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2011年8月10日 (水)

東電OL事件の照らす闇 捜査の奇妙

今回の再審関連報道は、被害者の体内の精液のDNAがゴビンダ受刑囚と一致しないことを発端とするものだった。

ところが、被害者の体内に残された精液がゴビンダ受刑囚のものではないことは、裁判では当然の前提とされていた。

この精液は、犯行推定時刻の2時間前に別れたなじみ客の精液とみなされて、審理が進められていたからだ。

だから、このなじみ客のDNAと一致しないとなって初めて問題が発生する構造だった。

マスコミがこの構造を理解していたかわからない。

かなり経ってから、このなじみ客のDNAとも異なる精液であることを伝える報道があった。

こうなれば、はっきりと、未知の第三者の精液が被害者の体内から出、これと同じDNAの体毛が現場に落ちていたということである。

検察が有罪の構図は揺らがないといくら力説しても、説得力を持たない。


本来ゴビンダ受刑囚の無罪を窺わせる数々の証拠がある。

しかしこれらを無視したとしても、現場で、東電OLと性交に及んだのはゴビンダ受刑囚か、第三者か五分五分にしかならないというのが理屈だ。

そして、5分5分は、それだけで無罪である。

これでなぜ有罪の構図が崩れないのか。

東京高裁の有罪判決は、現場にゴビンダ以外の第三者が介在する余地はないとまで断言したのだ。
だからこそ有罪判決なのだ。

それにしても、便器に捨てられていたコンドームの中の精液についてはDNA鑑定を実施し、ゴビンダ被告のものであることが特定されていた。

なぜ、検察は、被害者体内の精液のDNAを鑑定せずに、殺害の2時間ほど前に別れたなじみ客のものと断定したのか。

なじみ客がコンドームを使用しなかったと供述した場合以外に、体内の精液をなじみ客のものと安易に断定する根拠は考えられない。
しかし、果たしてそのような供述が存在したのか。

部外者からは、全くわからない。
しかし、もし万一そうならば、被害者の体内の精液は混合されていなければ理屈が合わなくなる。

しかし、体内の精液は混合などされていない。
なじみ客はコンドームを使用し、未知の第三者がコンドームを使用しなかったとしか考えられない。

なじみ客を聴取すれば、コンドームを使用したと答えたはずだ。

ただそれだけの労をとることを捜査官は怠った。


これほどに基礎的な供述をなぜ固めていなかったのか、捜査の杜撰と言ってすませるだけでよいのか。

あらかじめ界隈のネパール人が犯人だと決めつけて、捜査を進めたのではないか。


あるいは、なじみ客には、コンドームを使わなかったと敢えて虚偽の供述をさせたのか。

そうして、なじみ客の精液と決めつけることで、体内精液から目をそらさせ、DNAを調べず、全く別人の精液が出ることを隠蔽したのか。

そうでなければ、今頃になって、体内精液のDNAを鑑定した結果、なじみ客のものとは別だったなどという間抜けた結論になる理由がわかならい。


見込捜査、もっと言えば、ねらい打ち捜査の恐ろしさである。


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