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2011年2月27日 (日)

「小沢氏、強制起訴」は言葉の誤用だ。

「強制起訴」は今や小沢一郎氏の代名詞になった。

小沢氏に対して仕切りに使われる「強制起訴」の言葉には常々違和感を覚えていた。

たまたまNHKニュースで「強制的に起訴された小沢一郎元代表」というフレーズを聞いて、ようやく違和感の原因がわかった。

これは明らかに小沢一郎氏が強制的に起訴されたことを意味する言い方だ。

しかし、検察審査会の構造から言えば、被告人(小沢氏)が起訴を強制されているのではない。

検察が起訴を強制されるのだ。

検察審査会は不当な検察の不起訴処分を覆して起訴を議決するのだから、強制される相手は不起訴処分をした検察であり、被告人ではない。

起訴をするのが検察でないのは、不起訴にした検察が訴追官では公正を保てないから指定弁護士が代わって検察の職務を行うに過ぎない。

だから「強制的に起訴された小沢氏」なるフレーズは明らかに文法的に間違っている。

公共放送であるNHKにあるまじき間違いである。

同じく「強制起訴された小沢氏」も文法的に誤っている。

「起訴を強制された検察(指定弁護士)によって起訴された小沢氏」

あるいは、「検察が起訴を強制された結果、起訴された小沢氏」と言うのが正しい。

とにかく強制されているのが小沢氏でないことを明確にしなければ、この言葉は誤解を招く。

「証拠が不足することが明らかなのに、平均年齢すら怪しい不可解な検察審査会の議決によって起訴を強制されたために国家賠償の危険を冒しながらしぶしぶ起訴した指定弁護士により被告とされた小沢氏」と少し詳しく説明してもよいだろう。

メディアは、日本語を混乱させる「強制起訴された小沢氏」という言葉を使うのを直ちにやめよ。

誤用を承知の上で、敢えて「強制起訴された小沢氏」を繰り返すのであれば、民衆に独自の起訴権限を認める前近代の民衆裁判を認める確信犯である。

ちなみに、アメリカの大陪審も、検察を離れた起訴権を持っている訳ではないので、念のため。

メディアの意図的な言葉の誤用は、表現の自由、報道の自由を語る以前の問題である。

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コメント

なるほど!の解説ありがとうごさいます。実は私も、この【強制起訴】や【強制的に起訴された小沢氏】というニュース用語はとても違和感と不快感があり、何度かNHKに抗議のメールをしていました。私は素人のため、「起訴は起訴ではないか」「起訴と強制起訴の違いはなんなのか?」「強制的な起訴という概念があるなら、強制的ではない起訴というのがあるのか?(笑)」等とNHKにメールしていました。一度だけNHKから返事があり、『法改正により検察審査会に強制起訴権限が生じた為にこのような用語をしている』旨の回答がありました。私が「これでは小沢氏に一方的に悪い印象を与えることになる」と抗議のメールをしたので、このような回答になったようです。小沢氏側から見ても検察審査会側から見ても『法改正により強制的な起訴になる』から、これで良いんだという内容です。それならばと私はNHKに対して「これまでの検察審査会にはそもそも起訴権限なかっただけで、法の改正により起訴権限が生じただけだから、やはり強制という言葉はおかしい」とメールしましたが、先生のお話しですと、なるほど確に検察を審査する会なんだから、検察に対して起訴せよと言う権限ということに当然なりますよね。強制的という言葉は小沢氏に掛るのではなく、検察に掛るわけですね。更に私は「マスコミ用語には強制という言葉が頭につくものに、強制労働とか強制収容所と言うのがあるが、全体主義的な独裁的な国家の権力の非民主な行使に使用されるのだから、検察審査会は非民主的な組織なのか?また、日本は諸外国からみたら全体主義的な独裁者の国家なのか?」と多少の皮肉と嫌味のメールも添付しました(苦笑)。今のところ回答メールは届いておりません。ブログの更新は何かと大変だとは思いますが、このようなご指摘のブログ更新ありがとうございました。

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