TPPの知的財産権によって実現する素晴らしい監視社会の完成
New Sophia 11月14日から再引用
【危険な5つの条項】
インターナショナル・ビジネス・タイムズは、この草稿について、危険な5つの点を指摘した。草稿は95ページの、3万語から成る緻密で難解なもので、多数の権利擁護団体や独立組織による分析がなされた結果だという。
1. 基本的なインターネット利用の凍結
インターネットへのアクセスにおいて、コンピュータが一時コピーを作成するのに権利者の許可が必要になる可能性がある。通常のルーチン作業にも、動画をバッファリングしたりウェブサイトをキャッシュするにも一時コピーの作成は必要で、技術的な必要性を無視している。
2. 医薬品へのアクセス制限
医薬品の特許が延長される。ジェネリック薬など、安価な医薬品が入手しにくくなる可能性がある。
3. 外科療法への特許保護を拡張
外科治療に必要な機械、製品、薬品に適用されている特許例外が排除される可能性がある。
4. 著作権保護期間の延長
現在、作者の死後50年を上限に各国が個別に定めている著作権保護期間が、個人の場合は作者の死後70年または発表後95年に、企業所有作品の制作後は 120年に、延長される可能性がある。経済学者や法律学者の研究では「著作権の最適な長さはせいぜい7年」だという。これほどの延長はむしろ公益に反す る。
5. インターネットサービスプロバイダに著作権違反を監視するよう仕向ける
著作権侵害「の申し立て」が3回あったインターネットユーザーのアクセスを遮断し、その者の身元を明らかにするよう、プロバイダに要求する。これは監視業務の経済的および管理上の負担をプロバイダに押しつけることでもある。
知財高裁なるものが対日要求で作られて以来、マチベンは特許から遠ざかっているので、得意分野ではないことを前提に、大胆にも上記のうち、すぐにはわかりにくいかと思われる、いくつかについて自分の理解を述べる。
1について
この文章を前提にする限り、次のようなことが指摘されているものと考えられる。
(マチベンは、高校時代以来、まともに英語を触ったことがない。ただいま特訓中であるが、英文を読みこなすまでには、まだまだ時間がかかるので、日本語がたよりである)
インターネットサイトを円滑に開くことができ、現在のように幾つもタブを開いたままにするような効率的な使用方法が確立するについては、開いたページで使われている多数のファイルを一時保存フォルダに保存しておく仕組みが必要だ。
このキャッシュ方式は、インターネット技術の標準装備になっている。
キャッシュ方式を利用しなければ、アクセスする度に、ページ毎に使われている多数の構成ファイルを、いちいち最初から読み込まなければならず、インターネットの効率性は著しく削がれることになる。
TPPの知財章は、この現実を無視して、ファイルダウンロードについて一律に、著作権者の許可が必要だとしているように読めるということを指摘していると思われる。
インターネットサイト技術を20年近くも逆行させようというとんでもない考え方を、TPPは採用しようとしていたらしい。
表向きは、いわゆる「ディズニーを守る」という、ただそのことだけのために、である。
5について
プロバイダーに対する義務付の議論らしい。
著作権法違反の申立が3回あったネットユーザーのインターネットからの追放。
そして、身元の開示。
そうした義務づけをプロバイダーに対して行うということだ。
プロバイダーは常時ネットユーザーを監視する一種の取締機関と化する。
すばらしい世界だ。
標準技術である、キャッシュ方式が、1によって、著作権法違反になるとすれば、PCはむろん、スマホ、携帯に至るまで、これを使う国民は全員が著作権法違反を常態として犯していることになる。
著作権者と称する者、-ひょっとしたら著作権者とすら称さなくても良いかも知れない-から3回申立がなされると、ネット使用が禁止され、さらに身元を開示されることになる。
待っているのはアメリカ流のハイエナ弁護士の群だ。
法の支配を行き渡らせるという大義名分を与えられたハイエナどもは、容赦なくネットユーザーを襲うだろう。
素晴らしい。
司法改革が社会の隅々まで法の支配を行き渡らせると謳っていたのはこうしたことを想定してのことだろう。
弁護士業界にとっては、業務拡大に資すること大、干天に慈雨である。
著作権法違反の非親告罪化が発効するようなことでにでもなれば、国家は、随時、任意の国民を選択して、いつでも逮捕できるという恐るべき力を手に入れることになる。
素晴らしい監視社会の誕生である。
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