日本共産党と竹島問題
10月31日付のブログで、共産党綱領と司法改革の関係について、疑問を呈したついでに、日韓の領土問題に関する共産党の見解について、触れた。
歴史認識が領土問題に先立つべきだと日本共産党を批判した部分には誤りがあった。
現在の共産党の主張は、第15回中央委員会総会幹部会報告(2012年10月14日)によれば、以下のとおりである。
竹島問題――どうやって冷静な話し合いのテーブルをつくるか
つぎに竹島問題について報告します。
日本共産党は、竹島は、歴史的にも国際法的にも、日本の領土であるという見解を発表しています。同時に、この島を日本に編入した1905年という時期 は、日本による韓国の植民地化の時期と重なっているという問題があります。日本は、1904年に「日韓議定書」、「第1次日韓協約」を強制して、韓国の外 交権を事実上奪っており、かりに韓国が日本の竹島領有に異議を持っていたとしても実際上異議を唱えることはできなかったのは事実であります。
そうした歴史的事情を考えるならば、日本が過去の植民地支配に対する根本的反省と清算をおこなうことが、この問題での冷静な話し合いのテーブルをつくる うえで不可欠になってきます。とりわけ、1910年の韓国併合について、不法・不当なものだったということを認めること、日本軍「慰安婦」問題などの植民 地犯罪について謝罪と賠償をおこなうことが必要であります。そうした立場のうえに、両国で歴史的事実をつきあわせた共同研究をおこない、解決への道を開く ことを提唱するものです。
共産党も勉強して、領土問題以前に歴史認識の問題こそが問われるべきだとする認識に転換したようである。その点では、それなりの成長が見られるという印象だ。
しかし、韓国併合を違法(であれば無効になる)としながら、拡張・侵略主義と並行して行われた竹島編入だけは有効とするのもピンとこないし、領有権の根拠とする先占の法理が植民地主義下における領土拡張を正当化する法理(早い話がアメリカ合衆国は、現地人を排除してどんどん「先占」して成立した国家である)であるのは、植民地支配の反省という主張に微妙に反していないだろうか。
アメリカが意図的に竹島の領有権をあいまいにし、日韓を分断して統治する材料にしている点について触れて
いないのも不満だ。
尖閣問題については、相変わらず、歴史認識としての深まりもない。
海上保安庁自身が、尖閣諸島を構成する久場島と大正島を、中国名である「黄尾嶼」、「赤尾嶼」と称して、米軍の射爆場に提供している問題について、共産党はどう考えているのだろう。
日米安保条約に基づき米軍に提供されている島嶼をアメリカは中国名で呼び、我が国もそれを受け入れている。
領有権より、そこらのアメリカの戦略の解明こそ、対米従属打破を党是とする共産党には期待したいものである。