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2011年2月28日 (月)

日弁連とTPP

TPPに対する日弁連の反応は鈍いようだ。
情報収集すらしているかどうかわからない。

ブログによっては、日弁連はTPPに賛成のようだとすら伝えている。
しかし、何らかの見解が表明されたとは聞いていないから、賛成というのは日弁連の鈍さを見ての一種の推測だろう。

TPPで扱われる非関税障壁問題は極めて幅広い。
「労働」が取り上げられている以上、多分、日本の労働基準法等の労働者保護法のあり方、とくに解雇制限法理が問題にされるのは必至であろうし、登録型派遣の禁止や、製造業派遣の禁止などできなくなる恐れも強い。

韓国の非正規労働者の割合は50%を超えると聞いて、納得する。
あれだけの国際競争をするためには、厳しく人件費を削減せざるを得ないのだ。
国際競争の強化・TPP参加は、間違いなく、労働者の不安定化を招くに違いない。
TPPという枠による外圧だけでなく、国際競争に勝つためという内圧も労働者の権利を奪うのだ。
何度でもいうが、マチベンは一般市民の懐に依存して生活している。労働者が貧しくなるこういうことはマチベンにとっては、死活問題になる。

他方、「紛争解決」分野の非関税障壁の撤廃が議題となっているが、この内容は聞こえてこない。どうも、いくつかのブログを参考にすると、アメリカ人弁護士がその資格で日本の弁護士として活動できるようにする内容が含まれると言われている。

アメリカと日本では法制度が全く違うのだから、想像力が乏しい僕には、見当がつかない事態だが、彼らと日本の多くの弁護士の間には基本的な弁護士観のずれがある。彼らにとてっは、弁護士は本質的にビジネスである。日本の弁護士の相当部分は、弁護士は正義と基本的人権の擁護を使命としてまがりになりにも意識している(いてほしい。弁護士法1条)。弁護士法1条がまずもって、非関税障壁となりかねない。

そう難しく考えなくても彼此の弁護士の間には超えがたい文化の違いがある。また、紛争解決はその国の文化が如実に反映される分野だから、弁護士間の文化の摩擦に止まらず、それが一般市民にも及ぶだろう。日本の弁護士が資本力によって駆逐された暁には、日本の生活文化の変容すら危惧される(事故を起こしても、絶対に謝ってはいけないとか)。

また、アメリカ人弁護士が法廷に出る以上は「裁判所では日本語を使う」(裁判所法74条)との法律は完全な被完全障壁になりそうな気がする。

TPP参加国の内訳で見ても、国際共通語である英語を使うことを決めたとしても抵抗の強い国はそれほど多くなさそうだ。
しかし、日本の弁護士にとっては、死活問題というほかない。
なぜか日本のインテリは概して英語に弱いのである。

そこまで急速に非課税障壁が取り除かれないとしても、アメリカ人弁護士が日本で活動できるとなった場合、監督官庁はどこになるのか。
日弁連が大量に流入するアメリカ人弁護士に対してもその監督・懲戒権を維持し続けるほどの力があると考えるのは愚かだろう(とにかくアメリカと言ったら、ひれ伏す以外にないのが日本の作法なのだから)。
法務省は、ここを先途と弁護士に対する監督・懲戒権を主張するだろう。かくて反権力弁護士が次々と司法省によって資格を奪われた戦前の教訓に学んで制度化され、日弁連が死守するとしてきた弁護士自治も崩壊する。

考えてみれば、彼らにとっては弁護士自治自体が非関税障壁で撤廃の対象になる。日弁連執行部は、それくらいの頭を働かせよ。

TPPについては、農林水産団体はむろん、日本医師会も明確に反対を表明してわかりやすいパンフレットを作っている。また、消費者団体、商工団体からも相次いで反対の声が上がり始めている。

反対・慎重を決議した県議会は40に、市町村議会は1100に上っているという。
全国紙はなべてTPP推進の立場にあるが、TPPを真面目に考えようとする国民の反応はまるで違うのだ。

ここまで国民運動は進展し始めている。
日弁連にとっても死活問題であるはずだ。
早急に自らの立場を明確にしてもらいたい。

そして、国民的な阻止運動の先頭に立つことを強くのぞまずにはいられない。
それでこそ市民・国民に開かれた日弁連と呼ぶにふさわしいだろう。

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追記

TPP24分野?とか呼ばれる分野中、紛争解決は、TPP違反が生じた場合の紛争解決法に関する分野であったので、本ブログの上記部分は誤りである。但し、結論的に、上記した内容が危惧されることには誤りはない。弁護士業務や司法サービスについては、サービス分野としてTPPの対象となり、上記危惧を裏付ける規定は存在している。

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