新年の抱負というほどでもないですが
さる大事件の関係で、昨年は後半だけでも6回韓国に渡った。
弁護士業界ではこれまでは、大事件と言っても、金額のことではなく、その有している社会的意味合いを込めて使われることが多かった。
生活ができる程度の水準の収入は何とか保障されている前提があったので、収入の多少よりも、むしろ採算に関係しない事件を、それぞれの弁護士が、それぞれの使命感に基づいて「大事件」と呼んできた。
この事件もそういう意味で大事件である。
大事件は大抵、不採算であるが、この事件の場合は「反採算」で、全ての旅費は自分持ちである。
3日前に決まって、飛行機を予約し、一泊で帰るというような急ぎの往復であるので、旅費もバカにはならない。
この2年近くは、一緒に行くメンバーはほぼ固定している。
繰り返し長時間をともにするので、それぞれの癖がわかってしまう。
で、同行している仲間から、からかわれるようになった。
僕が、しょっちゅう、捜し物をしていることを、だ。
搭乗手続きは面倒で、パスポートやチケット、搭乗券、携帯物品カードなど、要領よく揃えるのが苦手である。
で、パスポートを探したり、搭乗券がどこかに行ってしまったり、する。
韓国に行っても、財布を捜していたり、地下鉄に乗れば、切符を探していたりで、いつも仲間を待たせることになる。
大体、大事なものほど、どこに仕舞ったのか、わからなくなる。
からかわれている内に、他の人はそれほど整理がよいのかと思って、気づいたことがある。
これまで12年かかってきたこの大事件(2年前までは裁判事件であった)の膨大な資料を実に手際よくまとめていることにである。
およそ、大型の保管庫2個分を優に越す記録がある。
僕の場合は、あれがどこ行ったか、探すだけで半日がかりである。
出てくればいい方で、他のメンバーに頼むことになる。
大抵、たちどころに解決するのである。
(他の事件は、こんなに大量にならないので、事件記録はさすがにちゃんと整理しております。依頼者の方々、ご心配召さぬように)
で、からかわれる度に、「僕は人生の3分の1は捜し物をして過ごしているんだ」と開き直って答えている。
エントロピー増大の法則というのがある。
放置すれば、物はどんどん乱雑になるということで、そういえば、一人事務所の僕の専有領域はだんだん散らかっていくし、散らがる面積も広がっていく。
エントロピーそのものである。
残念ながら、忙しいというのが言い訳にはならないことを僕は熟知している。
弁護士になったばかりの頃に入った集団事務所で、僕の机は、いつもファイルが平積みなって散乱しているのに、一番、忙しい弁護士の机の上がいつも、一番きれいに片付けられていた。
忙しい、は言い訳にならぬのである。
とりあえず今年の抱負は、エントロピー増大の法則に身を任せるのを多少改めて、人生において探す時間を少し節約するため秩序回復作業を行うこととでもしておこう。
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