東電OL殺人事件の謎 なぜ体内精液のDNA鑑定がなされなかったのか
東電OL殺害事件の元被告ゴビンダ・マイナリ氏に対する再審開始が決定され、そして、釈放まで一気に進行した。
わずか1,2歳で故郷に置いて出た娘たちがもうすでに20歳になる。
この間の失われた時間は取り返しがつかない。
この事件が日本人のアジア人(日本人もアジア人のくせに)に対する抜きがたい差別によって作られたものであるだけに、われわれ一人一人が自らの差別意識のもたらす人権の蹂躙に今一度向き合うべきだろう。
さて、どうしても疑問が拭えないのが、なぜ検察(警察も含む)は、トイレに捨てられたコンドーム(もしも、ゴビンダさんが犯人なのであれば、流さなかったことが却って不思議だ)内の精液のDNA鑑定をしながら、被害者体内の精液というより直接的な物証に対するDNA鑑定を行わなかったのかという根本的な疑問だ。
この問題については、過去のブログで2回にわたって、「妄想」を展開した。
ざっと見る限り、メディアの取り上げ方は、最初に犯人(ゴビンダ)ありきの捜査によって、基礎的な物証固めを怠ったというお決まりの構図で説明しようとしている。
しかし、この事件に限っては、そのような説明が無効なことは上記ブログをお読みいただければ、おわかりと思う。
この疑問について、主任弁護人に聞いてみようかと思ったら、何と、一昨日の記事で上げた太郎代言人の昔の親友の花井代言人事務所のパートーナー弁護士だった。さすが花井君、立派な弁護士を育てたと思うが、太郎としては、現在、花井代言人とは敵対関係にあるので、直接、お尋ねするのは、やめてほしいという。
この事件には、確実にもっと巨大な闇が存在すると思う。
その手がかりが、なぜ体内精液のDNA鑑定がなされなかったのかという根本的な疑問だ。
弁護団からもこの疑問を解く、積極的な説明がなされていない。
是非、弁護団には、ゴビンダ被告の無罪を勝ち取るだけでなく、検察・警察の腐敗に対して、徹底的に切り込む活動を望みたい。
そうでなければ、この種の闇に包まれた事件は、必ず繰り返されるだろう。
弁護団まで、検察・警察の闇を覆い隠す手助けをするはずがないと固く信じている。
追記 端的に書く。
一審判決には、以下引用の記載がある。
「まず、本件死体の膣内から、精子とO型の血液型物質が検出されており、精子の残留は微量であったと認め られるところ(甲五・一八二の鑑定書)、右微量の残留精子については、前記Aは被害者とコンドームを使用せずに性交しており、Aの血液型がO型であること からして(甲九の鑑定書)、膣内に残留した精子はAに由来するものと考えられる。」
このAは本件犯行時刻とされた時刻の2時間前に、コンドームを使用せずに体内に射精したと供述しているに違いない。この虚偽供述が、真犯人に向けた捜査を妨げ、ゴビンダさんの人生から貴重な時間を奪い去る理由の一つとなっているのだ。
Aにはなぜそうした虚偽を供述したか、覆面でいいから、公に明確にする責任がある。
弁護団には、どうしてそうした虚偽供述がなされたのかを追及し、この事件の背後にある大きな闇に立ち向かう責任がある。それが弁護士というものだと僕は思う。
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コメント
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岩月さんとは長いつきあいですが、初めて、コメントします。こういうブログをやられていると最近知りました。
この事件、僕は大部のノンフィクションを1冊読んでいますが、初めから胡散臭いと見ていました。真犯人はどこにいるのでしょうか? Aさんなる人は、犯人ではない? 警察関係者だったりして。
今後は時々コメントします。自分のブログからの抜粋も時に載せて良いですか? 直接エントリーに関係が遠いものでも?
投稿: 鶴賀 智数 | 2012年6月 9日 (土) 13時33分