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2013年2月14日 (木)

インフラ一斉崩壊 先送りする宴資本主義の果てで

以下は、土木技術者向けの専門誌『日経コンストラクション』に掲載された投書の引用である。

“橋が一斉に壊れる日がくる”

近い将来、などの土木構築物が一斉に壊れ始める日がくるだろう。あたかも新婚家庭が購入した電化製品が、しばらくして一斉に壊れ始めるかのように……。こうした問題は、一部の専門家の間ではかなり認識されているようだが、より広く世間に知らせる必要があるのではないか。

大量の橋を、いっぺんに補修したり掛け替えたりするのはほとんど不可能だ。いまのうちに、古くなった橋から順に、延命措置などの対策を施しておかなければならない。


また、このような投書もある。


“一斉に道路の傷みが進む日がくる

『道路舗装や構造物の耐久性と、その維持管理のあり方といった趣旨の特集をぜひ組んでもらいたい。高度経済成長期に大量につくった道路において、一斉に痛みが進む時期がいよいよ到来すると思われるからだ。


いずれの投書も、1997年2月14日号に掲載されたものだ。
それからすでに20年近い年月が過ぎた。
今、高速道路トンネルの天井板崩落を初め、道路の陥没、上下水道管の破断等の問題が噴出している。
現場の少なくない技術者はすでに90年代に、将来を憂え、危機感を持っていたのにもかかわらずだ。


前者の投書には、次のような件もある。


高齢化社会の進展に伴い、社会資本に投資できる金額は減っていくことが予想される。それゆえ、出来るだけ早く対策を講じなければならない。新設する土木構造物についても、最初から維持管理やライフサイクルコストのことを考慮してつくっておくことが肝要だ。


現在の危機は、とうに見越されていた。


ところが、政治はというか、社会はこの当然の事態から目を背け、今となっては無駄としか言いようのない大プロジェクトばかりを推進してきたのだ。


1999年には『コンクリートが危ない』(岩波新書)という書籍が出されている。
著者は小林一輔氏、東京大学名誉教授で千葉工業大学教授である。コンクリート工学の第一人者だと思われる。


この著書は、1983年に山陽新幹線の高架を調査した場面から始まる。完成からまだ10余年しか経ていない高架コンクリートのあちこちに大きなひび割れがあり、高架の床板からは、コンクリートが剥離して、鉄筋が露出しているという衝撃的な場面である。


著者は、山陽新幹線が惨憺たる有様である一方で、大正時代から昭和初期にかけて建設された橋梁が、コンクリートにとって、天敵とも言える潮風や豪雪にさらされても、メンテナンスなしで健全に保たれていることを紹介する。


著者の見立ては、1964年に完成した東海道新幹線の時代までは、健全な材料を用いたコンクリートを入念に施工してつくられていたとするものだ。ところが、高度経済成長時代に造られた山陽新幹線を初めとするコンクリート構造物は、劣悪なコンクリートの使用、手抜き工事の横行で劣化の速度が極めて速いとする。
日本が、活気にあふれ、生活が豊かになっていくと見えたその時期にすでに、日本の技術は劣化し始めていたのだ。


遠からず問題が生じるのはわかっていて、それでもその日限りの享楽を求める。ツケは後代に回す。赤字国債も発行された。
負担の先送りによって、高度経済成長は成立した。


コンクリート構造物の早期劣化に対する危機感が社会問題化した時期が、ごく短期間だが、あった。
小林氏の著書を見る限り、1983年には、NHKがこの問題を積極的に採り上げるなど、一定程度、社会問題化した。
しかし、急速に関心は失われた。


小林氏が一般向けの書物として、コンクリート構造物に対する対策の必要を世に問うたのは、1999年である。
しかし、小林氏の訴えはメディアに採り上げられることはなかったと思われる。少なくとも大きな世論にならなかったのは明らかだ。
そして、2004年には、小林氏の舞台は、一般には三流紙と呼ばれる「FLASH」になってしまったのだ(2011年5月18日ブログ)。


小林氏の著作には、次のような件がある。


「『半永久的に供用できるような頑丈なコンクリート構造物をつくろうと考えるのは、バカげたことだ。機能的耐用年数に達したらかんたんに壊れるような構造物をつくるべきだ』という主張がある。このような主張は、耐久性の観点からコンクリート構造物の使用材料の品質や施工方法を検討する場で、規制される側の利益代弁者となった研究者や学者によってなされる。(下線マチベン)


代弁される利益はいうまでもなく、ゼネコンの利益であろう。
小林氏の主張が世論とならず、三流紙までおとしめられた構造は、原子力ムラの構図と同じである。
良識ある技術者たちの声が埋もれてしまったのもこの構図のためである。
利益を享受するゼネコンがあり、そこから広告収入を得るメディア、研究費用を受ける学者、そして企業に依拠する官僚・政治家…。これら蝟集する集団が、危機を先送りし、後代にツケを回して、自らの利益を追求して恥じない。


宴をしながら、ツケを先送りにする資本主義の構造は、産官学メディア複合体として、あらゆる分野にある。


インフレターゲットが採用されて超金融緩和がなされ、公共事業に国家予算がばらまかれる(維持補修にどの程度の予算が割り振られているのか、その内訳がわからない。多分、補修のような地味な事業ではなく、派手で見栄えのいい構造物の新設ラッシュでいかにも景気がよくなったように演出されそうな気がする)。
犠牲になるのは、今の弱者だけではない。
将来生まれる世代、そして将来の日本が食い物にされ、壊されようとしているのだ。


天井板崩落や、上下水道の劣化、道路の陥没と相次いで現れる、高度成長のツケを目の当たりにしながら、なお、国の借金を増やしてでも、この刹那に利益を得ようとする社会は、どこか根本的なところで間違っている、と僕は思う。

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