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2012年4月14日 (土)

正気を失う訳

廃墟と化した国土に立ちつくす人々を励ましたと言われる『リンゴの唄』が、流行し始めたのは、1945年10月頃かららしい。
敗戦から僅かに2ヶ月しか経っていない。
どん底を知った国民が、前を向くまでの時間は驚くほど短かったのだ。


3.11から1年以上を経て、いまだ『リンゴの唄』は流れない。
理由は言うまでもない。
まだ、どん底の実感がない。
足下が揺らぐような不安が続いているからだ。


この不安の実態は、生活不安である。


権力者は、いつだって、真相から目をそらさせようとする。
ここ十余年来、『凶悪犯罪の多発』、『少年犯罪の凶悪化』など、治安に関する事柄は、悪政を隠す格好のネタだった。


真実は、戦後、これほど凶悪犯罪が少なかったことはなく、日本の青少年は、世界的に見て奇形的なほど、凶悪犯罪を犯さないにも拘わらず、こうしたデマ宣伝が容易なのは、足下の生活不安が深刻だからだ。
権力は、生活不安に由来する不安を、いともたやすく、治安の不安にすり替えてみせる。


人々が「ミサイルのかけら(ミサイルの破片)」にあれほど過剰反応をしたのも、詰まるところは、生活不安が根本にある。


行き交うマネーが、格差を拡大して貧困を拡大生産し、人々の生活を著しく不安定にしている。
この実態を直視させず、マネー資本主義と産軍資本主義、そして、これを支える日米同盟を維持するためにデマは絶えず再生産される。


満州事変(1931年)が起きた当時も、世は不景気を極めていた。
不安に怯えていた国民は、関東軍の謀略を鵜呑みにして、満州侵略を熱狂的に支持し、日本は、破滅に至る15年戦争へ向かっていった。


それにしても、今回は、たかだか『ミサイルのかけら』である。
関東軍の謀略より遙かに幼稚なごまかしにどうして、こうも易々とはまりこむのか、生活不安だけでは説明がつかない何かがあるのだろうか。


僕にはよくわからない。

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