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2010年11月17日 (水)

司法修習の給費制廃止に反対する

千葉日報は、11月15日付で
 法律家の卵に「借金の足かせ」   司法修習の給費制廃止
との記事を掲載している。

 今月から司法修習が始まる柏市の黒沢有紀子さん(26)は「法曹になった時点で約600万円の借金は大きな足かせ」と不安を口にする。法科大学院時代に借りた奨学金が、既に300万円ある。学費は高額で、仲間の間ではごく一般的な額。1千万円近い借金を抱える人もいる。大学1年から奨学金をもらっていた友人男性は司法試験に受かったが、借金増額を避けるため修習には申し込まなかった。期間中の生活費をアルバイトで稼いでから修習を受けるという。千葉大法科大学院出身の赤崎愛香さん(28)は公務員の内定もあり、修習に進んで借金を背負うことにためらいを感じた。「中学生のころからなりたかった弁護士でも生活を考えると迷いが出た。経済的に『うちは無理』と夢をあきらめる子供が多くなるのではないか」と訴える。「企業の試用期間のような研修なのにどうして…」「修習義務が不可欠な以上、給与を出すべき」と、修習生の困惑は大きい。

司法修習生の給与制を維持するのに必要な予算は約100億円である。最高裁は司法予算が3200億円程度しかないために100億円をけちろうとして、給費制を廃止、今年から貸与制に切り替えた。

弁護士と並び称される研修医には給与が出ている。(研修に専念させる必要から2004年から完全給与制に移行した)極めて雑ぱくに予算を推計すると1250億円程度が給与として支給されているものと推測される。

方や法律家の研修に必要とされる予算は100億円程度に過ぎない。

弁護士はもうけ主義だから国費で給与まで保障する必要はないと批判されるが、医師ももうけ主義の人も少なくあるまい。その上、医師の方が圧倒的に豊かな家庭の子弟が多い。

研修医には給与、法律家には貸与、この図式は単純に不公平である。

医師と弁護士の違いは、医師は国家試験に合格すれば、医師の資格があるので、給与制になじみ、弁護士は国家試験に合格しただけでは何の資格もない素人なので、給与になじまないということによるもののようだ。

なぜ、同じように国家試験に合格しても一方は資格があり、他方は資格がないのか。必ずしも合理的な根拠があるわけではない。

国家試験に合格した段階で、弁護士の資格を与えれば医師と同じなのである。国家試験に合格した弁護士を「研修弁護士」と呼べばいいだけである。

確かに、「研修弁護士」にそのまま何の監督もなく一人だけで実務をやらせれば、ミスもするだろう(最も、新人弁護士でも事情は同じだが)。飛び抜けて優秀な一握りを除けば、法律家として一人前にやれるだけの技量がないのもそのとおりであろう。「研修弁護士」なのだから当たり前だ。


 ただ、国選弁護などは、「研修弁護士」にやらせれば、お義理でいやいや国選をやっている僕のような弁護士よりよほど熱心に取り組むに違いない。現に僕も、研修中熱心だったのは、刑事弁護と刑事裁判だった。刑事弁護では、僕の起案した極めて悪筆で読みにくい最終弁論をそのまま指導弁護士が法廷で読み上げてくれたし、刑事弁護の講義では、教官も気づいていない被害者証言の矛盾をついて褒められたりした。刑事裁判では、沖縄差別絡みの少年事件で、家裁への逆送を主張して職業裁判官による意見と正面から対立し、僕の意を少し汲んでもらったこともあった。

「研修医」も、だれの監督もなく、一人で診察・治療を行う訳ではあるまい。まさか「医師」の資格があるからといって、研修初日にメスを握らせて手術させる訳でもあるまい。

だから、困難な国家試験に合格したという段階で、研修医と同じく、法律家も十分に「研修弁護士」の資格に値する能力があり、研修期間中の給与を保障すべきことは医師の場合と何らの違いもないのである。

僕が何より心配するのは、金持ちでなければ法律家になれないということより、弁護士になった後に、返済のことをまず第一義において、仕事をしなければならないということである。

弁護士事務所の経営は楽ではない、というか、極めて厳しい、今後業界全体が未曾有の惨状を迎えることが目に見えている。以前にも書いたとおり(「弁護士事務所の台所事情」)、他の弁護士に負けないような武器を備え、宣伝をしようとすれば、法律事務所を構えて独立するには、月間100万円の経費がかかる。これに加えて、ロースクールから司法研修所にかけての借金の返済もしなければならない。

金儲けに走るな、と如何に訓辞を垂れようが、金儲けに走らざるを得ない。

社会正義の実現と基本的人権の擁護はとりあえずは、神棚の奥にしまい込んでおくしかないのである。せめて、ゴミ箱には捨てないでほしいと願うほかない。

一方、最高裁は無駄遣いをしている。裁判員裁判に必要な予算は表に出ている直接予算だけで55億円である。これに裁判員裁判の導入に伴って必要となった職員の超過勤務手当や、無形の裁判官の負担増を合算すれば優に100億円のオーダーになるだろう。さらに、裁判員の精神的なケアだとか、裁判員裁判であるが故に必要となる部分の外国人被告のための同時通訳設備の充実などを考えれば、まだまだ裁判員制度に必要な予算はふくれあがるだろう。他方、検察予算もこれまで全く必要なかったプレゼンテーションの作成費用やそのための時間外勤務手当、裁判員裁判に有能な検察官を割り当てる結果、生じる捜査検事の不足など、犠牲は少なくない。僕のような刑事弁護の不慣れな弁護士がいやいや国選弁護をしなければならないという弁護士会の負担もある。事業仕分けをするなら、真っ先に裁判員裁判を仕分けたらどうか。国民の圧倒的多数が支持することは間違いない。

ついでに全国検察審査協会連合会という趣旨不明の団体も事業仕分けの対象とすべきである。

話が横道にそれた。元に戻す。

最後に、これだけは言っておく。

司法改革路線をつっ走ったのは日弁連執行部である。多くの弁護士の反対を強引に押し切って今の惨状を招いたの責任は日弁連執行部にある。

給費制廃止反対の運動もいかにも遅かったし、そもそも法律家志望者に過大な負担をかけるロースクール制度を熱心に推進する立場を維持しながら、研修所の給費制廃止のみに反対するというのでは、立場として極めて不十分である。

台所事情を気にしながら、仕事をせざるを得ない状態に追い込まれた中堅弁護士としてはまともな給与で新人弁護士を採用するなど、、夢のまた夢である。ボス弁が支給を受けている15万円の手取り給与より高い給与で新人を遇する理由がない。

弁護士増員とロースクール制度を熱心に推進した弁護士に告ぐ。

責任をとって、すべての就職難にある新人弁護士を自らの責任において全て採用せよ。

僕は、怒り、心頭である。

 

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