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2013年11月28日 (木)

特定秘密保護法の狙いが国家の株式会社化にある 事態のおぞましさに保守系議員よ、早く気づいて!

内田樹氏が喝破したように特定秘密保護法は、国家を株式会社化することを主たる目的とする法律である(同氏の朝日新聞の談話に関するこのブログの前記事はこちら)。
実は、この観点から見た方が特定秘密保護法の不思議な在り方も説明が付く。


秘密保護法は、立法技術的に見れば、カラの器であることはすでに何度か述べた
何を秘密にするのか定義されておらず、別表を差し替えるだけで、いとも簡単に入れるべきものを差し替えることを可能にする特殊な立法技術が使われている。


この法律は、器だけで、中身がカラであるだけではない。
この法律には、中心が存在しないのだ。
いや、外に向かって開かれているといった方が正確だ。

わかりにくい話をしているが、順に述べる。


特定秘密の指定をチェックする第三者機関について、総理自身が第三者機関になるとの答弁が登場したのは、笑いぐさになっているが、実際は笑いぐさではすまされない。
この答弁にこそ、この法律の深刻な本質が端的に表れている。
正面から、この法律の形を見れば、総理が第三者機関であるという主張は十分に合理的だ。


特定秘密をまとめて管理する機関がこの法律には規定されていない。
各省庁がばらばらに秘密を指定し、秘密は、ばらばらに存在し続ける。

秘密を集約する機関がない。
つまり、秘密を指定し、管理する中心が存在しないのだ。
日本国内で秘密を統制する機関が存在しない。
国家の安全保障を謳いながら、なぜか、国家は秘密を管理する主体になっていない。
秘密がばらばらに指定され、増殖し続ける。

統一的に秘密を管理する中心が存在しない。
だから第三者機関が問題となったときに総理が第三者になろうと言い出すことになるのだ。


しかし、総理が第三者機関だという説明にはもっと深い意味がある。


もう少し視野を広げると、秘密の中心は国内にはない、という言い方になる。
それだけではない。
むしろ、この秘密保護法が指定する特定秘密は外に向かって開かれているのだ。
そして、ここにこそこの法律の本質がある。


たとえば、この法律にはこういう規定がある。

5条4項
行政機関の長は、指定をした場合において、その所掌事務のうち別表に掲げる事項に係るものを遂行するために特段の必要があると認めたときは、物件の製造又 は役務の提供を業とする者で、特定秘密の保護のために必要な施設設備を設置していることその他政令で定める基準に適合するもの(以下「適合事業者」とい う。)との契約に基づき、当該適合事業者に対し、当該指定をした旨を通知した上で、当該指定に係る特定秘密(第八条第一項の規定により提供するものを除 く。)を保有させることができる。

 

第8条 特定秘密を保有する行政機関の長は、その所掌事務のうち別表に掲げる事項に係るものを遂行するために、適合事業者に当該特定秘密を利用させる特段 の必要があると認めたときは、当該適合事業者との契約に基づき、当該適合事業者に当該特定秘密を提供することができる。ただし、当該特定秘密を保有する行 政機関以外の行政機関の長が当該特定秘密について指定をしているとき(当該特定秘密が、第六条第一項の規定により当該保有する行政機関の長から提供された ものである場合を除く。)は、当該指定をしている行政機関の長の同意を得なければならない。

 

この適合事業者は、この法律の随所に登場する。
特定秘密は、国民には徹底して隠蔽されるが、適合事業者にはダダ漏れ構造なのだ。


そして適合事業者は、特定秘密をさらに第三者に提供することが可能だ(10条3項)。


特定秘密は、記録を作成することが義務づけられており(3条2項)、データとしてこうした適合事業者を流通することになる。


そして、象徴的な意味で、決定的なことは、特定秘密とは、わが国の安全保障に著しい支障を与えるおそれがある情報(第3条)であるにも拘わらず、その提供を受ける適合事業者には国籍規定が存在しないということだ。
つまり、わが国の安全保障に著しい支障を与えるおそれがある情報であるにも拘わらず、海外事業者でもよいということなのだ。
尤も国籍要件を定めたところで、グローバル企業を除外することができないことは見易い道理だが、それにしても国家の安全保障に関わる場面で国籍が問題とされていないのは象徴的意味を持つだろう。

 

アメリカでは、TPP関連情報にアクセスできるのは600の企業ないしその代理人たちであって、議員にはアクセス権は基本的にない。
一国の在り方に関わる重要事項を議会に関わらせずに、グローバル企業ないしその代理人に決めさせるのが現在のアメリカの国の在り方である。


ここまで来れば、話は早いと思う。


つまり、ここで規定されている適合事業者は、グローバル企業である。
国民には情報に対するアクセスを禁止し、グローバル企業には筒抜けにする。
これが特定秘密保護法の描く国家像である。


何が秘密かは秘密である。
何が秘密かは随時、入れ替えることができる。
そして、国内には、秘密のセンターは存在しない。
秘密は国外に対しては解放されている。
解放された先の、特定秘密情報の受け手はグローバル企業である。


内田樹氏は、秘密保護法は国家を株式会社化する法律だと喝破した。
国民は従業員に過ぎないから、従業員に対して大事な企業情報を提供する必要はない。
効率的な意思決定のために、民主主義を放棄して、集権型のトップダウンの意思決定の国に改組するのが秘密保護法だと。


国家株式会社論の抜けた部分が、誰が意思決定をするかだ。
形式的には、内閣・行政が意思決定しているように見えるだろう。
しかし、内閣総理大臣ですら秘密を掌握しているわけではない。
では、実質的に意思決定をするのは誰か。


この部分が、内田氏の株式会社論から抜け落ちていた部分だ。
秘密を集約しうる者が、この国の意思決定を担うのだ。
そして、秘密を集約しうる者は、この法律の中には「適合事業者」しか存在しない。

 

国内にセンターのない不思議な秘密保護法のセンターは層としての「適合事業者」である。
グローバル経済ルールが好ましいと考えている、一握りのグローバル企業とその代理人(ロイヤー)が、「適合事業者」として、海外の、あるいは国家の上部空間にある、センターに座り、この国の意思決定を行う。
意思決定を行う、個別の「適合事業者」はその都度、入れ替わるだろう。
しかし、「適合事業者」と称するグローバル企業が意思決定を行うことはこの法律で確実に担保される。

 

そして、むろん「適合事業者」が誰かは、「特定秘密」である。


この国は、かつて米国の対日要求によって、延々と続く会社法の改正を強いられた。
結局、会社法は、かつての会社法とは、似ても似つかぬものとなった。
その過程では、会社とは誰のものか、という議論が行われた。
従業員のためのものでなければならないのではないか、あるいは社会的存在なのだから社会のためのものでなければならないのではないか、と。
しかし、結局、株主のものだ、株主利益を最大化するのが会社だということで事態は決着してしまった。


秘密保護法は、国家を株式会社化する。
株主は誰か。
株主は、グローバル企業だ。


この際だから、そのことは明確にしておく。


秘密保護法は、グローバル企業が、日本の意思決定を効率的に行い、日本の資源から最大限の利益を収奪するために使うツールなのだ。
これから、この国は、インフラや国家機構も含めて、彼らの収奪や頻繁な取引の対象とされるだろう。
オリンピック確定済みの巨大都市東京などは、グローバル企業にとっては、垂涎の的である。


朝日新聞の内田樹氏インタビューは、後半にこういう展開がある。

法律ができれば、反政府的言論人や労働組合は『経済成長を妨害するもの』として抑圧され、メディアも政府批判を手控えることになるでしょう

この法律のテロリズムについての注釈が(「テロリズムの定義について」)、最終的には「主張に基づき、他人や国家に強要する活動」に行き着くことはすでに述べた。


日本の株主となるグローバル企業にとって、企業活動を妨げる行為は、まさにテロリズムなのだ。


あまりにも不格好な法律の姿は、こう考えて初めて説明できる。

グローバル企業よ、お前たちのやることは、あまりにもぶざまで、醜い。


みんなの党は、こうした文脈を理解して秘密保護法に賛成したのだろう。
しかし、大半の自民党議員や公明党議員は違う筈だ。
維新の会の議員も、この構造には反対だろう。

国会議員の方々、この法律のぶざまな異様さに一刻も早く気づいてください。
知らなかったでは、すまされない場にあなた方は立たされています。
知り合いに、秘密保護法に賛成しそうな自民党や公明党、維新の党の議員がおられる方、この論考を一刻も早く議員に届けてください。


願わくは、内田説と内田説に基づくこの論考が、参議院での審議において参照されることを祈る。

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この議論は、多分、あまりにも突飛で、際物に見えるかもしれない。
正気ではないかのように見えるかも知れない。
しかし、残念ながら、ここで提示した理解は、この法律の本質を突いていると言わざるを得ないものだ。


追記
「外国人に対する処罰規定がない」、はガセネタだ。
弁護士なのに日弁連が反対している法律に実名でなく登場するような弁護士には注意した方がいい。
しかし、ここに提示した根本的な法律構造はガセネタではない。

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