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2013年11月 7日 (木)

トヨタの繁栄と衰亡  マチベンの反グローバリズム論

トヨタが過去最高の国内営業益を挙げるそうだ。
マチベンは、トヨタの営業益が日産に抜かれて世界4位に転落したときに、「トヨタ対日産 トヨタ4位転落も トヨタ持ち」(2012年1月20日)と書いた。
今、日産は苦しみ、トヨタが復活している。
当たり前のことが当たり前に起きている。


しかし、これはまた、表面的なことに過ぎない。
今回は、トヨタを批判する(アドバイスのつもりだ)。
秘密保護法は「国民家畜化計画」だという本質を突いた指摘はどうも不興を買うようだ。マチベンの癖である、ぶっ飛んだ議論展開を避けて、できるだけ順を追って書いてみる。


まず、この国内過去最高益は、トヨタ自身が言っているとおり、たかだか「円安」のおかげに過ぎない。
要するに日銀が歴史的金融緩和をしてお札を刷りまくったおかげで、円が安くなって輸出が伸びたというだけだ。
日銀がお札を刷ってくれれば、国内産業が儲かる。
国内産業が儲かって、トヨタの輸出が伸びれば、何となく経済成長するような気がする。
こんなのは何かおかしいと、マチベンは違和感を持つ。
真っ当なことに、アメリカからは、TPPとの並行二国間協議のテーマとして「為替操作」の禁止を通告されている。
(密室交渉だから、正確には「通告されている、筈だ」である。
アメリカが真っ当なのは他者に対する要求だけで、FRBの超大規模な金融緩和はアメリカからすれば、断じて為替操作ではない、ということになる。むろん、その逆パターンも多い)

 

日銀が、この間にどれほどのお札を刷ったかは、経済の専門家に聞いてもらいたい。
多分、国民一人当たりにすれば200万円や300万円は軽く刷っているのだろう。
国内需要がある訳ではない。
だから、刷ったお札が、設備投資などの実体経済に回る訳ではない。
まして庶民の生活を潤す訳では断じてない。
むしろ生活必需品の値上がりを招いて、庶民の生活を直撃している。
日銀の刷ったお札は、一部の富裕層の懐に入って、マネーゲームに使われているのだろう。
前にもブログに書いたが、これは、かつて盛んに言われたトリクルダウン(したたり落ちる)ではなく、構造的サックアップ(絞り上げる)なのだ(「トリクルダウンとサックアップ」2012年12月25日)。


ついでに余分なことを書けば、トヨタが輸出する都度、輸出価格の概ね5%相当額が、輸出戻し税(実質的な輸出奨励金)としてトヨタに払い戻されている。
詳しい数字は忘れたが、庶民が払う消費税、二重事業税としてマチベンのような零細業者の経営を圧迫する消費税の内、相当な巨額が、戻し税として輸出業者に戻されている(「バブルの死角 日本人が損するカラクリ」)。
確か、消費税5%レベルで消費税収からおおよそ1兆3000億円が輸出業者に戻されている。
消費税を8%に上げれば、2兆円くらいは輸出業者に戻される。
ここにも果てしないサックアップの構造が見え隠れしている。


輸出によって経済を回復させるというのは、庶民の生活を圧迫して一部輸出企業が儲かるという構造で経済を回そうということだ。


さて、トヨタ批判はここからである。
TPP交渉参加をアメリカに認めてもらうために、日本政府はとてつもない代価を払った。


自動車分野で挙げれば、次の通りだ。
一つは、アメリカが自動車にかけている関税をTPPで認められる期間である10年間よりさらに後倒しして可能な限り長期間にわたって維持することに同意した。
米国自動車業界の意見は最低でも25年から30年以上だ。
だから、おそらく米国の自動車関税は永遠になくならないと考えていいだろう。
二つは、自動車の安全基準に関する自動車の通関手続の簡略化を約束した。
これまで2000台だった通関手続省略の台数を米国車の車種ごとに5000台まで通関手続を省略する。
米国車の輸入台数は年間1万台にも満たないから、これは実質的には米国車の通関手続免除を意味する。
さらにいえば、世界でも高水準にあると見られる日本の自動車の安全基準の撤回につながるだろう。
この点に関連して、これが日本の安全・環境基準の世界標準化という日本の経済戦略の放棄に等しいこともブログ(2013年2月25日)で述べたことがある。
三つは、軽自動車優遇策の廃止。
四つは、メーカーごとに系列化している販売店が閉鎖的商慣行であるから、系列販売店でも米国車をしっかりと販売すること。
等々。
要するに、米国車が売れないのは、日本の所為だという言い分を全部、丸呑みした。


日本政府は、交渉に入る前から、早々と交渉の切り札を切ってアメリカ=USTRに対する恭順の意を表した。
日本の自動車業界の利益は、TPP交渉参加の入場料でたたき売るほど、軽いものに過ぎなかったのだ。
ここまで軽視されれば、トヨタもさすがにTPPに反対するだろうとマチベンは考えた。
だから、そろそろ中部財界からは、TPPに対する異論の声が上がるだろうと想像した。
一時期、中日新聞が厳しくTPPの実態に迫ったこともあった。
しかし、腰砕けに終わった。


トヨタは日本を捨てるつもりだろうかとマチベンは考えた。


そんなことを思いめぐらしていた頃、トヨタはTPP推進の立場であることを明確にする情報があった。
確か今年の7月、米国通商部(USTR)が国内各界に向けて、TPPに関する意見を募集したときのことだ。


米国の自動車産業界は猛烈にTPPに反対した。
そんな中で、在米の日本自動車産業界は、TPPの推進をUSTRに求めた。
「われわれ在米日本自動車産業界は、雇用の拡大など米国の利益に貢献している」等という理由だった。


トヨタは日本を捨てたのである。


どうしてトヨタは日本を捨てたのだろうか。
関税や非関税障壁のグローバル規模での撤廃はトヨタにとって利益をもたらすと、トヨタが判断しているからだ。


このことを示す好例がある。
TPPオタクにとっては常識に属することだが、今年、韓国のカーオブザイヤーにはトヨタのカムリが選ばれた。
まだ歴史が浅いとはいえ、過去のカーオブザイヤーは全て韓国車であった。
初めて外国車が韓国のカーオブザイヤーに選ばれたのだ。
トヨタ車が選ばれた理由の一つに、米韓FTAの発効によって、韓国の自動車関税が撤廃されたことが挙げられる。
米韓FTAは、前年2012年3月に発効している。
その結果、米国から韓国へ輸出される自動車の関税がゼロとなった。
トヨタはアメリカ法人で生産した自動車で韓国に攻勢をかけた。
結果として、カムリが韓国の市場を席巻した訳である。


この場合、カムリは日本車なのだろうか。
アメリカでアメリカ人によって生産されアメリカから韓国に輸出された。
それでもカムリは日本車なのか。


この疑問は、当然、トヨタは日本企業なのだろうか、という疑問に結びつく。
そして、答えは簡単明瞭だ。
トヨタは、グローバル企業だ。

グローバルな市場主義にトヨタは利益を見いだした。
だから、トヨタはTPPを推進している。
TPPに関してトヨタのお膝元愛知県はおよそ反対の空気はない。
秘密保護法や憲法問題については、毅然としている中日新聞も完全に推進の立場に戻っている。


トヨタは、日本を捨てた。
いや、不正確だ。
トヨタにとって、日本は数ある国籍国の一つとでしかなくなった。
これが、現段階でのマチベンの結論である。


したがって、日本を捨てたトヨタは衰退の過程に入った。
これがマチベンの次の結論である。

その理由を次に述べる。


アメリカでカルテルの摘発が相次いでいる。
中でも、日本企業の系列的な下請け構造が摘発されている。
価格競争させて決めていないという点では、日本企業の系列取引は、間違いなくカルテルに該当するだろう。
アメリカは、閉鎖的で非競争的な民間取引慣行は、非関税障壁に当たると以前から繰り返していた。
日本人は、どうしてこれが非関税障壁なのか、理解に苦しむだろう。
しかし、日本人が書いた「国際経済法」の教科書ですら冒頭に近いところで「非競争的な民間慣行」は、公正な競争市場を歪ませる、つまり「非関税障壁だ」と書いてある。
アメリカが系列取引を目の敵にするのは当然だ。


トヨタがすぐれた自動車を生産し続けることができたのは、膨大な下請け企業群の技術力による。
トヨタは、意識的に、下請け企業を育成し、人材を育て、技術水準を上げてきた。
下請けに対する要求が熾烈で強圧的であることは確かだが、このことも確かなのだ。


カルロス・ゴーンCEOを迎えた日産は、短期的な業績回復のため、まず下請け企業群を切り捨てた。
生産拠点を次々と海外に移転した。
企業戦略としても、燃料電池自動車に固執するトヨタに対して、電気自動車に傾倒した。
電気自動車は電化製品と同じだから、高水準の技術は不要だ。
短期的に開発が可能で、目前の利益が見込める。
そうして2011年、日産はトヨタを抜いた。
トヨタはこの年、世界4位に転落した。


トヨタの国内生産が回復しているのは、短期的には、円安のせいに過ぎない。
しかし、円安は日産も同じ条件なのだから、トヨタと日産の再逆転は、トヨタが長期的視点を持っていたことによる。
下請け企業の技術水準の高さがトヨタを支えている。


こうして、現在、トヨタが、世界のモノ作りの頂点にあることは明らかだろう。
トヨタが頂点にあるのは、下請け企業の技術力による。
日本人にとっては当然だろうが、トヨタと下請け企業は一体だ。


しかし、市場原理主義の目から見れば、これは異常な事態に他ならない。
だから、米国では「自由競争」を著しく阻害するとして系列取引がやり玉に挙がっている。


トヨタ衰亡。
TPPを推進する限り、その結論は避けられない。
TPPによって、日本国内の系列取引も「非関税障壁」として撤廃される。
トヨタの系列会社群は、TPPによってバラバラに解体される。

これは「非競争的な民間慣行」の撤廃を求める、TPP=「国際経済法」の不可避の結論でもある。


グローバリズムを追求する限り、トヨタは雑多な自動車メーカーの中に埋もれていく。
その姿は、90年代以来、グローバリズムに傾倒して、生彩をなくした(ように見える)日本経済を見れば明らかだ。


トヨタは今、瀬戸際に立たされている。
日本企業へと軸足を戻して、モノ作りの日本を支えるのか。
それとも、このままグローバリズムの波に飲み込まれて、衰亡するのか。
再三言うが、TPPに象徴されるグローバリズムは、一握りの富裕層のイデオロギーであり、一握りの富裕層が進める運動である。
つまり、グローバリズムの相当部分は、必然ではないということだ。
だから、トヨタにとっては、これは「選択」の問題なのだ。


マチベンは、トヨタはTPPを推進して自滅への道を歩むだろうと予測している。
しかし、それでも、トヨタがTPP推進を撤回することに1%だけ期待して見守ることにする。


何度でも言おう。
グローバル化は必然ではない。
イデオロギーにまみれた運動だ。
まともな世界を取り戻すためには、どこかで誰かが、「この世界は間違っている」ということを主張し続けなければならないのだ。


「国民家畜化計画」と言いたくなる気分をわかっていただけるだろうか、とまた余分な言葉を吐いて終わることになる。


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追記
かつて菅内閣当時、経産省は、TPPによって2兆7000億円の経済効果があると喧伝した。
その主たる理由はTPPに参加すれば、アメリカの自動車関税が撤廃されるということだった。
TPPの交渉参加が認められた代償として、米国の自動車関税が、TPP発効後も10年を超えて維持されることが決まった。
その結果、経済効果は消滅したはずだが、政府は、TPPによる経済効果を3兆2000億円に上方修正している。
マチベンには何が何だかわからないことが続いている。

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