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2013年10月24日 (木)

あんたも偉い! 長野県弁護士会 『TPP反対』初の弁護士会会長声明

ついに弁護士会からTPP反対の声が上がった。
          PDFファイル
長野県弁護士会である。
さすがに、桐生悠々が主筆を務めた信濃毎日新聞や、農村予防医療の草分けとなった佐久総合病院の伝統を受け継ぐ、民衆の県である。


東京とか大阪の弁護士会は、新自由主義から利益を挙げる渉外系ビジネスロイヤーが牛耳っている。
困窮した弁護士は、彼らに付いていけば、その内にいいことがあるかもしれないという切ない幻惑から抜けることはあるまい。
したがって、申し訳ないが、ことTPP関連事項については、「国家戦略特区」違憲問題も含めて、日弁連には何も望めない。
日弁連ができることは、従来から取り組んできた課題の連続上にある課題だけで、TPPのような経済が人の生命や健康、生活を飲み込むような新たな課題には決して取り組めないに違いない。
今にして思えば、弁護士大増員は、グローバル資本専制社会主義国家建設への長い道程として位置づけられていたに違いない。
司法改革の大成功である。


長野県弁護士会の声明は、民主主義・国民主権の観点からの秘密交渉の国民不在を鋭くつくものとなっている。
内容自体より手続に比重を置いた声明は至って穏当であり、誰しも異議はないといえよう。

しかし、現実は、歪んでいる。
安倍政権は、会期53日の短期国家では、日本版安全保障会議設置法と、『政府情報ブロック・国民コントロール法』を最優先させる方針と伝えられ、売り物の経済政策にかかる『産業強化国民奴隷化法』や『黒い特区法』すら優先順位が低いと伝えられる。
東京新聞10月24日


一体、いつ、日本全体の在り方を変え、国民の生命・健康・暮らしに重大な影響を及ぼすTPPに関する議論をするつもりなのか。
英文1000頁に及ぶアメリカとの自由貿易協定を野党不在の議会で議論すらなく承認する安倍政権の姿が目に浮かぶ。

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平成25年10月12日

環太平洋パートナーシップ協定(TPP)への交渉参加の秘密保持契約が国民主権・国会の最高機関性等に反することを懸念する会長声明

                    長野県弁護士会          
                      会 長          
  諏 訪 雅 顕

 

政府は,環太平洋パートナーシップ協定(TPP)交渉について,本年7月に開催されたマレーシア交渉から参加を開始したところである。


TPP交渉への参加について,政府は,平成25年7月25日付け甘利明TPP対策本部長名義の「日本のTPP交渉への正式参加について」という文書の中 で,「アジア太平洋地域における新たなルールを作り上げていくことは,日本の国益となるだけでなく,世界に繁栄をもたらし,この地域の安定にも貢献するも のであり,日本が一旦交渉に参加した以上,重要なプレーヤーとして,新たなルール作りをリードしていく」「強い交渉力を持って,守るべきものは守り,攻め るべきものは攻めていくことによって,我が国の国益を最大限に実現するよう全力を挙げて交渉にあたる」などと表明している。


しかし,「我が国の国益を最大限に実現する」にあたって,その「国益」の判断が政府ないし官僚機構の独りよがりの判断であってはならない。また,TPPへ の参加が真に「国益」に適っているか否かの判断は,TPPに参加した場合の効果等について広く国民に情報提供した上で,国民的議論を踏まえたものでなくて はならない。それにも関わらず,報道に拠れば,TPP交渉への参加国には秘密保持契約の締結が求められ,政府はマレーシア交渉からTPP交渉に参加するに あたり,この秘密保持契約を締結したとされている。その契約によれば,交渉中はもとより,協定発効から4年間は,交渉経過等の開示が禁じられるとされてい るとのことであり,交渉中に国民に十分な情報発信を行ってTPPに関する国民的議論を行うことが不可能である。更に,外交に対する民主的コントロールを必 要とする,条約締結に関する国会の承認権(憲法73条3号但書)の行使にも支障が生じることは明らかである。


TPPは21分野にわたって行われるものであり,食の安全や環境・労働,国民生活に不可欠な各種サービスなど,国民の生活に大きな影響を及ぼす広汎な分野 が交渉の対象となっているが,それらの分野に於いては例外規定に該当しない限り完全な自由化が求められるとされる(ネガティブリスト方式の採用)。また, 投資分野に於いては,ISDS条項(外国の投資家や企業が,進出国において相手国政府の法律や行政上の不備等で損害を被った場合,協定に基づいて相手国政 府に対する損害賠償を相手国の司法手続ではなく国際仲介機関によって解決することを選択できるという条項)を入れることが見込まれる。そうなると,国民の 生命・身体・健康・財産を保護するために行う国家の規制や,日本固有の司法権のあり方や弁護士制度を含む司法制度等についても大きく改廃を迫られる危険が ある。そのように,国民生活に多大な影響が出るTPPへの参加の是非や参加した場合の内容が,十分な情報による国民的議論なしに決められ,国会の承認にす ら十分な情報が提供されないことは,およそ国民主権(憲法前文,1条)や国民の知る権利(同21条1項参照),国会の最高機関性(同41条)に反し,到底 容認されるものではない。


以上の意味で,国民生活に多大な影響が出るTPP交渉への参加が,国民や国会に対して十分な情報を提供なく進められることは憲法の理念に反するものであ り,当会は,このような現状を強く憂う。真に政府が,国益のために「強い交渉力を持って,守るべきものは守り,攻めるべきものは攻めていく」決意を持って いるのであれば,現状の秘密保持契約のもつ問題性を根拠として,国民や国会への十分な情報の提供が可能となるような新たな約定を交わすべく交渉すること, それが不可能であれば,直ちにTPP交渉から脱退することを求める次第である。

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