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2013年10月26日 (土)

有害産品輸入促進ルール(SPS) 詳説4 予防的アプローチの制限1

いよいよ、有害産品輸入促進ルール(SPSルール)史上、最大の争点となっている予防的アプローチの限定(暫定性)について述べたい。
第6ルールまで、国民の生命・健康を守る国家の主権が、がんじがらめにされている中、この第7ルールだけは、とりあえずは、恣意的で差別的でなく、偽装された障壁に当たらなければ、「十分な科学的証拠」がなくても輸入制限的措置を採ることができる、とする。しかし、実態はここも息苦しい。


《第7ルール》予防的アプローチの暫定性ないし制限(5条7項)



十分な科学的な証拠がなく、健康被害等の有害情報がある段階で、被害を予防する観点から輸入制限措置を採ることを予防的アプローチと呼ぶ。
(環境法学で使われる「予防原則」とは呼ばない。おそらく「原則」はあくまで「国際経済活動の自由化」であり、衛生的観点からなされる「予防」は修正の手法に過ぎないというのが国際経済法学の意地だからだろう)
さすがのSPSルールも予防的アプローチまでは否定はしない。しかし、あくまでも暫定的なものでなければならないとされている。暫定的な期間内にさらに情報を集めて、有害だとするに足りる十分な科学的証拠が得られなければ、予防的アプローチに基づいて採られた措置は再検討しなければならない。限られた期間内では科学的な証拠は見つからないが、疑わしいという場合、第7ルールは、輸入制限措置の撤回を求めるのだ。



法的な説明をとりあえず離れて、ここで少し息をつきたい。ちょっと立ち止まって現代日本のありようを見ておきたい。
第7ルールを考える上で、常々感じている数々の違和感と、向き合っておく必要があると思う。



たとえば、子宮頸ガンワクチンの定期接種問題。
少女が痛ましい副作用に苦しむ姿を見て、胸を痛める人は多いだろう。
激甚例も含む、2000件に及ぶ副作用報告があった。
その結果、採られた措置は、積極的に定期接種を勧奨することをやめるに止まっている。いや、積極的勧奨をやめたのではない。とりあえず積極的に勧奨することを差し控えているにすぎない。
子宮頸ガンワクチンについては、子宮頸ガンの前がん症状(近藤誠氏がいうところの「がんもどき」に近そうだ)に対する効果が認められているに過ぎない。直接、子宮頸ガンの予防効果が証明されているわけではない。しかも子宮頸ガンで死亡するのは大半が60歳以上で、20歳代の罹患者は多いが、死亡例はほとんどない(製薬会社のグラフを見ても、死亡率は40代、さらに60代後半から一気に上がるが、30代までの死亡率は極めて低い)。さらに子宮頸ガンワクチンには5年を超える薬効は確認されていない。

図:子宮頸がんの罹患率と死亡率(日本人女性)国立がんセンターがん対策情報センター / 図:日本における20~39歳の女性10万人当たりの各種がんの発症率推移 国立がんセンターがん対策情報センター、人口動態統計(厚生労働大臣官房統計情報部)

それなのに、なぜ12歳から16歳の少女に定期接種をし、少女達をいたずらに苦しめなければならないのか。
薬効は明らかではない、激しい副作用例は多い。少し前なら、薬としての承認が取り消されたのではないか。少なくとも、定期接種はやめて、これ以上、少女達に痛ましい被害が発生するのを防いだろう。



しかし、そうはならない。積極的勧奨の中止に止まる。
少女達に現れた病的な現象が副作用であることの科学的な証拠が十分にそろうか、その間、定期接種の積極的な勧奨は差し控えるというのが、この国の行政だ。




僕には、この国の行政が、まるで逆に見える。定期接種までするのであれば、子宮頸ガンワクチンの薬効には科学的な確実性ある証明が必要だろう、副作用についてはそのおそれが認められれば、必ずしも厳密な科学的立証は不要ではないのか。
人間の論理から言えば、この国の行政は、まるで逆立ちしているのではないのか。
どうしてこうなってしまうのだろうか。



子宮頸ガンワクチンの製薬会社はイギリスのグラクソ・スミス・クライン社(サーヴァリックス)とアメリカのメルク社(ガーダシル)だ。平成25年度の定期接種に盛り込まれる予算は1000億円以上に上るとされる(月刊日本平成25年6月号)。
つまり、定期接種を取りやめたりすれば、英米の2社には莫大な損害が発生することになる。
そして、国際経済法の規律原理を介すれば、2社の私益を図ることこそ、まさに全世界の国民、とくに消費者の福利の実現につながるということになる。



SPSの措置は、必ずしも輸入だけには限らない。国内での使用方法の制限等であっても、それが貿易に影響する場合、「措置」と見ることができるようになっている(付属書A1条の「措置」の定義は非常に広汎である)。ただ薬剤については、微妙にSPSルールが措置の目的とする事項とずれているようにも見える。
しかし、行われていることは、あまりにもSPSルールに酷似し、企業利益に偏っている。
念のため厚労省に確認してみたが、SPSとは無関係だとのことだった。



そう、日本の風景は、すでに十分、国際経済法の規律原理によって汚染されている。
ルールが適用されていないところの風景も有害産品輸入促進ルール(SPSルール)もどきに支配されているのだ。
その結果、引き起こされている少女達のいたましい悲劇には言葉を失う。
これが、国際経済法が支配する世界のさまだ。
そして憲法25条1項が「すべて国民は、国際経済活動の自由を害しない限りにおいて、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する」とされる世界の姿だ。
おぞましい、世界だ。
ただ、まだ、今であれば、薬事行政の分野は転換すれば悲劇を防ぐことはできる。
しかし、TPPを結んでからでは、そうはならない可能性がある。



その他にも見ておくべき風景がある。
次の風景は、まさにSPSに直結している風景だ。
字数が増えたので、次回に譲る。

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