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2010年10月29日 (金)

被疑者国選 7終(含む1~6)

被疑者は、10月5日に逮捕された。
10月7日、僕が、被疑者国選弁護人に選任された。
法テラスからFAXされた書類の被疑事実(勾留の理由とされた犯罪事実)を一見して、イヤな事件が当たったなと思った。
精神医学的に見て、あるいは器質的に見て、どのような異常があるとこのような犯罪を犯すのか、
知的興味だけでやるしかないな、と覚悟した事件だった。

初めての接見で、「被疑者」は、宮崎なまりがあるからかもしれないけれど、お人好しに見えた。
少なくとも被疑事実との落差は、あまりに大きいと感じた。
自衛隊を定年まで勤め上げ、子ども2人を育て上げ、10年ほど前に妻を亡くした。

「絶対にやっていない。調べればわかることだから、徹底的に調べてほしいと警察に言っている」
と、強く主張する。

弁護人は、半信半疑ではあるが、ひょっとしたら、万が一、「やっていない」という主張は、本当かも知れないと思った。

日弁連は、被疑者国選制度が導入されるのに備えて、被疑者ノートという便利なグッズを作っている。
被疑者が置かれている立場や、今後の手続、供述調書というものの重みと性格、取り調べにどう対応するかなど、事細かに懇切丁寧に説明してある。
このノートに日々の取り調べの状況を克明に記載してもらうことによって、密室の取り調べを可視化しようとするものである。
郵便不正事件の濡れ衣を着せられた厚労省の村木さんもおそらく最初は、このノートから獄中日記を書き始めたのではないかと思う。

「被疑者」は、自衛隊時代に爆音や発砲音のせいで耳が遠くなったと言い、しばしば全く聞こえないようだった。お互いに口と耳をガラスに付けんばかりにして話す。それでもガラス越しの接見は大声になり、留置場の職員にまる聞こえになった。
かと思うと、ふいに雑談はよく通じたりする。(耳が遠いのはホント?)

また、家に残したネコのことを気にするくせに、娘や息子には、こんな罪人扱いの姿は見せられないから、連絡するなと言う。
普通の「被疑者」は、やたら家族に連絡してくれというものだ。
やっぱ、有罪だからじゃないかと思ってしまう。
(後で娘には「お前に怒られると思うと、怖くて言えなかった」と白状したそうだ)

朝は、10時までは毎日寝ている。犯行時間帯には、絶対に寝ていると仕切りに主張するが、一日の生活パターンに照らし合わせても、どうしてそうなるのか説得力がない。

いつ出られるのかという初犯の被疑者なら一番、気にして、必ず尋ねることを尋ねてこない。
無理にでも出してくれと言われるのが常なので、弁護人としては、わがままを言わないだけ、楽と言えば楽だが、見方によっては、有罪だから覚悟しているのか、と見えてしまう。
しかし、どうも自衛隊の過酷な勤務を定年まで勤め上げた人物の腹の据わり方だったようだ。
自衛隊に比べたら、警察のレンジャー部隊なんか遊びだともいう。

とにもかくにも被疑者ノートに毎日の取り調べを記録するようにと言って、「被疑者」を十分に納得させて、被疑者ノートを差し入れた。

被害者の供述に頼る事件の構造に見えたので、虚偽自白をさせられたらアウトだ。繰り返し大声で注意して、必ず書くことを約束させた。

ところが、翌8日に、接見に行っても、書いていないというではないか。

徹底的に調べてくれという割に、大事なことについて、言うことを聞いてくれない。

これはいけない。僕は僕で、何か記録を残さないといけないと考えた。この日には確実にこういうことがあったと動かせぬ証拠を残す必要がある。通常は、報告書を作って、公の機関の確定日付を付ける。公証役場が近ければ、公証役場で確定日付を取ることができる。
また、内容証明を書いても、郵便局の確定日付が付けられるが、いかんせん、困ったことに使っているパソコンが選りに選ってビスタだ。電子内容証明を利用できない。通常の内容証明では、郵便局に行く手間がかかる上に、一枚に書ける文字数があまりにも少ない。
親しい弁護士に毎日のことをメールすることも考えたが、裁判で証拠に出すときに、どういう関係で、外部に情報を流していたか説明するのも面倒だ。
こういうとき、一人事務所は困る。

結局、行き着いたのがブログだった。
はたからは、何をしているのか、わからないが、この日に確実にこんなことがあった。こんなことをこの人から聞いた。それだけでも、残すようにしなければと思って、始めたのがこのシリーズである。

で、今日、一応、決着がついた。
今朝、検事から、今日中に不起訴処分にすると電話があった。
不起訴処分の通知は今日か、遅くとも週明けには、弁護人宛に郵送するということだった。
嫌疑があるが、今回は、裁判にしないという不起訴は起訴猶予という。そうではない不起訴処分だ。その中にも真っ白の「嫌疑なし」と、灰色の「嫌疑不十分」というのがある。どちらかは公式に伝える方法はないというが、聞いている範囲では、確実に、シロだ。
嫌疑なし不起訴。
警察が、早速、「被疑者」に事情説明と詫びに来た。
しっかり者の娘さんがいるので、彼女を同席させ、僕は仕事をしていたが、警察ははっきり誤りを認めた。
と言うわけで、一応、マチベンにとっての被疑者国選の任務は、本日をもって解除、無事除隊である。

それで、多数にわたって煩雑になった被疑者国選を一つにまとめた。

しかし、それでも残る。
「それにしても、なぜ」まだ、わかったようで、わからないままだ。

いずれ、気が向いたら続きを書く。

2010年10月10日 (日)

被疑者国選

僕は、刑事事件はあまり扱わない。
裁判員裁判が導入されて、刑事事件に熱心な弁護士が一斉に動員されてしまった煽りで、やむなく後方の人手不足を補うため、裁判員裁判以外の国選の当番を引き受けることになった。
今回の割当事件は、被疑事実を見る限り、裁判員裁判対象にならない事件の中では、最も重大で、かつ極めて悪質な事件である。
とにかくも、まず接見すると、全く身に覚えがないと、強く訴えられる。
定年まで勤め上げて10年、前科もないという。
必死に訴える様子は、僕には嘘には見えない。
物証に乏しく被害者の供述に頼る危うい構造の事件だ。

無理な自白を強いられないように、取り調べの全面録画・録音を求めることにした。
不起訴に終わればいいが、刑事事件は、それほど甘くはないのが常だ。
証拠は全て捜査側が握っており、弁護人にわかるのは、その一部に過ぎないからだ。

2010年10月12日 (火)

被疑者国選 2

被疑者国選の件、とりあえず、昨日、取り調べの全面録画・録音を求める申入書を出してきた。

一応受け取りの署名だけもらえないかと尋ねると、担当の刑事は、一存では受理を決められないということで、コピーを受け取り、申し入れがあったことは上司に伝えるとのこと。

いまだ先は全く見えず。

ところで、マチベンは、警察が嫌いではない。

日夜、市民の生活を守ってくれていることには篤く感謝している(「アライグマと消防車」参照)。

取り調べの全面可視化については、日弁連が定型書式を用意してくれている。

しかし、マチベンはオリジナルな申入書を作った。

4 供述証拠に頼る捜査が重大な人権侵害を引き起こしてきたことは、志布志事件、氷見事件、足利事件、厚労省元局長事件等において、今や社会の共通認識になるに至っている。
   供述ではなく、地道な捜査により、まず客観的証拠を積み上げて真相に迫るのが捜査の王道であり、弁護人は、そのような伝統は捜査機関の一部には根強く引き継がれているものと信頼したい。

いったん批判キャンペーンが始まると、味噌もクソも一緒くたに批判される。

しかし、マチベンは現場には良心があると信じたいのである。

2010年10月13日 (水)

被疑者国選3

昨日、今日と犯行時刻とされる時間帯に現場周辺へ行ってみた。

今日は、犯行があったとされる日と同じ水曜日。
あらま、警察官が何人も先着している。
同じ曜日の同じ時間帯。現場はどんな状況なのか確認したい。
客観的な裏付けがほしいのは、
マチベンも警察も同じ。
考えることは同じなのね。

さっそく、責任者らしき刑事に名刺を渡す。
もう僕の名前を知っていたみたい。

周囲では、一昨日、お会いした刑事さんとも顔を合わせる。
にこやかに挨拶。

ついでに、一番、目撃している可能性が高い人物と小一時間、お話した。
「見ていない」

どう考えたらいいのか、意味不明な情報もあり。

この2,3日、現場に不審な○があったのを見た。

訳、わかんね。

2010年10月15日 (金)

被疑者国選 4

昨日は、予定があって現場に行けなかった。
今日は、三度、犯行があったとされる時刻に、現場周辺に行く。

○○○が減っているのはどうしてだろう。
そういえば、昨日、検事から電話があった。
○から、検察に対して
「×することは控えてほしいとの連絡があった、
ついては弁護人も×しないようにしてほしい。」
だから、○側が対策を取ったのだろうか。

昨日の電話では、弁護人の意見を聞かれた。
疑問点を伝える。
検事も全く同じ疑問を持っている、
捜査には慎重を期するとのことだった。

目撃している可能性が最も高い人物のところを訪ねる。
また、30分くらい話す。
「そんなことする人には見えん。○さんもそう言っていた」
警察は、まだ、聞き取りに来ていないという。
最も可能性の高い現場証人なのに!
是非、聞き取りをしてほしいので、
了解をとって、警察に名前と電話番号を伝えた。

『不審な○』の謎は解けた。
無関係だった。
捜査線上から消す。

接見に行こうとしたら、突然、法テラスから「被疑者は処分保留で釈放されました」とのFAXが入る。
任務終了につき、11月5日までに報告書を出すようにとのこと。
何のこっちゃ。

あわてて警察に電話。
もう、釈放寸前とのこと。
どういうことか、聞きたくて、刑事に電話。
彼ではなく別の刑事が「おって正式に説明する。今は言えない」
検事から電話があり「今は言えないが、おって正式に説明する」
その他、被疑者に対して伝言を依頼された。

時間を見計らって、被疑者の家を訪ねる。
偶然、ちょうど帰宅した被疑者と会う。
喜んでいる。
警察に対しては怒り心頭だが、
「今日は呑むよ」とのこと。
若干のアドバイスをする。
そんなことは絶対にしませんとのこと。

処分保留ということは、起訴するとも起訴しないとも決めていないということだ。
法テラスから突然、任務解除を指令されても困る。
決着が付くまで見届けたい。

この日記を読んでいる人には、何が何やらわからないだろう。
僕にも何が何やらわからなかった。
だが、推測は正しかったようだ。
「それにしても、なぜ?」 謎は残る。

決着が付くまで書けないこともある。
決着が付いても書けないこともある(ごめんなさい)。

(続く)決着が付くまで

2010年10月16日 (土)

被疑者国選 5

今日は、週末。
現場にも行かなかった。

番外編である。

被疑者は、10月7日に僕が裁判所から国選弁護人に選任されるや
すぐに接見を求めてきた。
やりくりして駆けつけた接見での第1声がネコのことだった。

10年前、道ばたで鳴いている赤ちゃんの捨て猫が
かわいそうで、拾ってきた。
ずっと家の中で飼っている。
逮捕されてもう3日経っている。
食事もないし、水もない。
何とかならないだろうか。

使い走りのような接見依頼は
被疑者国選ができる前、
弁護士会が当番弁護士として任意にやっていた頃からあった。

何とかならないかと言われても、困った。
代わりに飼うわけにもいかない。
独立している被疑者の子に連絡しようかと言っても
こんな犯罪者扱いの姿は絶対に見せられないと固く拒む。
じゃあ、逃がすかと、尋ねる。

結局、被疑者は、「ネコちゃん、かわいそうだけど、いいです」と断念した。

翌日、刑事に面会したときも、
刑事から「こちらからも相談がある」として
持ち出されたのが、ネコの処遇だった。
保健所で処分するのも忍びない。
逃がすのも近所迷惑。
頭を抱えただけで、終わった。

釈放されて良かったこと。
何と、10日間以上の飢餓に耐えて、ネコちゃんは生きていたのだ!! (^。^)

処分保留釈放のおかげで、一つの命が助かった。
現在、マチベンが確実に獲得した成果は、ネコちゃんの命である。

2010年10月22日 (金)

被疑者国選6

本当に怒れた。

今日の警察の振る舞いは何だ。
僕が、優しいマチベンだからと言って、なめんじゃねぇ。

被疑者が処分保留で釈放された日の夕方、
何が何やらわからず、説明を求める僕に、
警察も検察も、「今は何も言えない。おって正式に説明する」と言っていた。

だから、身に覚えのない被疑者が、
怒り心頭で、
警察、検察、裁判官、「被害者」等の責任を追及したいと訴えるのを、
法的手続の決着のためには時間が必要だから、
もう少し待ってほしいとなだめてきた。

警察にも検察にも協力的態度を示して、
抗議の一つもしないできた。
待ってくれと言われたから、待ってやっていた。

昨日、被疑者から電話があった。
偶然、担当刑事と行き会って、「お話したいことがあるので、明日警察へ来てくれないか」と、言われた。

「行ってもいいか」、と。
僕は、「いいんじゃないの」と、軽く答えた。
お人好しのマチベンは、内心、警察は、きっと被疑者本人には、内々に詫びの一つも言っておきたいのだろうと思ったからだ。

一晩、寝たら何だか僕が一緒に行った方がいいような気がしてきた。
被疑者の娘さんに連絡をしたら、娘さんが一緒に行く予定になっていると言っていた。

この娘さんがなかなかの強者である。

今回の被疑者は、勾留中、一度も弱音を吐かなかった。

これほど、腹の据わった被疑者(初犯)を、僕は、初めて見た。

      あぁ、そう言えば、
      私選事件では、不思議に落ち着いた被疑者もいた
      国選の初犯は、ほぼ必ず早く出たいと言う。

しかし、娘さんは親より、もっと筋金入りだと、自分で言っている。

とりあえず、超筋金入りの娘さんに同行してもらえることを確認して、日和ることにした。

弁護士会の委員会に向かう車の中で、突然、被疑者の娘さんから電話があった(ハンズフリー。念のため)。

「調書を取ると言われて、同席を断られた。私だけ、いったん帰るように言われた」、
「帰っていいのか」、
と言う。

とんでもない。
良いわけがない。

すぐに被疑者を連れ戻すように依頼して、結果を電話してもらうように言う。

少し考えたくて、道ばたのファミリーレストランの駐車場で、一息入れる。
委員会が先か、警察が先か。

結局、警察を優先させることにして、警察署へ急行。

車中から警察へ電話。
「すぐに釈放しろ」(身柄を取られた訳ではないので、この言葉は変。でも生々しい)

相手は、何か言っているようだったけど、
「すぐに釈放しろ」
「(電話を切らず)このまま待つから、被疑者に電話を代われ」
「ぐずぐず言わずに被疑者に電話を代われ」
少し待たされる。

被疑者に代わったので、調書を作る必要はないので、すぐ出て、警察署の駐車場で待つように言う。

電話を切って、娘さんの携帯にかけるが、非通知だとやっぱり通じない。

事務所に電話して、事務員から電話してもらう。
「僕も警察に向かっているから、被疑者を連れ戻したら、警察署の駐車場で待っていてほしい」

警察署近くで、弁護士会の同僚委員に車中から電話。
「突発事態で委員会、遅刻します」
(結局、欠席になった)

警察署の駐車場には、被疑者親子が立っていた。
僕は、さすがに興奮していることが、自分でもわかる。
わざと、ゆっくり、駐車させ、動作をゆっくりにして、車内を整理し、たたむ必要のないサイドミラーもたたむ。
気持ちが落ち着く。

経過を確認した上、被疑者、娘、私の3人で、刑事課長に抗議した。

なぜ被疑者を呼び出したのか、なぜ調書を作るのか、なぜ時間がかかると被疑者にも娘にも言ったのか。

刑事課長の言い分は、二転三転する。

のらくら言い逃れをする犯人を怒鳴りたくなる刑事の心境がわかる。

大声を上げたのは一回だけ。

僕は、警察を信頼していた。
今でも、警察が好きだ。
感謝している。
その警察が、「近いうちに正式に説明する」と約束し、

「待ってくれ」と言っていたので、
待っていた。
まさか、弁護人に無断で、取り調べするとは考えもしなかった。
市民が信頼し、善意で接している、それに乗じて、いいように裏切る。

それが警察か!

村木さんの事件や、菅谷さんの事件、志布志事件など、お決まりの事件のことは一言も言わなかった。

僕は、それは一部の逸脱だと信じたいから、そうした事件を引き合いに全部がそうだと言うのはイヤだから。

抗議は、30分以上に及んだろうか。

経過は、娘さんにまとめておいてもらうように依頼して、ある。

その後、整髪料など、被疑者宅から押収した品目の一部を被疑者が返却を受けた。

敵意を持って接すれば、敵意が返ってくる。
善意を持って接すれば、善意が返ってくる確率が圧倒的に高い。
だから、人に接するときは、善意で接した方が、ずっと楽だと僕は思っている。

弁護人という仕事の性格上、警察に対しては、善意を持っては、いけないのだろうか。

僕は、それでも、現場の人を信じたい気持ちが捨てきれない。
へなちょこな弁護人である。

おい、法テラス、マチベンは、国選弁護任務解除、除隊中の身である。

決着が付くまでの弁護費用を持て。

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