自動車を売ったけれど、名義を変えてもらえない 上
自動車を売ったのに(譲ったのに)、名義が残ったままということで相談があった。
事案は次のようなものだ。
相談者名義の中古車を、身内が中古車屋に売った。
(常から身内が相談者名義の車に乗っていたと言うことだったと思う)ところが、1年近くも経って、自動車重量税の課税通知が相談者のところに来た。
調べたら、中古車屋は倒産している。
同じ場所に中古車屋はあるが、オーナーが代わった。
新しいオーナーは、前のオーナーがやったことで知らないという。
新しいオーナーが店を買ったときには、すでにそんな車はなかったという。
相談者は、県税事務所、陸運事務所、警察から該当の中古車屋の新オーナーや、以前のオーナーの代理人弁護士やら、法テラスやら自治体の無料法律相談やら思いつく限りあらゆる関係者に当たりまくった末、とうとう私のところにたどり着いた。
延々2時間近くにわたって、全ての経過について、話を聞いた。上記の関係先を一巡しただけでなく、2巡近くしているから、話の内容も膨大である。
相談者が聞きたいことの見当は付いている。答えはすぐに出せる。
しかし、こちらは下心がある。ブログの材料に好適だ。
ようやくお話が終わった後、おもむろに参考書をかき集めて、相談者にお答えする。
「直接、運転していなくても人身事故については、自動車損害賠償保障法第3条は、車両保有者に対して、損害賠償責任を認めています。
これを運行供用者責任と言います。
運行供用者に当たるかどうかは、運行利益と運行支配の帰属によって判断されますが、あなたには運行利益も運行支配もありません。
したがって、あなたには運行供用者責任はなく、あなた名義の車両が人身事故を起こしても、あなたには賠償責任はありません。
立証の問題ですが、あなたの一連の行動が、何より、あらゆるところにあなたが運行利益も運行支配もないことの痕跡を残してくれていますから、あなたに運行供用者性がないことの立証も容易です。」
相談者も、こちらが初めから答えを用意していたことは知っていたようだ。しかし、苦労の過程を話しながら、途中で涙ぐんだのを僕は見落とさない。
苦労を人に話すことで、ほぐれていくものが、確実にある。
実際、相談者は、非常に良く努力されていた。
だから、あらゆるところに相談者が車の所有名義だけ残されて困惑していることが記録されている。したがって、運行供用者性がないのである。
天は自ら助くる者を助くである。
いかなる所にいかなる痕跡を残したかは、また、次の機会に。
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