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2013年11月 8日 (金)

『テロリズム』の定義について 秘密保護法

政府に反対する国民運動は、秘密保護法上の『テロリズム』に該当するというマチベンの意見に対して、官邸筋からは、これを否定する見解が流されている。


こういう場合、マチベンは身分が低く、官邸は身分が高いから、官邸が正しいとする考え方をする人が多い。
現代日本の狂奔ぶりは、とても特別な状態であるので、そのような論者の属性でものを考える常識で判断すると、道を誤る。
あくまでも言っている内容、中身で判断する必要がある。
今日も、敢えてマチベン節を押さえて、論理的に説明する。


秘密保護法には、実は、テロリズムに関する定義規定がない。
特定秘密の取扱者の適性評価について定める12条2項1号の調査事項の「テロリズムとの関係に関する事項」とある「テロリズム」の後の括弧書きの中に、注釈的な記載がなされているだけだ。


通常、行政法規には、冒頭に定義規定が並ぶ。
秘密保護法のように特定秘密を保護し、特定秘密には4分野あるということであれば、まずは、「秘密」を定義し、4分野のそれぞれを定義する。
「特定有害活動」とか「テロリズム」など、外延が決められないような用語を用いる場合は、必ず定義規定が置かれる。
しかし、この法律には、定義規定がない(厳密には「行政機関」についてだけは定義規定が置かれている。比喩的に言えば、まんじゅうの皮だけ定義している)。
結果として、この法律の趣旨である守ろうとする秘密自体について、定義規定を欠く。
マチベンが殻だけあって中身がないというのはそういう意味だ。
そして、これは法律を見慣れていれば、すぐ気がつくようなレベルの、極めて特殊な法律の作り方だ。


さて、括弧書きにしろ、『テロリズム』について、法案はどう書いているか。


(政治上その他の主義主張に基づき、国家若しくは他人にこれを強要し、又は社会に不安若しくは恐怖を与える目的で人を殺傷し、又は重要な施設その他の物を破壊するための活動をいう。同表第四号において同じ。)


この文章は、
① 政治上その他の主義主張に基づき、国家若しくは他人にこれを強要
② 社会に不安若しくは恐怖を与える目的で人を殺傷
③ 重要な施設その他の物を破壊
するための活動と3つの活動を指していると読める。


官邸筋は、この文章は次のように読むのだと主張している。

(① 政治上その他の主義主張に基づき、国家若しくは他人にこれを強要する、または
②社会に不安若しくは恐怖を与える)
目的で
Ⅰ 人を殺傷
または
Ⅱ 重要な施設その他の物を破壊
するための活動。
を「テロリズム」という。


官邸筋によれば、冒頭の①、②は、Ⅰ殺傷活動、Ⅱ破壊活動の目的を指しており、①だけを採りあげて、政治上その他の主義主張に基づき、国家若しくは他人にこれを強要する行為を『テロリズム』とするのは、誤読だという。


官邸筋の主張は常識的である。
かつ、身分の高い者の主張だ。
したがって、平時であれば、マチベンの負けである。
しかし、今は、残念ながら、平時ではない。
何が起きても不思議ではない時代に突入している。


問題は、マチベンが主張するようにもこの法律は読めてしまうこと、そして、重要な「秘密」の定義が正式には何もされていないという法律の異様さにある。


両義的に読める文章を修正することは簡単である。
次のように書き換えればよい。


政治上その他の主義主張に基づき、国家若しくは他人にこれを強要する目的で、又は社会に不安若しくは恐怖を与える目的で人を殺傷し、又は重要な施設その他の物を破 壊するための活動をいう。


赤字のように訂正すればよいだけで、立法技術的には極めて容易だ。
いや、むしろ、最初から、多義的に読めるような文章自体、立法技術の上からは回避される。


この法律は、敢えて両義的に読めるような文章を使っていると考えて間違いないだろう。


意味するところが、マチベンが秘密保護法について主張するような非常識で恐ろしい世界を目指しているのか、官邸筋の言うように常識で考えてくださいよというような範囲に止まっているのと見るのか。


国民・市民の眼力が問われる。


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