TPP マスコミを監視しよう
日本のTPP交渉参加表明を受けて、オバマがやる次の手続は簡単明瞭に貿易促進権限法2104条に書いてある。
(a) 交渉前の通知と協議― 大統領は、第2103 (b) 条の規定が適用されるすべての協定に関して、次の事をしなければならない。
(1) 交渉を開始する少なくとも90日前に、交渉に入ろうとする大統領の意図を書面で議会に提出し、その中に、大統領が考えているかかる交渉の開始日、交渉のための特別な米国の目標、および大統領が意図しているのは協定を結ぶことなのかそれとも既存の協定に対する変更なのかを記載すること。
これが、大手メディアが仕切りに報道している90日ルールである。
マスコミはもっぱら時間がかかるから、バスが終点に着いたら困るヾ(.;.;゚Д゚)ノという不安を煽っている。
ところが、議会に提出される、通知書の内容自体は報道しない可能性がある。
この大統領の通知書には、「交渉に入ろうとする大統領の意図」=「交渉のための特別な米国の目標」が書かれている。
貿易促進権限法が大統領に突きつける条件の詳細さ、さらに同法の構造が、徹頭徹尾、大統領の交渉を議会の監視下において進めさせる構造になっていることを踏まえれば、大統領の通知書に書かれる「交渉のための特別な米国の目標」も相当に詳細なものになる可能性が高いと見られる。
どのマスコミがこの通知書の内容を正確に、しっかり伝えるか、国民には監視する義務があると思われる。
また、同条には、続いて次のように書いてある。
(2) 通知の提出前後に、上院財政委員会と下院歳入委員会、その他大統領が適当と判断する上下両院の委員会、および第2107条に基づき召集される議会監視グループ、と交渉に関する協議を行うこと;および、
(3) 第2107 (c) 条に基づく議会監視グループのメンバーの過半数の要請に基づき、交渉開始前または適宜に、交渉に関して会議を開くこと。
大統領は、通知書の提出前後に、指定された議会のメンバーと協議することになっている。その中には、「議会監視グループ」という強力な名称のグループも含まれる。
オバマ万能みたいに報道する日本のマスコミは完全に本質をすり替えている。大統領は監視される存在なのだ。
すでにオバマはこの協議に入っていると思われる。
したがって、現地に駐在員がいるメディアであれば、その内容を取材することも可能だ。
マスコミが果たして、これを正確に伝えるか、そもそもそのような協議の存在自体を伝えるか、これも注目ポイントだろう。
いずれにしろ、貿易促進権限法は2007年で失効している。
これをバージョンアップさせて効力を回復させるのはいつなのかと思っていたら、日本の参加交渉を待っていたように議会では、同法の効力を回復する法案の提出の準備が始まったようだ。
http://www.reuters.com/article/2013/03/19/us-usa-congress-trade-idUSBRE92I0QW20130319
これをマスコミは伝えようとしない。
この2002年貿易促進権限法もしっかり紛糾した果てに僅か1票差で下院で可決された代物らしいので(韓国法務部国際法務課情報)、今回も紛糾する可能性がある。
日本のマスコミが正確に伝えるかも見物だ。
TPPがどのような内容になるかは、米議会が決める。
審議内容で、TPPのあらましはわかってしまうことになるから、マスコミが報じる可能性は東京・中日新聞を除いてはないだろう。
市民が力を合わせて内容を伝えていく以外に方法はなさそうである。
それくらいの力は、日本の市民運動も蓄えてきた。
(なお、今の段階ではマチベンは英語が苦手であるので、マチベンに期待をしないでほしい)。
オバマがほしがる交渉権限を取り上げていた米議会が、日本の参加表明を待ちかねたようにして、急に動き始めた。
安倍ちゃんは、知ってか知らずか、飛んで火にいる夏の虫だったようである。
これも「美しい日本」の風情ではある。
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