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2013年5月 7日 (火)

TPP日米共同声明は法的に読み解くとこうなる

オバマ大統領及びアメリカ政府には、TPPについて交渉する法律的な権限がない。
TPPの内容はアメリカ議会が決定する。
安倍首相、安倍政権には、TPPに関する交渉権限がある。


この3つを前提に、2月22日の日米共同声明を考えると、米国政府は何も言っていないはずだから、米国政府の言及は外すことになる。両国政府という表現は日本政府となる。
こうして、日米共同声明を法律的に翻訳すると、以下のとおりである。


日本政府の声明

日本政府は,日本が環太平洋パートナーシップ(TPP)交渉に参加する場合には,①全ての物品が交渉の対象とされること,及び,日本が他の交渉参加国とともに,2011 年11 月12 日にTPP首脳によって表明された「TPPの輪郭(アウトライン)」において示された包括的で高い水準の協定を達成していくことになることを確認する。


日本には一定の農産品,米国には一定の工業製品というように,両国ともに二国間貿易上のセンシティビティが存在することを認識しつつ,日本政府は,最終的な結果は交渉の中で決まっていくものであることから,②TPP交渉参加に際し,一方的に全ての関税を撤廃することをあらかじめ約束することを求められるものではないことを確認する。

日本政府は,TPP参加への米国のあり得べき関心についての二国間協議を継続する。これらの協議は進展を見せているが,自動車部門や保険部門に関する残された懸案事項に対処し,その他の非関税措置に対処し,及びTPPの高い水準を満たすことについて作業を完了することを含め,なされるべき更なる作業が残されている。


①の下線部分は、権限のある政府の表明であるから、一方的な政治的約束として有効である。


②の下線部分は、日本が勝手に「TPP交渉参加に際し,一方的に全ての関税を撤廃することをあらかじめ約束することを求められるものではないことを確認する。」というだけで、無権限のアメリカ政府がこれに同意した訳ではない。
自分で言って、自分で確認できたとする一人芝居である。


アメリカ政府は、日本が変なことを言っていると聞き置いただけで、全く意味のない部分である。


これを「聖域なき関税撤廃ではないことが確認された」などと宣伝したマスコミの罪がいかに重大で、国の進路を誤らせたか、その後の経過を見れば、すでにして明白であろう。

③の下線部分は、事前協議『合意』において、さらに重大な問題に発展していくことになる。 


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