原発ムラの恐るべき言論統制 「『脅された』と言うなという脅し」
6月12日付のブログで、東電OL殺人事件に関して、「アリバイのあるA」氏の謎について書いた際、「誠実な印象の強い嘉田由紀子滋賀県知事まで、再稼働に同意させられたのは、僕には信じられないできごとだった」と書いた。
その後、嘉田知事は、6月13日の日本外国特派員協会における講演で、「関電や国から脅された」と暴露した。
このことは文字メディアではほとんど無視されたが、何かの拍子にWEBのニュースでは流された(ようだ)。
2012.06.13 17:13「関西電力や国から脅かされた」と滋賀県の嘉田知事が明らかにしました。 滋賀県・嘉田由紀子知事:「関西電力や国、あるいは企業からずいぶんと警告され、本当に停電になったらどうするんだとかなり脅かされました。
『お 前は責任が取れるのか』と」 嘉田知事は13日午後、都内で講演し、関西広域連合が福井県にある大飯原発の再稼働を容認するとも取れる共同声明を出した経緯について明らかにしました。事前に行われた橋下市長らとの話し合いでは、「本当に停電したらどうにもならない」との認識で一致し、苦渋の決断だったこと をうかがわせました。
田中智之弁護士のブログによれば、文字媒体では、唯一、時事通信が「脅かされた」との発言を配信したが、どうもどのメディアも表に出さなかったようだ。
時事通信のこの記事は、大飯原発の再稼働にむけて福井県が行っている意見集約を「原子力ムラが操っている文楽」と呼び、「原子力ムラ」については「産業界と電力会社と研究者と官僚がつながり、実質的には霞ヶ関の官僚が操っている」との発言も紹介している。記者の良心が光る記事だ。
これからを生きる私たちは、どこかのマフィアめいた存在の言論統制が徹底していることを肝に銘じておかなければならない。
嘉田知事の「脅かされた」発言には、「脅かされている」事実を公表しながら、再稼働に同意せずに闘うべきだった等という意見もあったようだが、要するにメディアは、こうした事実を徹底して隠蔽するということなのだ。
闘う術もなかろう。
その上、というべきだろう。
6月17日付京都新聞が伝えるところでは、嘉田知事が「脅かされた」と発言したことについて、発言を不適切だったとして、謝罪をしたという(オタク.コム)。
原発利権の関係者は、言論統制に反した嘉田知事の口封じを図っているとしか考えられない。滋賀県の嘉田由紀子知事は15日、東京都内で13日に行った講演で、大飯原発3、4号機(福井県おおい町)の再稼働に対し、関西広域連合が慎重姿勢 から一部容認に転換したとされる理由として、「関西電力や国、企業から『停電になったらどうするのか』と脅された」と述べたことに、「不適切な発言でおわ びする」と謝罪した。
嘉田知事は13日、日本外国特派員協会で講演し、再稼働に対する姿勢を変化させた理由について、「『(再稼働しなけ れば)電力不足の時に企業や生活が立ちゆかなくなる』と、関電や国、企業からずいぶんと警告され、かなり脅かされた。おまえは責任が取れるのかと」と述べ た。
大津市内で15日に開いた県内各界との節電対策会議の冒頭あいさつで、嘉田知事は「計画停電にかなり恐れを抱いていた結果、あの表現 になった」と釈明して謝罪した。会議後の取材に対し、「(会議出席者の)関電や経済界から意見を聞く前に、おわびしようと思った」と説明した。
嘉田知事はこれまで、記者団の取材やテレビ出演で、国や関電を批判する同様の趣旨の発言を重ねていた。
そして、嘉田知事は、「『脅された』と言うなという脅し」を受けていることを発言できないほどの圧力として、それを受け止めていることになる。
それが、どういうものかはわからない。
しかし、この国を覆う原発利権関係者の力が、途方もないものであることだけは、僕にもわかる。
東電OL事件の「アリバイのあるA」氏に、弁護団や佐野眞一氏すら迫れない事情が、その周辺から発している力によるものではないかという僕の疑いは、ますます深まるばかりだ。
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