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« マチベンがTPPに反対する訳   『弱き者は死ね』のグローバル経済の世界観 | トップページ | TPP オバマ政府から米議会への通知全文 »

2013年4月25日 (木)

オバマの議会通知はまだなのだろうか

TPPへの交渉参加に関する日米の事前協議が合意に至ったのは4月12日だ。
マスコミが「とにかくバスに飛び乗らないと間に合わない」とばかりに強調していた大統領から議会に対する90日ルールに倣った通知はまだなされないのだろうか。
USTRのホームページには日本時間の4月24日午後8時現在、大統領から議会への通知がなされたとの記述はない。


日米両国のプレスリリースの内容が食い違っていることが指摘されている。
政府は、米国のプレスリリースに文句を言う筋合いではないとの立場らしい。


改めて復習すると、2月23日に出された日米首脳会談における日米の共同声明は、政治的宣言であり、法的なものではない。
これから一緒にやろうよという政治的アピール以上の意味はないと見てよいだろう。
オバマはTPPに関する権限を全く有していないのだから、「TPP交渉参加に際し、一方的に全ての関税撤廃をあらかじめ約束するよう求められるものではないことを確認する。」との部分は、日本の政治宣言として有効であることに疑問の余地はないが、アメリカの声明としては政治宣言としてすら、疑問符が付く。
いずれにしろ、法的なものではないので、この共同声明くらいは、オバマの言動にも政治的な意味があると見てもよい。
その証拠に、日本政府やマスコミは「聖域なき関税撤廃ではないことが確認された」として一気にTPP交渉参加への世論を形成しようとした。
政治的効果はあった訳だ。


4月12日、アメリカとの事前協議が合意に至ったとして、日本の駐米大使と米国通商代表代行によって往復書簡が交わされた。
同日付でプレスリリースされた通商代表代行の声明(報告)は、往復書簡よりはるかに具体的な項目に踏み込んでいる。


さて、これらの内、法的に意味のある文書はどれかだが、通常の考え方では合意を構成するのは、この場合、往復書簡だ。
国家間の合意の方法はいろいろあり、往復書簡による方式もあり得る。
通商代表代行の声明は、一応、事実関係の報告にしか過ぎず、法的意味はないだろう。


これを踏まえて考えるが、まず、事前協議の合意が成立したのか否かである。
どうもマチベンには、日本の大使からの書簡は、日本政府を代表する権限ある者によってなされたので、法的効力があるが、オバマはTPPの締結権限がなく、従って交渉権限も有していないので、アメリカ政府にはTPPに関する権限がなく、通商代表代行の書簡は、法的効力がないように考えられる。
したがって、日本は、事前協議において、発した書簡に拘束されるが、米国は、無権限の通商代表代行が発した書簡には拘束されない法的構造にあるように見える。
つまり事前協議の「合意」とは言うが、厳密には法的意味での合意は成立しておらず、日本だけが法的言質を取られる『片面的合意』であるということだ。
これが第1点である。


第2点。通商代表代行の声明(報告文書)は、事実行為にとどまるから、法的意味がないのかという問題である。
ここが微妙なところである。
アメリカ国内におけるプレスリリースは、アメリカ国内において、事前協議の内容が、そうしたものであったという認識を定着させ既成事実化する作用がある。
マスコミが90日ルールとして持ち出す大統領が議会に対して出す通知には「大統領の意図」や「交渉のための米国の特別な目標」を記載することになっている。
プレスリリースで既成事実化された内容は、当然、大統領の議会への通知に反映されるはずだ。


もともと大統領に通商権限を授権する貿易促進権限法が有効であった当時は、通知をした上で、大統領(政府)と議会の間で協議を重ねることを前提にしていた。
この議会との協議のベースになるのが、大統領の通知文書である。つまり、通商代表代行の声明は、事実行為であり、それ自体、法的性格がないことは明らかである。しかし、TPPに関する権限を独占する米国議会との間では、自ずから影響を持つということだ。
もし、通商代表代行の声明に誤りがあるとすれば、大統領の通知に反映し、大統領とTPP本丸である議会との協議に影響を与える。
したがって、通商代表代行の声明(報告)内容に誤りがあれば、後々取り返しがつかないことになりかねない。
だから、日本政府は、相手国の声明だからと言って、放置してよい訳は絶対にない。
食い違いがあれば、指摘しなければならない。
それが当然の交渉態度だ。
放置しているということは、これを前提にしてアメリカ国内手続が進むということを了解したことを意味する。

万が一にも誤りがあるのを放置するのであれば、強い交渉どころではないだろう。
そんな卑屈な態度だから、日本はアメリカにパッシングされるのだ。


さて、2002年超党派大統領貿易促進権限法2104条(a)(2)によれば、通知の提出の前後に大統領は、「上院財政委員会と下院歳入委員会、その他大統領が適当と判断する上下両院の委員会、および第2107条に基づき召集される議会監視グループ、と交渉に関する協議を行うこと」とされている。


現在、法律は失効している。
そして、交渉参加に関する事前協議の『片面的合意』が成立してから、10日以上が経つ。
しかし、通知がなされたという痕跡はない。
無権代理人であるオバマは、通知提出前に議会との協議を綿密にしようとしているのではないかと、疑いたくなる。
それとも、この程度の期間は、当然必要な程度に通知するための前提作業自体がややこしいのだろうか。2014条の条文を読むと、そうらしくも思える。


前者だとすると、議会がまだ貢ぎ物が足りないとして、オバマにねじを巻いている可能性がある。
入場料が足りないから、もう一度、事前協議をすると言われる可能性がある。


後者だとすると、7月参加と喧伝して急かせた、政府やマスコミは一体、何を考えていたのだろう。
ただ、国民的議論が起きる前に、交渉参加を既成事実にするためだけに急いだように思えてならない。


どちらにしろ、これほどにも情けない指導者を持った国は、世界でも稀ではないかと思う。
敢えて騙され続けている国民にも当然、責任はある。
しかし、公約を破った上、国民に対する裏切りに裏切りを重ねる安倍政権は、安倍売国政権として歴史に残るほどに、ひどいと言わざるを得ない。


追加の貢ぎ物を要求されれば、いそいそと貢ぐであろう。
米国議会も、安倍政権をそう評価しているに違いない。
目が離せない日が続きそうだ。

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