ISD条項の罠8,9 要約
それはだれかかもしれないし、だれでもないかもしれない。
それはいつ開かれたかもしれないし、開かれていないかも知れない。
それは命じたかもしれないし、命じないことにしたかもしれない。
それは命じたことに責任を持たないし、命じなかったことに責任を持たない。
それは国に命じるかもしれないし、命じないかもしれない。
それが何を禁じているかは、とても漠然としている。
誇りある国は命令されるのを屈辱的だと考える。
訴えられ、被告とされること自体が屈辱的だと考える。
国はこうして行動指針とする本を持ち変える。
これまで使っていた「けんぽう」という名の本を置き、「かんたいへいようけいざいれんけいきょうてい(てぃーぴーぴー)」という本に。
「けんぽう」には「国民の、国民による、国民のための」と書いてあった。
「かんたいへいようけいざいれんけいきょうてい」には「投資家の、投資家による、投資家のための」と書かれていた。
* ランキングに参加しています *
ISD条項に基づく裁判を裁く裁判所は、原告である外国投資家と被告である国家が合意した裁判官(通常3人)で構成される私設裁判所である。
裁判は非公開であり、どこで、いつ行われたか基本的にわからず、裁判結果は当事者の同意がなければ公表されない。
私設裁判所は事件ごとに作られ、裁定を出せば職務は完了する。
私設裁判所の裁定は、直接に強執行が可能である。
外国の公式な裁判所の判決は、国内裁判所が承認しなければ、強制執行できないのに比べて、私設裁判所の裁定の効力は極めて強力である。
にも拘わらず、裁判官は誰にも責任を負わない。
国家は提訴されることをおそれるから、出来る限り提訴リスクを回避するために、外国投資家の利益を害さないことを第一に考えて政策決定するようになる。
投資家の私設裁判所は、統治の権原と権威を国民に求める自己統治を意味する国民主権原理とは相容れない制度である。
投資家による統治を認めるもので、国民主権から外国投資家主権に国家を組み替えるものである。
« 【大誤報】 司法改革の途方もない大成功 弁護士所得の中央値は300万円未満? | トップページ | データで見る『弁護士の大没落』 大誤報のお詫びに »
「ニュース」カテゴリの記事
- コロナショックはきっかけに過ぎない 資本主義の終焉への長い道のり(2020.03.13)
- 2012年新型インフルエンザ特別措置法に関2012年新型インフルエンザ特措法に関する日弁連会長声明 緊急事態宣言とモーニングショーなど(2020.03.06)
- 厚労省と自民党がデマを拡散する(2020.03.06)
- 新型コロナウイルス検査体制でもまさかのご飯論法 国家の破綻(2020.02.25)
- 新型コロナより怖いオリンピック病 感染拡大防止とは検査しないこと 底抜けの国家統計(2020.02.23)
「憲法」カテゴリの記事
- 2012年新型インフルエンザ特別措置法に関2012年新型インフルエンザ特措法に関する日弁連会長声明 緊急事態宣言とモーニングショーなど(2020.03.06)
- 障害者の生命の価値と損害賠償額(2019.02.18)
- 韓国最高裁判決に関する拙稿がIWJ特別寄稿サイトに掲載(2018.12.31)
- 「1945年への道」さんのチャンネル登録しよう 敗戦をストップするために(2018.12.13)
- 外国人労務者本土移入の件 可決成立 オワコンジャパンを乗り越えて、新たな構想を持とう(2018.12.08)
「法律」カテゴリの記事
- 弁護士ドットコムから転載 岡口基一裁判官事件で弁護士らが記者会見 「裁判官にもつぶやく自由はある」(2018.10.03)
- マイナンバー 何のメリットもないし、要らない 特定個人識別番号(2015.11.01)
- マイナンバー 退職しても7年残る?マイナンバー(2015.10.23)
- マイナンバー 自ら法律違反を勧めるマイナンバー担当大臣補佐官(2015.10.16)
- マイナンバー 事業者も従業員の個人番号を取得すると過大な義務を負うことになる(2015.10.15)
「TPP」カテゴリの記事
- WTO 日本は世界と戦って敗れた 安倍政権の国際感覚の欠如と失政(2019.04.12)
- なぜ韓国は日本の言うことを聞かないのか(2019.01.30)
- 外国人労務者本土移入の件 可決成立 オワコンジャパンを乗り越えて、新たな構想を持とう(2018.12.08)
- 日本製造業の敗北 技能実習生問題から始まる連続ツイートが恐ろしすぎる件((((;゜Д゜)))))))(2018.11.20)
トラックバック
この記事へのトラックバック一覧です: ISD条項の罠8,9 要約:
» アメリカの狙いは、関税よりずっと重要な邪魔者であり続けている非関税施策を日本に解除させることにある 米国議会図書館議会調査局文書 [マスコミに載らない海外記事]
市場アクセス TPP交渉への日本参加は、アメリカの通商と日本投資のおける機会を増大する可能性がある。アメリカ合州国の狙いは、米日貿易関係において、関税よりずっと重要な邪魔者であり続けている非関税施策、ある種の政府規制等を、日本に解除させることにある。現 在の9ヶ国によって想定され、交渉されているTPPは、日本が維持して... [続きを読む]
« 【大誤報】 司法改革の途方もない大成功 弁護士所得の中央値は300万円未満? | トップページ | データで見る『弁護士の大没落』 大誤報のお詫びに »