一人歩きする「6~9か月」
報道によれば、東電が工程表を示し、
「原発安定に6~9か月」との収束計画を示したとされる。
第1段階で、3か月以内に確実に原子炉を冷却し、
放射線量を着実に減少傾向に向かわせ、
その後3~6か月以内に原子炉を100度未満の安定状態にして、
放射線量を大幅に抑える(第2段階)との見通しを示したと
報道されている。
イラ菅は、地方選で敗北したからか、
レベル7に該当することが発表されたことがショックだったか知らないが、
その直後に
早く収束時期の見通しを示せと東電に迫った。
(4月14日拙ブログ)
冷却系の再構築のいとぐちも見つかっていない中で、
何を無理な注文を、と思ったが、
やればやれるじゃん、東電さん。
なんて思ったら、大間違いである。
イラ菅に指示されたので、
仕方なしに期間を示した工程表を発表したが、
東電のプレスリリースを見れば、
段階的な工程は、確かにその通りだが、
3か月とか6か月はあくまでも「目安」である。
基本的考え方を踏まえ、「放射線量が着実に減少傾向となっている」ことを、「ステップ1」、「放射性物質の放出が管理され、放射線量が大幅に抑えられている」ことを「ステップ2」とする2つの目標を設定いたします。
なお、目標達成時期について、「ステップ1」は3ヶ月程度、「ステップ2」はステップ1終了後の3~6ヶ月程度を目安として設定いたします。
収束時期の見通しを示せと迫られた東電が
苦し紛れに「目安」を示したに過ぎないとしか見えない。
菅政権の震災対策なかんずく原発事故対策は、
希望的観測に基づいて進めるという点で一貫している。
短期で収束するという前提であるから
組織性も計画性もなく、
住民に避難・屋内待避を指示した。
政府が恰も一時避難と同じように指示したのだから、
住民はこれほど長期化し、
収束の目処も立たない状態が続くとは
思いもよらなかったろう。
その結果、政府は、膨大な地域の
住民をちりぢりにしてしまった。
早い段階から内田樹氏がブログで
長期化を想定して提唱していた
「疎開」的構想に目もくれず、
いつ終わるとも知れない
不安定な避難生活に被災者を追い込んだ。
(3月17日拙ブログ)
今回は、30キロを超える飯舘村をはじめとする住民に
計画的避難を求めざるをえなくなった。
収まらない住民の不満をなだめるために
またも、希望的観測で説得しようとする。
9か月は苦し紛れの「目安」だ。
「目安」通りに進まないときは、
また、東電をしかりつけるつもりか。
それとも9か月経ったときには、
自分は総理でないから知らんということか。
もともと原発は自民党が推進したことだから、
俺は知らぬということか。
それにしても、希望的観測でしかない
東電の「目安」を
既定事実であるかのように
報道するメディアは国営放送か、国営新聞か。
被災者に現実離れした希望的観測を抱かせるのがメディアの役割か。
菅直人よ、希望的観測で、
被災者を振り回すな。
事故収束時期の見通しには、
被災者の生活がかかっている。
現実的な見通しを率直に語った上、
国として責任ある対応をせよ。
それにしても、
鳴り物入りで、にこやかに来日した
原子力立国フランスのアレバのCEOは、
僕の知る限り、来日以来、全く姿を見せない。
すでに出国したという情報もない。
一体、どこで、何をしているのかしらん。
もう一つ、それにしても。
「専門家」は出てこないね。
頭を丸めて出てきて、
まずは謝罪していただいて、
3か月とか6か月とかが、
どれくらい現実性があるのか
今度こそ、きちんと事実に即して解説してほしいものだ。
私なんか、高濃度汚染水6万トンに対して、
鳴り物入りで福島に向かったメガフロートの容量1万トンと聞くと、
東電に現実的な解決策があるとは俄に信じられないのだが
どうだろうか。
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