マチベンの寒中見舞い その4
【『弁護士』へのレクイエム】
弁護士大増員
弁護士経験30年を超えた。今だに自転車操業で走り続けている。
とくに昨今の弁護士大増員で、弁護士業界はすっかり様変わりしてしまった。利に走る弁護士が増えた。その結果、効率よく多額を稼ぐことができる事件に弁護士が蝟集するようになった。
『ブラック士業』
新卒の若者を使い捨てにする企業をブラック企業という。
新卒者を大量に採用して、低賃金で最低限の睡眠時間も取れないほど酷使する。パワーハラスメントも当たり前の世界だ。耐えられない者が辞めていくのを待っている。
この就職難の時代だ。大量に退職してくれれば、いくらでも低賃金の新卒者を採用し続けることができる。若者の代えは幾らでも利く。
名前を知られたところでは、ユニクロや和民、ウェザーニュースなど、その典型である(文春新書「ブラック企業 日本を食いつぶす妖怪」)。
若者に働き先のないような世の中は、絶対的に歪んでいく。
弁護士の業界も新人は最悪の就職難だ。
ロースクール詐欺などという言葉も生まれている。
弁護士業界も生き馬の目を抜く生存競争の時代に入った。昔だったら、問題にならなかったことが問題にされて、恥ずかしげもなく堂々と裁判にされる。ブラック企業の手先になって、効果的かつ安全に新卒者を使い捨てるための、違法すれすれの技能を売り物にする弁護士も現れている。「ブラック士業」と呼ばれる(上記「ブラック企業」)。
マチベンの覚悟
一方で、人権や社会正義を守るという立場を貫いて生きようとする弁護士は、すっかり不足気味だ。とくに若手弁護士は、日々の銭に追われて、身動きがつかない。
公安警察が足下を見て、市民運動や労働運動を弾圧しても、弁護士の集まりは甚だよろしくない。
全てが、弁護士大増員の結果だ。もともと大増員は、労働者を使い捨てにするような財界が言い出し、日弁連の執行部が、多数の弁護士の反対を押し切って推進に転じて、その提灯持ちをした。
推進した人たちが、ツケを持つなら筋が通るが、最初から反対していた僕のような稼ぎの下手なマチベンのところにツケがくる。そのため、僕は、弁護士31年目にして初めて借入をおこすことになった。
自分だけは売れないのだ。売らないまま、やれるところまで、やる覚悟である。
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