オリコは「金融機関」か?翻弄される司法修習予定者
明日から、臨時国会が開催される。
いうまでもなく、荒れ模様である。
荒れ模様の国会で、極めて不安定な立場に置かれているのが、11月に司法修習が始まる第64期司法修習予定者である。
給費制廃止に反対する運動と民主党政権によって、彼らは給費制廃止の施行延期が決まりそうだとの報道に一縷の期待を抱いていた。
ここに来て大荒れの政治模様に、彼らは、10月4日に修習資金貸与申込の期限が迫り、やむなく貸与申請を出すことを強いられている。
昨日、電話した司法修習予定者は、とても不安そうに、やむなく修習資金の貸与申請書を作成中だっと言っていた。
周りの合格者はみんなそうだという。
先の記事に書いたとおり、結果として貸与制ではなく、「無給研修制」が実施されようとしている。
また、最高裁は、オリコを「金融機関」とみなして、「無給研修制」を強行しようとしている。
繰り返すが、そもそもオリコは最高裁規則がもともと予定した「金融機関」では断じてない。
オリコ自身も自分が「金融機関」などではないことはわきまえている。
最高裁規則違反の疑いすらある。
少なくとも「最高裁の指定する金融機関」という言葉から受けるイメージと、オリコはかけ離れている。
欺罔的ですらある。
このまま施行を強行すれば、必ず将来に大きな禍根を残す。
党派を超えて国会議員に心からお願いする。
今のままでは、給費制の廃止は、あまりにも無理が多い。
臨時国会冒頭、将来の司法を担う有為な若手を失望させないために、まず、いったん「無給研修制」の施行延期を可決してもらいたい。
保証人二人を立てられず、オリコの審査も通らない修習予定者の発生が想定される事態は、まさに「経済的事情から法曹への道を断念する事態」であって、給費制廃止の付帯決議に照らしても、施行を延期すべき正当な事由がある。
保証人2人を立てられず、オリコの審査も通らない者は、現実的にもあり得る。
生活保護家庭だったら、あるいは高齢の両親の年金が国民年金だったら、保証人適格はなく、オリコの審査を通る筈もない。
彼は、法曹への道を断念せざるを得ないだろう。
私の尊敬する弁護士には生活保護家庭出身者がいる。
苦学して弁護士資格を取得した彼は70代になっても、なお社会への恩返しとして、反貧困の運動の最前線にいる。
「無給研修制」は、確実に彼のような高い志を持つ弁護士を排除する仕組みになってしまいるのだ。
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