TPP 『ルール作りに参加する』の大ウソ 締結した米韓FTAの書き換えをさせられた韓国
TPPのルールはアメリカ議会が決める。
大統領は、議会のお許しがなければ、通商協定を締結する権限すらない。
これまで、繰り返してきたとおりアメリカ合衆国憲法の帰結である。
2002年超党派貿易促進権限法は、2007年7月1日に失効した。
したがって、現在、オバマ大統領は、TPPの締結権限がない。
締結権限がないということは、交渉権限もないということだ。
オバマは無権代理人である。
TPPルール策定の本拠地は米議会であり、オバマは、米議会の操り人形である。
したがって、日本は、どんなに急ごうが、TPPのルール作りには参加できない。
交渉参加を表明するより、米議会でロビー活動でもした方がよほどマシである。
但し、日本国民には米議会選挙の投票権がないので、ロビー活動に応じてくれる議員が現れるのは期待薄である。
さて、米韓FTAは、2回締結されていることがわかった(というより、先ほど確認したというべきであるが)。
米韓FTAは、まだ貿易促進権限法が有効で、大統領に締結権限があった当時に交渉が行われている。
そして、大統領に締結権限がある最終日である2007年6月30日にめでたく調印された。
韓国法務部や韓国最高裁があれほど真剣に検討し、すったもんだ議論の挙げ句、ようやく締結されたのである。
マチベンの知る限り、裁判所で、和解調書ができ上がった後に、和解の内容を変えたいと言っても、裁判所は絶対に聞き入れない。
当たり前のことだが、正式な交渉の末の合意は、マチベンレベルでも極めてシビアなのである。
マチベンの和解ですら、その後に変更なんてあり得ないのであるから、国家間の合意に後出しなど、あるはずが、ない。
と思うのが素人の浅ましさである。
どうして、米韓FTAが2007年6月に締結されながら、2012年まで発効しなかったのかを確認したら、とんでもないことがわかった。
せっかく大統領が締結したFTAに議会の同意が得られなかった。
普通、代理人が相手方と同意した後、本人が突然、イヤだと言い出しても、相手方にそんなこと持ち出すのは恥ずかしくてできない。
ところが、大統領は違った。
“こないだ調印した米韓FTA、議会に文句言われたんだわ。
あのまんまではあかんげな。
ここ、直してちょ。”
と、締結された米韓FTAの書き換えを求めて韓国と交渉を始めたのである。
調印後、3年以上たった2010年12月3日のことである。
普通、こんなバカなことを言われれば、誰だって怒る。
調印後の後出しなど論外である。
ところが、韓国は、これを呑んだのである。
2011年2月10日、再度、米韓FTAは調印された。
そして、2011年10月12日、米議会は、不満たらたらではあるが、ようやく批准に応じた。
新たな協定は、自動車メーカーと労働者に新しい市場アクセスと公平な競争の場を保障する内容を反映したものだ。
とUSTRのホームページにはぬけぬけと書いてある。
韓国は、日本に先んじて国連事務総長を輩出し、日本単独開催が見込まれたサッカーワールドカップを共催に持ち込む交渉力ある国ではなかったかと、思うのだが、米議会にかかると赤子の手をひねるように思い通りにされてしまったのだ。
しかも、大統領に交渉権限や締結権限があってすら、頓着なしのこの扱いである。
TPPに関しては、大統領には交渉権限も締結権限もないのだから、TPP交渉なんてのは、米議会にとっては、ただのおままごと遊びである。
TPPのルール作りへの参加などあり得ない。
全ては米議会に決める。
加盟国はこれに従うしかないのだ。
米議会が批准した後に、TPPに参加するどうか、ゆっくり考えるのが最も賢明なことは火を見るより明らかである。
なお、TPP交渉に参加したからと言って、TPPの内容がわかる訳ではない。
TPPは交渉担当者に厳格な守秘義務が課された秘密交渉である。
アメリカ国民すら内容は知らない。
参加国の国民に周知しておれば、当然、日本政府や日本国民も内容を知ることができる。
これは当たり前の理屈である。
が、マスコミを見ていると、交渉に参加すれば、国民にも内容が分かるような詐欺的な報道があとを絶たないので、念のため付け加える次第である。
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