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2013年3月14日 (木)

【拡散希望】オバマ大統領には何の交渉権限もない 日米首脳会談の想像を絶する茶番劇

アメリカ合衆国憲法では、関税を課し徴収する権限は議会の専権事項だ(第1条8節1号)。また、通商の規制も同じく議会の専権事項だ(第1条8節3号)。

すなわち、アメリカ合衆国憲法によれば、関税と通商については、本来、大統領には交渉権限がない。

 

過去、大統領が交渉権限を有していたのは、大統領貿易促進権限法による大統領に対する授権によるものであった。
だから、マチベンは、今さっきまでこの法律によってオバマ大統領は、安倍首相と会談したものと理解していたが、外務省の解説による限り、大統領への授権は、2007年7月1日に失効したとされている。

滝井光夫桜美林大学教授の「大統領の通商交渉権限と連邦議会」 によれば、関税については、アメリカ通商法による授権が引き続き残っているようであるが(関税についても、議会の授権による交渉権限であるから、最終的に議会の同意が必要であることはいうまでもないが)非関税部分(国内規制)については、大統領には何の権限もない。

いうまでもなく、TPPについては、関税はごく限られた一部の問題に過ぎず、大半の部分が非関税障壁に関わる部分である。

最近になって仕切りに、交渉開始前90日以内に議会に通知するとするルールがあるかのように報道されているが、これも法的根拠がないように思われる。大統領としては、失効してしまってはいるが、一応、貿易促進権限法のルールに倣って行動しているという程度の者なのではないかと思われる。

それにしても、オバマ大統領は、一体いかなる権限に基づいて、日本のTPP参加を云々しているのだろうと考えていたら、次の記述にぶつかった。

(現在のオバマ大統領のように)TPP 交渉開始の意図を議会に通告しながら、交渉が法的根拠なしに進められている状況は前例がない。」(同教授「米国のTPP参加交渉と貿易関連問題」16頁左欄)リンクが不調みたいです。よくある嫌がらせかと思います。「季刊 国際貿易と投資」で検索し、2011年夏84号を検索してくださいな(^^)V


問題は、単純である。
交渉権限のない大統領と、どんな約束をしようが、法律上、何の意味も生じないのだ。
安倍首相は、日米首脳会談と共同声明(しかも、自動車産業を生け贄にすることだけを一方的に約束した政治的大失態を演じた)というおよそ、何の意味もないパフォーマンスを演じて、交渉参加へなだれ込もうとしているのだ。

交渉権限のないオバマとしては、議会のご機嫌をとるために、自動車を生け贄にしておきたかった。
自動車を生け贄にしてもよいとした安倍首相は、条約締結交渉をする政府を代表する権限を有している。
だから、安倍首相の言辞は有効である。
しかし、オバマが、そこで何を言おうが、共同声明にどう書こうが、交渉権限がないのだから、ただの雑談の類、戯れ言に過ぎない。
前言を翻そうがどうしようが、道徳的な非難すら受ける理由はない。

こんなことは、日本政府はとうに知っている。
知りながら、国民を騙すためだけに、パフォーマンスを演じた。
むろん、大メディアも、財界もぐるである。
わかっていて、TPP交渉参加のためのお膳立てのために日米首脳会談を仕組んだ。
そして、わかっていて、日米首脳会談を礼賛した。
自動車業界だけ、なぜ、自分が財界に切り捨てられなければならないのかと今になって途惑っている。

騙されて、先々、とんでもない不幸な目に合うのは、マチベンを含む一般国民である。
日米首脳会談というのだから、何か意味があると思いこんでいた、マチベンはつくづくお人好しである。お人好しは、政治の世界では悪徳である。今後は、いっそう何でも疑ってかからなければならないだろう。

それにしても、と今さら思う。私たちの住む時空はどうしてこれほどまでに歪んでしまったのだろうか。知れば知るほど、恐ろしいほどに歪んだバーチャルな空間に生かされている。

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追記 2015年6月18日
文中、関税に関しては大統領に交渉権限があるかのような記載は誤り。
関税についても、議会権限であり、大統領には権限はない。
それにしても、2年以上経っても、この根本問題にマスコミは触れない状況は、記事を書いた当時、想像しなかった。
今、現在、日本は異常事態である。

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コメント

結論から言うと、嘘つき・裏切りの安倍晋三自民党政権に参院選でノーを突きつけ、大敗北に追い込めば良いだけである。アメリカはユニークな国で、選挙の結果はそれなりに尊重するらしい(笑)

霞が関とマスコミは常に協定して、非関税障壁を内緒にしてきた。SIIを日米構造協議と(障壁の語を隠して)ごまかして、自己宣伝してきた。中国は三権分立でないというが、日本も同じ。すべて霞が関の行政府の思い通りだ。それに教育されている国民も馬鹿だろう。

日本でも、徴税と予算編成の権限は国会にあります。

しかし、交渉の場での代表として、首相や大統領の存在と役割は無意味ではありません。

外交交渉の結果は、アメリカでは議会の、日本では国会の承認がなければ、条約締結には至りません。

日本では条約を締結する権限は内閣にあるので(憲法73条3号)、当然、総理大臣は日本を代表して交渉しています。ところがアメリカの憲法では大統領に、これに当たる権限を与えていません。だから、議会が特別な授権をしない限り、オバマさんは、TPP交渉をする権限がないとことになると国際経済法で習いました。

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