東電OL殺害冤罪事件 体内精液の謎 歪曲は続く
産経新聞11月4日付
東電OL殺害 冤罪はなぜ起きたか 警視庁OB「“別人”をつぶす捜査できず」に以下のような記述がある。
再審開始の決め手は、東京高検が行ったDNA型鑑定で、被害者の体内に残っていた体液が、マイナリさん(血液型B型)とは別人(同O型)のものであることが判明したことだった。
だが、当時の取材メモによると、被害者の体内に別の男性の体液が残されていた事実は、捜査の過程で既に分かっていた。ただ、警視庁側は当時、「殺害の数日前から体内にあった古いもののようだ」などと説明。DNA型鑑定で、この人物を特定する捜査は行われていなかった。
この記事は判決さえ読まずに書かれた誤報だろう。
何度も繰り返し言うが、1審無罪判決は、体内精液は、被害者が、犯行の2時間前に性交したなじみ客が残したものだと認定している。高裁の逆転有罪判決もこの認定を前提にしている。
「まず、本件死体の膣内から、精子とO型の血液型物質が検出されており、精子の残留は微量であったと認め られるところ(甲五・一八二の鑑定書)、右微量の残留精子については、前記Aは被害者とコンドームを使用せずに性交しており、Aの血液型がO型であること からして(甲九の鑑定書)、膣内に残留した精子はAに由来するものと考えられる。」
「殺害の数日前から体内にあった古いもののようだ」等という話は、判決のどこからも窺われない。捜査側は、「捜査を行わなかった」のではなく、なじみ客Aが、「コンドームを使用せずに性交した」との供述を取って、体内精液はAのものだと主張していたはずだ。
過去の事実を歪曲してしまって、なぜ冤罪が起きたのかを検証することなど、できようはずもないだろう。
なぜ、メディアが、遡って事実の歪曲を行ってまで(記者ならば、判決を読んでいるのが当然の前提であろう)、真相を葬ろうとするのか、どうしても疑問が残る。
解けない闇がそこにある。
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