大学もロー・スクールも『資格商法』だ 田中文科大臣支持
田中眞紀子文科大臣が、不認可を表明していた大学について、一転して認可を表明した。実は、正直、残念である。
もっと大混乱させてでも、大学乱立問題を政治問題化してもらいたかったからだ。
ほとんどのメディアが今回の田中文科大臣の言動を非難する中、昨日の中日新聞は、独自に問題の本質を問う特集記事を掲載した。
中日新聞11月7日
マチベン流の要旨は、以下の通り。
少子化が進むのに、大学が乱立した。
その結果、大卒者の就職率は63.9%「大学を出ても就職できない」現実がある。破綻危機にある大学も少なくない。このような状況は、文科大臣の諮問機関である大学設置・学校法人審議会の委員29名の内22名を大学学長や理事、教授ら学校関係者が占め、甘い審査基準で大学の新設を認めてきたからだ。
田中文科大臣の不認可処分について、「危ない大学 消える大学」の著者で経済評論家の島野清志氏は「野放図に大学が増えていく状況に一石を投じる効果はあった」と語り、同書の共著者のリクルートキャリア特別研究員の海老原嗣生氏は「野蛮なことをしなければ改革のきっかけは作れない」と評価。
田中文科大臣の責任追及一点張りになっている政局報道を踏まえれば、至極まっとうな記事で、これがジャナーリズムというものだろう。
大卒者の就職率63.9%は、平均の数値であるから、問題校では過半数が就職先がないだろう。
大学卒の資格を得るために、数百万円の授業料を払ったのに就職できない現状が広がっているということだ。
しかも、破綻危機にある大学では、大卒の資格すら取れず、今まで払った授業料をドブに捨てたも同然となる。
普通、我々の業界では、役に立たない資格を高額で売りつける商法を『資格商法』と呼んで、悪徳商法に分類する。
粗製濫造された大学の実態は『資格商法』と同じではないか。
「一人を殺せば殺人者であるが、百万人を殺せば、英雄である」と言うとおり、文科省の予算拡大と、大学の利権が癒着して、国家規模で行われれば、詐欺ではなく、立派な教育政策になる。
ロースクールも、これと同じである。
大半の学生は、卒業しても、司法試験に合格しないから、資格が取れない。
資格が取れても、就職先がない。
昨年の司法研修終了時点(いわば新卒時)で、弁護士になれなかった弁護士資格者はざっと2割400人いた。その前の年はざっと200人だった。需要がない中、供給だけが増えるから、弁護士になれない弁護士資格者は倍々で増える印象だ。今年は、4割800人くらいになるのではないか、近いうちには、新規弁護士資格者の半数が弁護士になれなくなる可能性がある。なお、弁護士になれた者の中には、無給で法律事務所に就職した者も含むから、実際、無収入ないしそれに近い弁護士資格者は相当割合に上る。
弁護士の資格が取れるまでに大学に払うお金は私学なら200万から500万円くらいになる。
需要もないのにロースクールが乱立し、司法試験合格者が大幅に増やされた。
後には、借金だけが残る弁護士資格者が少なくないのだ。
これも立派な『資格商法』だろう。
但し、アメリカ様に従って進められた国策だから、「司法改革」と礼賛され、日弁連主流派もロースクールを擁護する。アメリカ様の指示に文科官僚と大学利権が群がった結果が、現在の惨憺たる有様だ。
対米従属打破を党是とする共産党主流派弁護士が、この腐敗の構造に、未だに野合し続けているのは、何とも不可解な構図である。
メディアは、大学や入学予定者を田中文科大臣の不認可表明の被害者としてクローズアップした。
しかし、年々生み出される『資格商法』の被害者は、はるかに膨大な数に及んでいる。
現場の混乱を伝えるメディアは、木を見て森を見ないと言うほかないだろう。
むろん、メディアも大学が競って出す広告で潤う受益者で『資格商法』の加担者に他ならない。
日弁連の消費者委員会は、大学『資格商法』、弁護士『資格商法』の責任追及について、研究すべき時期ではないだろうか。
この詐欺を暴いて、国も被告にした裁判で勝てるようになれば、過払金に続く弁護士の収入源にもなろう。
国会では、田中文科大臣の責任を追及する声がかまびすしい。
大臣たる資格がないとして、辞任や罷免を求められる。
しかし、辞任する必要は毛頭ないと僕は思う。
大規模な『資格商法』で膨大な被害者が出るのを食い止めようとした田中文科大臣なのだから。
どうせ、論功行賞人事のたらい回しの席で、期間限定なのだから、文科省にねじ込んででも大至急、新基準を策定させて、大学乱立に歯止めをかけて、『資格商法』の横行を阻止してもらいたい。
マチベンは、大学『資格商法』、弁護士『資格商法』、博士『資格商法』に反対である。
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