再審棄却 若かりし名張弁護団長の想い出
名張毒ぶどう酒事件の再審開始請求事件に関して、自白至上原理主義裁判所は25日、再審開始を認めない決定を下した。
マチベンは、弁護団には加わっていないが、弁護団長S弁護士は僕が26歳で新人デビューした法律事務所の先輩、弁護団事務局長H弁護士は、同じく後輩である。
だから今回の決定はマチベンにとっても他人事ではない。
弁護団長のS弁護士は、初めて再審開始決定が出た7年前も、最高裁が再審開始取消決定を取り消して名古屋高裁に差し戻した2年前も、隠すこともなく感涙にむせぶ姿をテレビで見せていたことを思い出す。
何より義と情に深い弁護団長だ。
もう29年も前、同じ事務所の弁護士が一丸となって取り組んだ弾圧冤罪事件があった。
不当に拘束された被告が3度目の保釈請求で、ようやく釈放されたとき、S弁護士は、被告を迎え出た弁護団から一人離れて、木陰に隠れて、あられもなく泣いていたのを思い出す。本人は隠れて泣いていたつもりだったと思うが、大声で号泣していたのであるから、事務所のみんなはとうに気づいていた。
みな、彼の情の厚さと率直さに感動した。
しかし、そこはそれ、表向きは、そう褒め讃えたりなどしない。体育会系ともいえるようなこの事務所では、先輩たちは、彼の涙もろさを面白がって、からかって遊んでいた(僕は後輩新人だったから、さすがにからかわなかった。と思う…)。
からかった先輩たちも実は、無実の被告が40日ぶりに釈放され、涙ぐんでいた。泣いていなかったと思われるのは、事務所創設者で当時「スーパーマン」と恐れられていたM弁護士くらいだったのではないかと思う。
その涙もろい名張事件弁護団長は、今、怒っている。渾身の力を込めて怒っている。
こういう時、彼は決して泣かない。泣くわけにいくはずもない。
奥西死刑囚が落胆せず、弁護団を信じて闘うと言うのに、弁護士が泣いたり、展望を失うなどできようはずもない。
神は乗り越えられない試練は決して与えない、という。
身近にいるマチベンは奥西死刑囚と弁護団の勝利を固く信じている。
今回の不当違法決定が、最高裁によって、破棄自判され、弁護団長が「男泣き」に号泣する姿を一刻も早く見たいとマチベンは心から思うのである。
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