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2013年12月 3日 (火)

投資家世界法に縛られる国家主権と投資家による国家意思決定

11月28日の記事では秘密保護法には、①国民に対する情報の隠蔽と、②グローバル企業による情報の管理、③そして情報を独占したグローバル企業による国家経営及び国家の収奪、というおぞましい構図が埋め込まれていることを法律の構造に即して明らかにした。


11月29日の記事では、「適合事業者」に関して法律が異様に寛容で情報ダダ漏れ状態を容認するもので、むしろ国家を危うくしかねない実態にあることを細部から明らかにした。


今日は、国際経済法の観点から、秘密保護法が国家株式会社化法である理由を明らかにしたい。


法律時報10月号で京都大学教授の濵本正太郎氏は、『投資条約ネットワークの国際(世界)秩序像』という論文の末尾で、「従来の国際法理論は、主権国家間関係として「国際(international)」法をとらえるその思考法に少なからぬ変更を迫るこれらの問について、回答を用意していない。我々は、現実に追いつくとは言わずとも、取り残されない程度に付いていくことができるだろうか
と私たちの注意を喚起している。


濵本氏が提示する国際法の姿は、主権国家を超越した投資家と主権国家の間に形成される新たな「世界法」秩序だ。
国際法は、国と国の関係を規律する法律だから「国際法」と呼ばれてきた。
濵本氏が提示するのはこれを超える「世界法」の台頭という現象だ。


濵本氏は、3000に及ぶ投資協定等に付随したISDS条項による多数の投資仲裁判断の蓄積が国家の力によっても押さえることのできない国際一般法を形成しつつあると指摘した上、次のように私人(投資家)による国際的な法の支配像を提示している。


「つまり、国家の側は、いったん投資条約ネットワークに入ってしまうと、ネットワークから離脱してしまう決断をしない限り、そのネットワーク内で自らの意思と無関係に生成する『一般法』から逃れることが極めて困難になる。私人(投資家)の側は、ネットワーク内の適当な「線」を選ぶことにより、ネットワーク内で生じる「一般法」の保護を受けることができるのである。


 このような「一般法」は条約規範すなわち国際法規範であり、投資家の基本的待遇に関しては国際標準主義が確立している。否、この法は私人と国の関係に適用され、かつ「一般法」なのだから、世界標準主義と表現する方が適切である。すなわち、投資家の基本的待遇に関する投資受入国の行動については、投資受入国国内法に加えて、世界標準の「一般法」の規律が及ぶようになっている。(中略)投資条約仲裁は世界的な法の支配の表れである、あるいはグローバル・ガヴァナンスの一形態であると主張されることもある。」


国家は、投資家仲裁廷によって形成される一般法=いわば「世界法」の支配下に置かれ、その規律を受ける。
主権国家は、投資家仲裁廷において生成される世界法の許容する範囲で国家法を形成する、すなわち世界法の範囲内でしか国家は主権を行使できない存在にまでおとしめられる。
そうしたグローバル・ガヴァナンスが形成されつつあるにも拘わらず、我々の認識がこれに取り残された状態にあるのではないかと、濵本氏は警鐘を鳴らす。


投資家仲裁廷によって形成される世界法が主権国家の主権を制限することが世界法の支配だとして正当化される前提には、私人である投資家が国家に優越する立場にあることを当然とする価値観がある。
であるならば、私人である投資家が、国家によって特別に優遇され、より直接に自らの市場利益を図るために国家の最高意思決定を担うことを望むのが否定される理由はないであろう。


安倍首相は「世界で一番ビジネスがしやすい環境を創出する」と宣言しているのだ。
秘密保護法が、これとは全然関係がないという方が不自然ではないか。


マチベンが内田樹氏に触発されて、見いだした秘密保護法の提示した国家の構図は、国際経済法の潮流の延長にある。
投資家による国家の直接経営・国家バーゲンという構図は、秘密保護法に意図して組み込まれたもの、むしろ、これこそが秘密保護法の本来の目的であると理解するのが、最新の国際経済法の知見を踏まえても正当であろう。


世界法が主権国家を支配する姿は、国内法が制限されるということであり、投資家本位に国内法を改正することを求めることを意味するであろう。
それは、財産権や経済活動に対して、政策的で合理的な制限を許容し、精神的自由については、人権内在的な制限しか認めないとする従来の憲法観とは大きく異なるものである。
生存権の自由権的側面を制度的に締め上げていくものであり、日本国憲法と整合するはずもない。
本来、これらの問題は国民投票に図られるべき問題なのだ。
また、国連憲章は、国家主権の最高性を前提として、主権平等を謳い、内政不干渉を原則とする。その精神とも大きく隔たったものである。
「投資家世界法による主権国家に対する支配」は必然ではなく、選択の問題だ。
日本国憲法の基本的人権保障や国連憲章による平和秩序、さらにこれに派生した国際人権法や環境法の体系を選択するのか、投資家優位の世界法体系を選択するのか、この問題は、個々の国民の選択に委ねられるべき問題である。
果たして国民は、投資家優位の国際法秩序や国内法秩序を望むのだろうか。


 

私たちが認識しているより遙かに速いスピードで、投資家主体の世界へとこの国は変えられようとしているのだ。
われわれの認識は取り残されていないか、とする濱本氏の警鐘を正面から受け止めてこそ、私たちは、秘密保護法に対する正しい理解に達することができる。
そうして正しい選択をするように国会議員に働きかけることができるのだ。


埋め込まれた仕掛けは、偶然ではない。
意図的に埋め込まれている。
私たちの次の世界像を選ぶのは、参議院議員1人1人だ。

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TPP担当の甘利大臣が12月2日入院したという。
マスコミに載らない海外記事さんが紹介するアメリカのTPP交渉の過酷な戦術を知るにつれ、交渉の苦労が思われる。
アメリカ議会の事情から潰え去った年内妥結を再三確認することによって、交渉相手を追いつめるやり方は通常人の判断では卑劣だと評価すべきだ。
12月6日ありきで進められる秘密保護法の国会審理も実によく似ているではないか。

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