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2012年10月31日 (水)

日本共産党綱領と司法改革

TPPに関するさる交流会に参加する関係で、日本共産党の綱領を調べてみた。
かつてアメリカによる「半占領」状態にあるとした規定が、今どうなっているか、改めて確認する必要があったからだ。
2004年1月17日付の共産党綱領の対米従属規定には、僕としてもほとんど異存がないことを確認できた。


弁護士業界では、弁護士激増政策を初めとする司法改革を主導する有力な勢力の一つが、共産党主流派であることは公知の事実だ。
司法改革は、もともと米国の対日要求に端を発し、新自由主義のグローバル化を支える法的フレームの構築を求めるものであった。にも拘わらず、米国主導のグローバル資本主義を批判する綱領を持つ人たちが、積極的に賛成したのである。


今や、弁護士業は、利益第一主義に傾かざるを得ない実態にある。新人だけでなく中堅以上の弁護士も含めて、おそらくこの数年で相当数の弁護士が廃業問題に直面せざるを得なくなるだろう。


そんな中でも、弁護士としての矜持を持とうとすれば、司法改革派は、「思い上がり」だと批判するし、カネに忙しくなり、競争に晒されるのは、「弁護士も普通の仕事になったに過ぎない」と主張する。


僕は、弁護士は特別な仕事だと思ってきたし、今でも思っている。
国家の最低限の権能である司法の一環を担う弁護士は、権力や強者に媚びず、官ではなく野に在って、これと対峙する気概を持つべきだと考えてきた。経済基盤が崩れるということは、そうした在野の気概を放棄させることを意味する。最低限の経済基盤なくして、権力にも強者にも対峙することはできないからだ。


司法改革派は、今や、弁護士間の競争を是認し正当化している。僕には、新自由主義的市場主義がもたらす過剰な競争主義を、自ら内在化させているようにしか見えない。

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綱領を調べた動機とは無関係になるが、日本共産党綱領もって、司法改革派にもの申す次第である。

日本共産党綱領

第二次世界大戦後の日本では、いくつかの大きな変化が起こった。

 第一は、日本が、独立国としての地位を失い、アメリカへの事実上の従属国の立場になったことである。

 敗戦後の日本は、反ファッショ連合国を代表するという名目で、アメリカ軍の占領下におかれた。アメリカは、その占領支配をやがて自分の単独支配に変え、 さらに一九五一年に締結されたサンフランシスコ平和条約と日米安保条約では、沖縄の占領支配を継続するとともに、日本本土においても、占領下に各地につ くった米軍基地の主要部分を存続させ、アメリカの世界戦略の半永久的な前線基地という役割を日本に押しつけた。日米安保条約は、一九六〇年に改定された が、それは、日本の従属的な地位を改善するどころか、基地貸与条約という性格にくわえ、有事のさいに米軍と共同して戦う日米共同作戦条項や日米経済協力の 条項などを新しい柱として盛り込み、日本をアメリカの戦争にまきこむ対米従属的な軍事同盟条約に改悪・強化したものであった。

(中略)

わが国は、高度に発達した資本主義国でありながら、国土や軍事などの重要な部分をアメリカに握られた事実上の従属国となっている。

 わが国には、戦争直後の全面占領の時期につくられたアメリカ軍事基地の大きな部分が、半世紀を経ていまだに全国に配備され続けている。なかでも、敗戦直 後に日本本土から切り離されて米軍の占領下におかれ、サンフランシスコ平和条約でも占領支配の継続が規定された沖縄は、アジア最大の軍事基地とされてい る。沖縄県民を先頭にした国民的なたたかいのなかで、一九七二年、施政権返還がかちとられたが、米軍基地の実態は基本的に変わらず、沖縄県民は、米軍基地 のただなかでの生活を余儀なくされている。アメリカ軍は、わが国の領空、領海をほしいままに踏みにじっており、広島、長崎、ビキニと、国民が三たび核兵器 の犠牲とされた日本に、国民に隠して核兵器持ち込みの「核密約」さえ押しつけている。

 日本の自衛隊は、事実上アメリカ軍の掌握と指揮のもとにおかれており、アメリカの世界戦略の一翼を担わされている。

 アメリカは、日本の軍事や外交に、依然として重要な支配力をもち、経済面でもつねに大きな発言権を行使している。日本の政府代表は、国連その他国際政治の舞台で、しばしばアメリカ政府の代弁者の役割を果たしている。

 日本とアメリカとの関係は、対等・平等の同盟関係では決してない。日本の現状は、発達した資本主義諸国のあいだではもちろん、植民地支配が過去のものと なった今日の世界の国際関係のなかで、きわめて異常な国家的な対米従属の状態にある。アメリカの対日支配は、明らかに、アメリカの世界戦略とアメリカ独占 資本主義の利益のために、日本の主権と独立を踏みにじる帝国主義的な性格のものである。

(中略)

 日本経済にたいするアメリカの介入は、これまでもしばしば日本政府の経済政策に誤った方向づけを与え、日本経済の危機と矛盾の大きな要因となってきた。 「グローバル化(地球規模化)」の名のもとに、アメリカ式の経営モデルや経済モデルを外から強引に持ち込もうとする企ては、日本経済の前途にとって、いち だんと有害で危険なものとなっている。

 これらすべてによって、日本経済はとくに基盤の弱いものとなっており、二一世紀の世界資本主義の激動する情勢のもとで、日本独占資本主義の前途には、とりわけ激しい矛盾と危機が予想される。

 日本独占資本主義と日本政府は、アメリカの目したの同盟者としての役割を、軍事、外交、経済のあらゆる面で積極的、能動的に果たしつつ、アメリカの世界戦略に日本をより深く結びつける形で、自分自身の海外での活動を拡大しようとしている。

 軍事面でも、日本政府は、アメリカの戦争計画の一翼を担いながら、自衛隊の海外派兵の範囲と水準を一歩一歩拡大し、海外派兵を既成事実化するとともに、 それをテコに有事立法や集団的自衛権行使への踏み込み、憲法改悪など、軍国主義復活の動きを推進する方向に立っている。軍国主義復活をめざす政策と行動 は、アメリカの先制攻撃戦略と結びついて展開され、アジア諸国民との対立を引き起こしており、アメリカの前線基地の役割とあわせて、日本を、アジアにおけ る軍事的緊張の危険な震源地の一つとしている。

 対米従属と大企業・財界の横暴な支配を最大の特質とするこの体制は、日本国民の根本的な利益とのあいだに解決できない多くの矛盾をもっている。その矛盾は、二一世紀を迎えて、ますます重大で深刻なものとなりつつある。

なお、共産党綱領には、日本と同じようにアメリカの「植民地」状態に置かれている韓国に対する目配せはないようである。綱領は、日本国民の戦争責任問題については、概して弱い。だから、竹島問題についても、共産党の主張は、領有権の有無という法的問題に傾き、それ以前に植民地支配の歴史的事実こそが重要なのだという主張に発展しない。


また、日本の抱える領土問題の悉くがアメリカの対日政策によるとする孫崎亨氏の指摘や、サンフランシスコシステムが領土問題の元凶であるとする朝日新聞(10月30日)に掲載されたジョン・ダワー氏の見解に遠く及ばない。


TPP・米韓FTAや軍事占領を初めとする多くの課題は、日本と韓国に共通している。日本と韓国の市民が連帯して、課題に立ち向かう要請はかつてなく高くなっている。少なくとも市民レベルで歴史認識を共有することは急務である。

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追記 11月2日

改めて竹島問題に関する共産党の主張を確認したところ、上記には誤りがあったので、11月2日付のブログで訂正し、感想を述べた。

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