無料ブログはココログ

« ある疑念 | トップページ | 大学もロー・スクールも『資格商法』だ 田中文科大臣支持 »

2012年11月 6日 (火)

東電OL殺害冤罪事件 体内精液の謎 歪曲は続く

産経新聞11月4日付
東電OL殺害 冤罪はなぜ起きたか 警視庁OB「“別人”をつぶす捜査できず」に以下のような記述がある。


 再審開始の決め手は、東京高検が行ったDNA型鑑定で、被害者の体内に残っていた体液が、マイナリさん(血液型B型)とは別人(同O型)のものであることが判明したことだった。

 だが、当時の取材メモによると、被害者の体内に別の男性の体液が残されていた事実は、捜査の過程で既に分かっていた。ただ、警視庁側は当時、「殺害の数日前から体内にあった古いもののようだ」などと説明。DNA型鑑定で、この人物を特定する捜査は行われていなかった。


この記事は判決さえ読まずに書かれた誤報だろう。
何度も繰り返し言うが、1審無罪判決は、体内精液は、被害者が、犯行の2時間前に性交したなじみ客が残したものだと認定している。高裁の逆転有罪判決もこの認定を前提にしている。


「まず、本件死体の膣内から、精子とO型の血液型物質が検出されており、精子の残留は微量であったと認め られるところ(甲五・一八二の鑑定書)、右微量の残留精子については、前記Aは被害者とコンドームを使用せずに性交しており、Aの血液型がO型であること からして(甲九の鑑定書)、膣内に残留した精子はAに由来するものと考えられる。」


「殺害の数日前から体内にあった古いもののようだ」等という話は、判決のどこからも窺われない。捜査側は、「捜査を行わなかった」のではなく、なじみ客Aが、「コンドームを使用せずに性交した」との供述を取って、体内精液はAのものだと主張していたはずだ。


過去の事実を歪曲してしまって、なぜ冤罪が起きたのかを検証することなど、できようはずもないだろう。


なぜ、メディアが、遡って事実の歪曲を行ってまで(記者ならば、判決を読んでいるのが当然の前提であろう)、真相を葬ろうとするのか、どうしても疑問が残る。
解けない闇がそこにある。

* ランキングに参加しています *

にほんブログ村 士業ブログ 弁護士へ

« ある疑念 | トップページ | 大学もロー・スクールも『資格商法』だ 田中文科大臣支持 »

ニュース」カテゴリの記事

事件」カテゴリの記事

東日本大震災」カテゴリの記事

裁判」カテゴリの記事

トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 東電OL殺害冤罪事件 体内精液の謎 歪曲は続く:

« ある疑念 | トップページ | 大学もロー・スクールも『資格商法』だ 田中文科大臣支持 »

2022年2月
    1 2 3 4 5
6 7 8 9 10 11 12
13 14 15 16 17 18 19
20 21 22 23 24 25 26
27 28