【再掲】 TPP オバマ大統領には何の権限もない 日米首脳会談の想像を絶する茶番劇(3/14)
TPP情勢は、日米首脳会談以来、国民どころか国会での議論すら許さずに一気に進んだ。
法的な分析をしているサイトは少ないので、この間の経緯を整理する意味でしばらく旧記事で重要だと思われるものを再掲していくことにする。
アメリカ合衆国憲法では、関税を課し徴収する権限は議会の専権事項だ(第1条8節1号)。また、通商の規制も同じく議会の専権事項だ(第1条8節3号)。
すなわち、アメリカ合衆国憲法によれば、関税と通商については、本来、大統領には交渉権限がない。
過去、大統領が交渉権限を有していたのは、大統領貿易促進権限法による大統領に対する授権によるものであった。
だから、マチベンは、今さっきまでこの法律によってオバマ大統領は、安倍首相と会談したものと理解していたが、外務省の解説による限り、大統領への授権は、2007年7月1日に失効したとされている。
滝井光夫桜美林大学教授の「大統領の通商交渉権限と連邦議会」 によれば、関税については、アメリカ通商法による授権が引き続き残っているようであるが(関税についても、議会の授権による交渉権限であるから、最終的に議会の同意が必要であることはいうまでもないが)、非関税部分(国内規制)については、大統領には何の権限もない。
いうまでもなく、TPPについては、関税はごく限られた一部の問題に過ぎず、大半の部分が非関税障壁に関わる部分である。
最近になって仕切りに、交渉開始前90日以内に議会に通知するとするルールがあるかのように報道されているが、これも法的根拠がないように思われる。大統領としては、失効してしまってはいるが、一応、貿易促進権限法のルールに倣って行動しているという程度の者なのではないかと思われる。
それにしても、オバマ大統領は、一体いかなる権限に基づいて、日本のTPP参加を云々しているのだろうと考えていたら、次の記述にぶつかった。
「(現在のオバマ大統領のように)TPP 交渉開始の意図を議会に通告しながら、交渉が法的根拠なしに進められている状況は前例がない。」(同教授「米国のTPP参加交渉と貿易関連問題」16頁左欄)リンクが不調みたいです。よくある嫌がらせかと思います。「季刊 国際貿易と投資」で検索し、2011年夏84号を検索してくださいな(^^)V
問題は、単純である。
交渉権限のない大統領と、どんな約束をしようが、法律上、何の意味も生じないのだ。
安倍首相は、日米首脳会談と共同声明(しかも、自動車産業を生け贄にすることだけを一方的に約束した政治的大失態を演じた)というおよそ、何の意味もないパフォーマンスを演じて、交渉参加へなだれ込もうとしているのだ。
交渉権限のないオバマとしては、議会のご機嫌をとるために、自動車を生け贄にしておきたかった。
自動車を生け贄にしてもよいとした安倍首相は、条約締結交渉をする政府を代表する権限を有している。
だから、安倍首相の言辞は有効である。
しかし、オバマが、そこで何を言おうが、共同声明にどう書こうが、交渉権限がないのだから、ただの雑談の類、戯れ言に過ぎない。
前言を翻そうがどうしようが、道徳的な非難すら受ける理由はない。
こんなことは、日本政府はとうに知っている。
知りながら、国民を騙すためだけに、パフォーマンスを演じた。
むろん、大メディアも、財界もぐるである。
わかっていて、TPP交渉参加のためのお膳立てのために日米首脳会談を仕組んだ。
そして、わかっていて、日米首脳会談を礼賛した。
自動車業界だけ、なぜ、自分が財界に切り捨てられなければならないのかと今になって途惑っている。
騙されて、先々、とんでもない不幸な目に合うのは、マチベンを含む一般国民である。
日米首脳会談というのだから、何か意味があると思いこんでいた、マチベンはつくづくお人好しである。お人好しは、政治の世界では悪徳である。今後は、いっそう何でも疑ってかからなければならないだろう。
それにしても、と今さら思う。私たちの住む時空はどうしてこれほどまでに歪んでしまったのだろうか。知れば知るほど、恐ろしいほどに歪んだバーチャルな空間に生かされている。
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