田母神先生のミサイル論文再掲
北朝鮮のミサイル(人工衛星)発射にかこつけて、またぞろマスコミが騒いでいる。自衛隊としては、国民世論に押されて日本軍に対する根強い抵抗感がある沖縄に緊急配備訓練をさせていただける訳で、一歩も二歩も機動力を高める機会を与えていただき、何よりめでたい話である。
とにかく北朝鮮は、1998年ミサイルを発射して、日米同盟を励まして周辺事態法の制定を導いたり(1999年)、2009年4月には全国一斉非常事態訓練を励行してくれたりと、わが自衛隊・日米同盟にとっては、ありがたいことこの上ない存在である。
今日は、北朝鮮のありがたさを詳しくお話しする余裕もないので、2009年7月5日のブログに掲載した、田母神大先生のありがたい論文を再掲させていただいて、自衛隊に対する祝賀に代えさせていただくことにします。
出典は、航空自衛隊機関誌「鵬友」平成16年7月号です。
田母神氏は、ここで、「危険の確率を考える」と題して、こう論じています。
「 核ミサイルでない限りミサイルの脅威もたかが知れている。
通常はミサイル1発が運んでくる弾薬量は戦闘機1機に搭載できる弾薬量の10分の1以下である。
1発がどの程度の破壊力を持つのか。航空自衛隊が毎年実施する爆弾破裂実験によれば、地面に激突したミサイルは直径10メートル余、深さ2~3メート ルの穴を造るだけである。
だからミサイルが建物の外で爆発しても鉄筋コンクリートの建物の中にいれば死ぬことはまず無いと思って良い。
1991年の湾岸戦 争でイラクがイスラエルのテルアビヴに対し41発のスカッドミサイルを発射したが、死亡したのはわずかに2名のみであった。
北朝鮮が保有しているミサイル を全て我が国に向けて発射しても、諸々の条件を考慮すれば、日本人が命を落とす確率は、国内で殺人事件により命を落とす確率よりも低いと思う。我が国では 毎年1千200~1千400名の人が殺人事件の犠牲になっている。1日当たり3~4人がテロにより殺害されていることになる。しかし多くの日本人は、日本 は平和で治安の良い国だと思っている。テロの恐怖におののきながら生きているわけではない。しかし北朝鮮のミサイルについては怖いと思っている。ミサイル が着弾すると東京中が火の海になるようなイメージを持っているからだ。決してそんなことはないのであるが。
交通事故に目を向けてみれば、我が国では毎年、交通事故で8千名から1万名くらいの人が死亡する。事故発生から24時間以内に死亡する人を交 通事故による死亡者というのだそうだ。毎日20名から30名の人が亡くなっている。事故発生からの時間を1か月に伸ばすと交通事故が元で亡くなる人はその 2倍にも3倍にもなると聞いている。
それでも交通事故が怖くて道路を通らない人もいないし、車の運転を諦める人もいない。これだけの死亡者がいるにも拘わらず国民には 不安感はない。しかし北朝鮮のミサイルは怖い。だが冷静に考えてみれば北朝鮮のミサイル攻撃により命を落とす確率は交通事故の100分の1以 下だと思う。
だから北朝鮮のミサイルなんかに恐れおののくことはないのだ。いかなる国家政策も100%の安全を保障することは出来ない。交通事故以下の危 険の確率についてはそれほど心配してもしょうがない。これを私は「タモちゃんの交通事故理論」と呼んでいる。」
なお、田母神氏の「危険の確率を考える」の全文は15年戦争資料@wikiでご覧いただけます。
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