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2013年10月28日 (月)

【拡散希望】TPP交渉と憲法73条3号但書 国会の承認権をめぐって

TPPに対する長野県弁護士会の会長声明は、TPP交渉が秘密交渉とされる観点から、国民主権、国権の最高機関性を侵害することを指摘するものである。
交渉締結過程の秘密性について、改めて憲法問題を提起したものである。


同弁護士会の会長声明には以下のくだりがある。

その契約によれば,交渉中はもとより,協定発効から4年間は,交渉経過等の開示が禁じられるとされているとのことであり,交渉中に国民に十分な情報発信を行ってTPPに関する国民的議論を行うことが不可能である。更に,外交に対する民主的コントロールを必要とする,条約締結に関する国会の承認権(憲法73条3号但書)の行使にも支障が生じることは明らかである。

条約に関する国会の承認権の論点については、同弁護士会の会長声明から教えられる点も多い。


この条約に関する国会の承認権について、TPPの関係で、少し補充して考えてみたい。


外交関係の民主的コントロールについて、結論的に条約を締結するか否かだけではなく、条約によっては、どのような条約を締結するのかという条約の内容面にも国会の承認権を背景として民主的コントロールを及ぼすのが望ましい。


さらに、条約の場合、国内法の整備(法律の改廃、新法の制定など)を要するもの(法律事項を含む条約)とそうでないものがある。
法律の改廃を要する条約にあっては、とくに交渉過程から国会の議論を背景として交渉に臨むことが必要ではないか。
単一の論点であれば、承認決議のみの関与で十分であるかもしれないが、複数の論点に渡る場合には、国会が唯一の立法機関であるとする趣旨を踏まえれば、交渉過程で国会における議論が必要的と考えるべきケースもあり得る。
そうでなければ、国会は、不可分の条約の場合には、望ましい改廃と、望ましくない改廃をセットで承認するか否決するかの二者択一を迫られることになる。
これは唯一の立法機関としての国会の権能を侵害すると考えることができそうである。


以上を前提として、さて、TPPである。
TPPの本質は非関税障壁の撤廃にあり、広範囲にわたる法令の一括した改廃が必要とされる。
このような一括改廃は、本来、行うべきことではない。
医療の問題は、医療の問題として、労働の問題は労働の問題として、食生活の問題は食生活の問題として、それぞれ個別に議論し、決定すべきである。
国会立法一括バーゲンのような条約は、この点ですでに問題がある。


仮に百歩譲って、この点に目をつむるとしても、それであれば、最低限、政府の交渉に国会を通じて民意を反映させることが絶対に必要だ。
このような広範囲な法令の改廃を伴う条約については、交渉段階から、交渉の進展の都度に、どのような交渉姿勢で臨むかを国会で議論すべきである。
唯一の立法機関であり、国権の最高機関である国会の意向を受けて、個別論点についての国民の意思に従って政府は、交渉に臨むのが当然である。
理想論であるが、憲法論として正当だと思われる。


現実は、交渉参加に先だって秘密保持契約を結ぶことになっており、一切の情報が非公開になっている。
あらゆる国民に影響が及ぶことが必至であるのに、ごく限られたメンバーだけが内容を知っている。
このような状態は、まず、民主主義とは呼べない。
国民主権でもない。
一握りによる一括り主権である。


仮にTPPが署名されて、国会の承認を求める段階になったとしよう。
さすがに、この段階になれば、TPPの正文(英語)は国会議員に示される。
仮に国会議員が、膨大な英語が読めたとして、実は、これだけでは、TPPの条文の意味内容を知り得たことにはならないのだ。
条約法に関するウィーン条約31条によれば、条約は「文脈」によって解釈しなければならないとされており、この「文脈」には、


(a) 条約の締結に関連してすべての当事国の間でされた条約の関係合意


(b) 条約の締結に関連して当事国の一又は二以上が作成した文書であつてこれらの当事国以外の当事国が条約の関係文書として認めたもの 

を含むとされている。


ところが、秘密保持契約は、
TPP発効後4年間は「交渉原文、各国政府の提案、添付説明資料、交渉の内容に関するEメール、及び交渉の文脈の中で交換されたその他の情報」は絶対的に秘匿することとされている(ニュージーランド首席交渉官マークシンクレア)。
当然この中には、条約を解釈すべき「文脈」が含まれている。


つまり、TPPの規定の意味を解釈するために法律的に必須不可欠だとされている「文脈」を与えられることがない状態で、国会は承認決議を迫られることになるのだ。

条文は出てきた。
しかし、必要な「文脈」がないので、いったい、この条文がどういう意味を持つのかもわからない。
改廃を要する法律が何なのか、わかるものもそれなりにあるが、分からない部分も相当残っている。
この段階で、国会の承認がなされる見込なのだ。


本来、これほど国会を馬鹿にした話はない。
国会は、主権者である国民の代表であるから、これほど国民を愚弄する話はない。


しかし、これが法的な事実だ。
世界帝国主義を目論む者にとって、民主主義はすでに過去のものになりつつある。


しかし、敢えて言う。
そのような状態で国会承認がなされたとしても、そのような白紙委任的な承認は、憲法73条3号但書による国会承認には該当しない。
国会の承認が形式的に成立したとしても唯一の立法機関としての責務を放棄して白紙委任的になされた承認は憲法41条に違反し、無効である。

そのことは二つのことを意味する。
第1に、行為規範としては、国会は、憲法41条が国会に課している責務に忠実であるのならば、TPPを承認すべきではない。
第2に、評価規範としては、仮に国会がTPPを批准してしまったとしても、それは無効な国会承認だというほかない。
したがって、TPPは、国内法的には永続的無効な状態が続く。

ごまかされずに、屈することなく、闘い続けるかどうかは、私たちの選択に任されている。

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