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2010年9月 4日 (土)

知らなかった!(汗) 検察審査会の目的

検察審査会について、前記事で一部誤解を招く可能性のある記載があったので、急ぎ訂正します。さすがに法律問題で弁護士が勘違いを広めてはいけないですものね。

そもそも検察審査会は、検察の民主化を図るためにGHQによって導入された制度だということで、「公訴権の実行に関し民意を反映させてその適正を図る」ことが目的だそうである(検察審査会法1条)。

私は、検察が不当な不起訴処分をすることがないように、検察権力の行使(不起訴も権力行使の一態様である)を抑制するのが目的であると無前提に考えていた。とりわけ不当な圧力の下で、不起訴処分がなされることがないように公正な起訴権限の行使を担保するための重要な制度だと考えていた(マチベンでも、有力者の介入によって加害者の刑事責任が不当に軽減されていると疑われるケースに当たることはある)。

ところが、検察審査会の目的は、検察の民主化であり、「民意の反映」であるという。となると、強制起訴制度を導入した改正の目的も「民意の反映」の強化ということになる。小沢一郎の起訴が国民の声であれば、起訴相当とする議決は、誠に忠実に民意を反映したもので、検察審査会の本来の目的を如何なく果たす模範例ということになる。

しかし、やっぱりこれはおかしい。くじで選ばれた一握りの市民が一国の政治を左右する決定をするなどということは、憲法が定める統治構造のあり方と全く整合しない。今回のケースは明らかに政治的濫用であり、検察審査会の制度の枠を逸脱している。

ところで、小沢一郎さんは、素人が決めるのはおかしい等と検察審査会制度を批判したようです。でも、民意を反映した強制起訴制度はご自身も賛成してお決めになった制度ですよ。素人が決めるのはおかしいのであれば、検察審査会法改正と同時に成立した裁判員制度も、素人が判決内容を決めるのだから、もっとおかしいし、憲法上の疑義も深いです。裁判員制度の廃止も訴えなければ、一貫性がありませんよ。是非とも、裁判員制度廃止も主張してくださいな。圧倒的多数の国民は、裁判員に選ばれたくないと思っているんだから、少しは国民の人気も上がりますよ。

検察審査会の強制起訴の制度は残すべきでしょう。そのかわり「民意を反映し」等の目的規定は、削除しましょう。少数者の人権問題に直結している司法制度には基本的に民主主義的要素の導入はなじみません。今回のような政治的濫用を防ぐためには、申立人資格を被害者等に限定するという改正で対応すべきでしょう。

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