。
その代替えとして要求し、また十分な空きスペースがあるにもかかわらずです。
保育士さんたちも、これでは子どもたちを遊ばせるのに狭すぎるとがっかりしています。
保育運営課はこの狭さを「金額の問題」と言っています。
しかし、保育機能の保障を最優先とすべきであるのに、なぜ屋上園庭をつくるのに十分な額をマンション業者に求めなかったのでしょうか。
さらに、今回の費用には屋上防水や外階段の設置なども含まれていると聞いています。
屋上の漏水については、以前から問題になっていたことでもあり、名古屋市の責任区分の案件を、なぜ屋上園庭の寄付金から捻出するのか疑問の声も上がっています。
また、昨今の経済推移に伴った建設資材の価格下落が進んでおり、昨年秋に立てた見積もりは更に下げることができるのでは、といった声も上がっています。
したがって、名古屋市が自らの責任を果たし、現在の物価変動を考慮すれば、計画されている屋上園庭よりも大きくて有意義な園庭になる可能性が充分に考えられます。
私たちは、子どもたちがのびのびと過ごせる広い屋上園庭が実現するものと信じてきました。
このままでは606万9000円も使って、十分に子どもたちが遊ぶことのできないようなものが出来上がってしまいます。
マンション業者からの寄付を約束させた合意書は、大森保育園(園長)、大森保育園父母の会(会長)および施工主(㈱中央コーポレーション、のちに丸美産業㈱に地位継承)の3者によって結ばれています。
その当事者である保護者を無視して進める名古屋市のやり方に私たちは怒りを感じています。
名古屋市は保護者に対しきちんとした説明をした上で、納得を得てから工事に着手する必要があると思います。
子どもたちが安全で快適に遊ぶことのできるように、十分な広さに増やし、また保育士さんにとっても使いやすく、衛生管理しやすいものになるよう、屋上園庭をつくるための寄付金を十分生かすための対応を望んでいます。
大変な努力をして約束を取り付けた屋上園庭を無駄にしたくはありません。
保護者の声を無視した計画を止められるのは市長だけです。
ぜひ私たちの声を直接聞いてください。
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