司法改革の大成功 ブラック士業の登場
司法改革の本当の意味での『成果』が現れ始めている。『ブラック士業』の登場である。
ところが、最近の“ブラック士業”はもっと劣悪だという。POSSE代表の今野晴貴氏の著書『ブラック企業』(文春新書、2012年)によると、「明らかに違法な行為に若い弁護士が加担するケースが後を絶たない」。その背景には弁護士の激増(2000年・1万7126人→2011年・3万485人)がある。
(中略)
例えば「すき家」(ゼンショー)では、アルバイトの残業代請求に対して、会社側が「アルバイトは業務委託で労働者ではない」と言い出し、このいくらなんで も無理筋な主張は世間からも失笑を買った。ゼンショーの代理人は労使紛争の企業側弁護士として有名で、確信犯的にこんな主張をしたのだろうが……
弁護士の中にも、ブラック企業に入れ知恵をして儲けている人がいるという。法科大学院設置後の弁護士増による過当競争で、色々と食うために大変なのは理解できるが、弁護士の理念に逆行するようなことをやっていては、胸のバッジが泣くだろう。
社労士にせよ弁護士にせよ、なぜ労働者側ではなく、企業側の立場に立とうとするのだろうか。理由はいたって簡単である。そのほうが儲かるからだ。労働問題に巻き込まれてしまった個人よりも、会社のほうがお金を持っているのが普通である。市場が大きい方に行く、というのはビジネスの基本だ。B2CのビジネスよりもB2Bのビジネスのほうがマネタイズが容易なのと、理由が似ている。
構造的には間違いなくそうであるにせよ、僕はこの手の士業の人たちにはなんとか一線を超える前に踏み止まってもらいたい、と思っている。自分が食べるために、他の人を食い物にしていいという道理はない。良心だけは、最後まで捨てずにいてもらいたいものである。
未払い残業代を請求したところ、誠意を持って対応したいとしておきながら、末尾には、「急な退職で業務引継も万全ではなかったために当社は多大な損害を受けておりますので、貴殿に対する損害賠償を請求することを検討しています」と書かれています。
これって、もう笑うしかありません。損害賠償請求が認められる可能性は皆無だからです。ブラック士業はそれを知りながら、一般人である相談者に対し損害賠償請求の可能性を告げることによって畏怖させているだけのことなのです。
こけおどしは経営側弁護士の専売特許みたいなものですからね。
しかしそれにしても、一般人がこうした弁護士からの内容証明を読めば、夜も眠れないような精神的苦痛を感じることでしょう。
脅迫罪が成立しないのだろうかとも思いますが、まず無理でしょうね。
そういえば、突然、B社の代理人弁護士から900万円の請求をされてびっくりして駆け込んできた経営者の方がおられた。
それらしい根拠もないのに、突然、900万円もの大金を請求されれば、びっくりする。
むちゃくちゃな要求でも、中には相手の弁護士に電話して、金額を半額にしてもらって、泣く泣く示談している人もいるに違いない。弁護士の名前で根拠のない大金をふっかけて、半額取れれば丸儲けである。まるでボッタクリバーではないか。
大量生産による弁護士“公害”である。
まぎれもなく、これこそが司法改革の大いなる成果である。
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何ともやりきれないのが、この司法改革を先陣を切って推し進めたのが、常は人民・大衆の味方であると称している、共産党主流派の弁護士たちであることだ。
司法改革推進に走った共産党主流派弁護士たちよ。
もう、そろそろ総括と反省の弁を聞かせてもらってもいい頃ではないのか。
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