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2013年10月22日 (火)

賛成していいんですか? 東京オリンピックを「元気な日本へ変革する大きなチャンス」とする決議 冷静なウォールストリートジャーナル 取り込まれる共産・社民

10月15日、衆参両院でオリンピック推進決議がされたそうだ。
決議は衆参両院とも同じ内容。五輪開催を「元気な日本へ変革する大きなチャンスとして国民に夢と希望を与える」と強調したものだそうだ。
山本太郎参議院議員以外、反対者も棄権者もないということだそうだ。


共産党も、社民党も「元気な日本へ変革する大きなチャンス」とオリンピックをとらえているということだ。
げんなりだ。


オリンピックが、平和の祭典らしい体面を保っていたのは、もう遠い昔の話だ。
しっかり、コマーシャリズムに占拠されたオリンピックが「変革のチャンス」だなどと、共産党も社民党もよく言えたものだ。
とくに共産党は未だに共産主義政党のはずだが、どこをどう取り替えれば、資本主義の祭典を「変革のチャンス」にできるというのか。
一貫性があるとは到底思えない。


東京オリンピック決定に関する社説を全部見た訳でもないが、ウォールストリートジャーナルの社説が、情緒に流れることなく、一番、本質を突いていたと思う。



WSJjapan社説 2013年9月10日

 東京が2020年夏季五輪の開催地に決定した。一部コメンテーターはイスタンブールやマドリードと比較すれば「安全な選択肢」だったとし、日本の首都に気の抜けた称賛を送った。しかし、われわれはこの大会が日本、周辺地域、世界を奮起させるイベントになると予想しよう。

 1964年東京五輪は、軍国主義という精神的つまづきと大戦による物理的荒廃から日本が国際舞台に復帰することを象徴するイベントとなった。五輪がまだ高いモラルを備えていた時代に東京で聖火をともすことは、日本が民主主義、寛容、自由に向け前進していることを国際社会に認めてもらうことを意味した。五輪がより外向きな国家的世界観を形成するきっかけとなったことを示す証拠は、この時代を生き抜いた日本人が示すことになろう。


 それから半世紀、日本も五輪ムーブメントも大きくつまずいている。東京は景気停滞と、福島第1原発のメルトダウン(炉心溶融)を招いた政府の稚拙な原発運営で知られるようになった。08年北京五輪は、中国の自由化を促す原動力になるとうたわれたが、むしろ中国共産党が社会をコントロールする新たな手段を得るきっかけとなり、以来共産党は中国全土でそれを展開している。来年ロシアで開催される冬季五輪も、やはり権威主義体制の虚栄心を満たすプロジェクトにすぎない。開催地の選考プロセスは低俗化し、そもそも選ばれることは名誉なのかと疑問を持たずにいられないほどだ。

 しかし、ロンドンが昨年示してくれたように、正しく実行しさえすれば、五輪は国家的ムードを盛り上げ、自信を高める力を依然として持っている。日本がまさに必要としているのがそうした高揚力だ。

 
安倍晋三首相が環太平洋経済連携協定(TPP)の交渉参加を受け入れたことで、日本が競争相手に国境を開放すれば、教育水準が高く革新的な市民が世界の第一人者であることを再び証明してくれるのではないか、との期待が持ち上がっている。問題は、利益団体による政治的駆け引きと日本を部分的鎖国状態にしておくことを望む社会的惰性にある。それは日本の衰退につながる。ゆっくりとした下降で、恐らく快適ではあるだろうが、衰退は確実だ。

 安倍首相は提案していないが、論理的と考えられるのが、改革の範囲を広げ、日本の国境を移民にも開放することだ。そうでなければ日本の人口は縮小する一方だ。ここでも選択肢はやはり閉鎖的で停滞した国であり続けるか、開放的な社会としてより明るい未来を目指すかの選択だ。賢明な日本人はそれが必要だということは分かっている。しかし、それについてあえて議論しようとする政治家はほとんどいない。


 日本は歴史上、国家的コンセンサスが突然変化する場面を何度も経験してきた。ペリー提督率いる黒船の電撃的な来航をきっかけに、明治維新によって世界への扉を開くことになった。そして、第2次世界大戦の敗戦が2度目の開放につながった。さらに2年前、当時の野田佳彦首相は、TPP 交渉参加への意欲を表明した際、日本は「第3の開国」を迎えようとしていると語った。


 しかし、政治的抵抗は、日本の国内世論がまだ転換点に達していないことを示しており、最終的にTPPが批准されるかどうかは確実とは言えない。移民制度改革となれば、なおさらだ。日本は幸運にも、この民主主義の時代にあって差し迫った戦争も革命もない。したがって、
大胆な開放を望む人たちにとっては、決起する別のきっかけが必要だ。東京で行われる2度目の五輪がその重要な役割を果たす可能性がある。


 日本は、戦時の恨みを晴らさんとするかのような中国の台頭をはじめ、多くの難題に直面している。日本が経済的に復活し、民主主義を導く光となって周辺地域をリードできるかどうかは、これまで日本の発展に大きく貢献してきた開放性を再び受け入れられるかどうかにかかっている。20年五輪が日本の経済的・政治的復活に弾みをつけるきっかけとなれば、五輪ムーブメントにも新たな息吹が吹き込まれることになるだろう。


この社説は、2020年オリンピックが東京にきっまたのは、マイナス比べの結果だと冷静に分析。
何と言っても、隣国シリアが攻撃されるかもしれないイスタンブールとの決選投票になったのだから、ご説ごもっともだ。
運動(ムーブメント)として見たときの五輪が「大きくつまずいている」ことは社説のとおりであり、アマチュアリズムが称揚されたアスリートの闘いとはかけ離れた商業主義が五輪を覆っている。
だから、WSJは東京決定自体、「選考プロセスは低俗化し、選ばれること自体名誉なことなのか」と疑問を呈してさえいる。


「08年北京五輪は、中国の自由化を促す原動力になるとうたわれたが、むしろ中国共産党が社会をコントロールする新たな手段を得るきっかけとなり、以来共産党は中国全土でそれを展開している」と総括し、ソチ五輪もロシアの虚栄心を満たすプロジェクトに過ぎないとして、つれない。


ただ、2012年のロンドン五輪は評価している。
「ロンドンが昨年示してくれたように、正しく実行しさえすれば、五輪は国家的ムードを盛り上げ、自信を高める力を依然として持っている。日本がまさに必要としているのがそうした高揚力だ。」という。


後半は、もっぱら経済論であり、五輪をTPPの示した発展方向に日本を持って行くことができるのか、閉鎖的な社会的惰性、利益集団の抵抗を戒める。移民を受け入れるように勧奨し、日本が大胆な開放に向けて、一大革新を遂げる画期になることを力説している。


要するにTPPを速やかに受け入れ、国家資源を国際市場に任せる画期になることこそが、東京五輪の意義だと強調している。
そのとおりになっている。
バリ会合をオバマが欠席したために気の抜けたビールのような状態にあるTPPを安倍首相は日本が主導すると力んで見せている。
「国家戦略特区」による日本の国家機構の解体売却もしばしば東京オリンピックの成功と結びつけて語られている。


何より「汚染水はコントロールされ」「ブロックされている」と、原発事故をだしに使ってまで、オリンピックを誘致するという倒錯が存在した。


そうした中の「元気な日本へ変革する大きなチャンスとして国民に夢と希望を与える」決議である。
ウォールストリートジャーナルが「大胆な開放を望む人たちにとっては、決起する別のきっかけが必要だ。東京で行われる2度目の五輪がその重要な役割を果たす可能性がある。」と強調している意味合いがわかっているのであろうか。
共産党も社民党も、生活もよく足下をみてほしい。
オリンピック翼賛体制にますます組み込まれれば、TPPや国家戦略特区による統治機構の売国バーゲンセールに加担することになるに違いない(怒)。


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