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2014年2月の7件の記事

2014年2月20日 (木)

原発事故が商談対象に 全ては企業利益のために

福島第一原発の廃炉と除染が、アメリカ企業との商談の対象として報じられている。
あまり注目を引いていないので、メモとして残しておく。
公共部門が責任を持って筋道を付けていくべき問題に、営利目的の企業が貪欲に群がって支配していこうとする様に、違和感を持つ感覚が、この国から消えていく。

ケネディ大使「米技術を福島復興に」NHK2月19日12時35分

アメリカのケネディ駐日大使が19日、東京電力福島第一原発の廃炉や除染作業について話し合うフォーラムで講演し、「アメリカの技術が、福島の復興につながることに期待している」と述べて、アメリカとしてこの分野で一層の協力を行っていく姿勢を強調しました。

アメリカのケネディ駐日大使は19日、東日本大震災からまもなく3年となるのを前に日米両政府が主催して福島第一原発の廃炉などの作業にどのような協力ができるか話し合うフォーラムで講演しました。
この中でケネディ大使は「今回のフォーラムを通してアメリカの技術が福島の復興にどう貢献できるか話し合う機会になることを期待している」と述べて、廃炉などの作業に一層の協力を行っていく姿勢を強調しました。

フォーラムは、原発や軍事施設の核廃棄物の処理などで実績を持つ26のアメリカの企業が参加して18日から2日間の日程で開かれていて、19日は被災地で活動している日本企業との商談会も予定されています。
アメリカ大使館の担当者は、「アメリカの企業は原発の廃炉作業に豊富な経験を持っており、政府としても後押ししていきたい」と話し、アメリカ企業の参入を支援していく意向を示しました。


ケネディ大使「米企業は貢献できる」日米廃炉フォーラムに26社
MSN産経 2014.2.19 12:01



原発の廃炉や除染に関する先進技術を持つ米国企業と、東京電力福島第1原発事故の収束作業に従事している日本企業との商談会などを行う「日米廃炉・除染 福島復興フォーラム」が19日、都内の米国大使館で開かれた。

会合の冒頭であいさつしたキャロライン・ケネディ駐日米大使は、災害発生後、日米が軍事・外交分野などで協力し、民間でも米国企業が除染作業を支援したこ とに言及した上で、「フォーラムは、事故の教訓を共有し、米国企業がいかに復興に貢献できるかを話し合える素晴らしい機会になる」と述べ、復興に向けた日 米企業の協力を呼びかけた。

フォーラムは同大使館と米商務省、日本の経済産業省などが18日から2日間の日程で共催。ロボット技術やモニタリング、汚染水対策など6分野において、米国企業26社と東電など日本企業約50社が、事故収束に向けた意見交換を行う。


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2014年2月17日 (月)

ソチ五輪

女子フィギュアが近づき、ますます日韓対決感情を煽るような雰囲気が出てきそうな中、韓国ハンギョレ新聞が葛西紀明選手のメダルを讃える記事を提供しているので、紹介しておこう。
なお見出しにある「老」将というのは、儒教色の濃い韓国社会では、尊敬の念を込めた語であるので、念のため。


7回連続出場の末に、ついに個人銀メダル
42歳の老将の闘魂“次のオリンピックにも出場”

"まだ金メダルを取れていない。あきらめることなく努力して金メダルを取る。"


 

 42才でオリンピック個人戦の初メダルを取った老将の意志は、依然として燃え上がっていた。 日本の日刊新聞<読売>インターネット版は16日(韓国時刻)、冬季オリンピック歴代最多出場記録を立て、銀メダルを首にかけた日本の葛西紀 明(42)が今後もオリンピックに出場する意向を明らかにしたと報道した。 今回のソチ オリンピックまで何と7回連続の出場記録を打ち立てた葛西は「私と同じ年齢の他の選手たちは引退を考えるだろうが、次のオリンピックとその次のオリンピッ ク(50才)まで続けて出たい」として強いオリンピック出場の意志を表わした。


 

 この日未明に開かれた2014ソチ冬季オリンピック スキージャンプ男子個人ラージヒルで銀メダル(277.4点)に輝いた葛西は、オリンピック7回出場の末に日本冬季オリンピック出場史上最高年齢(41才 254日)の記録も立てた。 1948年、サンモリッツ大会スキージャンプで銀メダルを取ったルード ロジャー(ノルウェー)が立てた36才168日を軽く跳び越えた。 葛西は「どうして長く選手生活をしてこれたか私も不思議だ。負けたくないという勝負欲が強かった」と話した。


 

 葛西は1994年リレハンメル大会でこの部門の団体戦で銀メダルを取った後、何と20年ぶりに再びメダルを首にかけ、1992年フランス アルベールヒル大会出場以後、初めて個人戦でメダルを獲得した。 カサイは 「授賞台に一人で立つのは初めて」と言いながら喜びを隠すことができなかった。 オリンピックでこれまでに金2個、銀1個、銅1個を獲得した日本のスキージャンプは、葛西の闘魂で1998年長野大会以来4大会ぶりに再びメダルを得た。


 

 ノーマルヒルで金メダルを取ったポーランドのカミル ストフ(27)は、ラージヒレでも15才も年齢が高い葛西を抜いて金メダル(278.7点)を取り2冠王に上がった。 カミルは 「私としては15年後には浜辺に横になって引退生活を楽しみたいが、葛西が夢をかなえるためにまだ競技すると言っているのは本当にすごい。 彼と一緒に競技をし、メダリストとして同じ授賞台に立てるということが光栄」と話した。


 

イ・チュンシン記者 cslee@hani.co.kr

 

韓国語原文入力:2014/02/16 16:43


ついでに、ロシアに帰化して、ショートトラック男子1000mで金メダルを獲得したヴィクトル・アン(アン・ヒョンス)についての記事は、韓国スケート界にはびこる派閥争いの恥部を批判したものだ。
よく似た確執は、日本スピードスケート界にもあるという、清水宏保氏の朝日新聞への寄稿が印象的だった。しかし、日本のメディアでは、記事で、そのことを、ましてオリンピックの最中に指摘するのは想像できないように思う。


‘ヴィクトル・アン’は犠牲の羊か、冒険家か’
ロシア帰化の背景には氷上指導者の‘専横’
運動に対する渇望が‘背信者’という非難を甘受する勇気に
派閥争いの犠牲の羊か?夢を求めて旅立つ遊牧民か

韓国‘ショートトラックの皇帝’アン・ヒョンス(29)が、ロシアの‘英雄’ヴィクトル・アンになった現実には、 韓国氷上スポーツ界の徒党文化と成績至上主義など、不条理な側面が支配的な原因だ。 薄汚れた派閥争いは2006年トリノ冬季オリンピック3冠王を安住させなかった。

 

 韓国体育大と非韓国体育大の派閥争いは、2006トリノ オリンピック当時に極に達していた。 コーチがどの大学の出身かによって選手たちが訓練を別に行ったほどだ。 アン・ヒョンスの父、アン・キウォン氏は<ハンギョレ>との通話で「ヒョンスは非韓国体育大選手たちに除け者にされ激しい牽制を受けてきた。 非韓国体育大出身コーチは‘外国選手たちには負けてもかまわない。アン・ヒョンスだけは食い止めろ’で指示した」と当時の無念な心境を吐露した。‘国家代 表はすなわちオリンピック金メダル’という等式が生まれながら、狭い関門を通過するための選手どうしの‘八百長’が指導者を通じて露骨に伝えられた。 オリンピック前の2005年、オーストリア インスブルック冬季ユニバーシアード大会。 アン・ヒョンスは金メダルを譲歩しろとの代表チーム先輩の要求に応じなくて殴打されもした。

 

 指導者の一言で選手の運命が決定される現実も、アン・ヒョンスには大きな傷となった。 アン・キウォン氏は「ヒョンスが指導者出身の大韓氷上競技連盟高位関係者の反対にも関わらず、実業団チーム城南(ソンナム)市庁に行くと、その時から彼を 困らせ始めた」と主張した。 2008年1月、城南市庁行き以後、代表選抜戦の日程を調整したり、方式を変更しながら負傷から回復できないアン・ヒョンスを意図的に脱落させたというの がアン氏の主張だ。

 

 ‘成績至上主義’もアン・ヒョンスの心を変えさせた。 アン・ヒョンスは2008年1月の世界大会を控えて、泰陵(テルン)で訓練中に滑りながらフェンスに左膝を打ち付け膝蓋骨を骨折した。 衝撃吸収をしなければならないフェンスは、水気を含んで石のように固く凍り衝撃を緩和するどころか深刻な負傷を負わせた。 1年間、三度も手術台に上がる厳しいリハビリをしたが、翌年4月の代表選抜戦では選ばれることができなかった。 アン・キウォン氏は「負傷するや連盟では‘捨てたカード’扱いをした。 代表チーム訓練中に負傷に遭ったにもかかわらず、再起して選手生活ができるよう関心を持つどころか‘アン・ヒョンスがいなくとも金メダルを取ることはでき る’という態度で一貫した」として虚しさを吐露した。 選手層が厚い韓国としては、アン・ヒョンスの負傷はたいしたことではなかったのだ。 結局、アン・ヒョンスは2010年の選抜戦からも脱落するや2011年にロシア帰化の道を選んだ。

 

 体育界の暗い側面よりはアン・ヒョンス個人の選択に重きを置かなければならないという見解もある。 ある選手出身の氷上スポーツ関係者は「韓国体育大-非韓国体育大 派閥争いは誇張されて伝えられている。 アン・ヒョンスが負傷した後、再起のためにロシアを選択したようだ」と話した。 アン・ヒョンスの懇意な後輩であった元ショートトラック選手は「ロシアに行く過程で外圧があったかどうかは正確に知らないが、そばで見た時はオリンピック に出場したいという欲のためであるように思った」と話した。

 

 アン・ヒョンスは15日、ショートトラック1000mでの優勝後 「自分のための選択だった。 運動をとにかくしたかったし、負傷のために止めたくなかった。 私が最大限運動できる良い環境を探して、ロシアに来ることになった」と説明した。 アン・ヒョンスは 「負傷した後、まだ膝に痛みがあるが、ロシアでは私ができる運動の中で最も効果的な運動をした。 私に合わせて訓練できるという点が韓国とは大いに違う」と変化した環境を説明した。

 

 個人よりは集団の目標を重視する過去の体育界文化とは違い、個人の成就に傍点を置く新しいモデルを作るという意志が強かったものと見える。 自身が好む運動のために最善の環境を探したアン・ヒョンスは‘背信者’という非難を甘受してまでも、自身の夢のために勇敢な選択をした。 そして実力と結果で‘人間の勝利’を見せてくれた。

 

ソチ/ホ・スン記者 raison@hani.co.kr

 

韓国語原文入力:2014/02/16 17:59

五輪ばかりのテレビにはうんざりだ、とくに東京オリンピックという売国バーゲンセールが決まった後のオリンピック放送はまっぴらだと言いながら、なんだかんだと見ていたりする(汗)。


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2014年2月16日 (日)

豪雪被害深刻化の日 安全保障最高責任者の一日

メディアが伝えるところでは暗然保障の最高責任者は放置主義者だと。

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首相動静(2月16日)「午前10時現在、富ケ谷の私邸。朝の来客なし」「午前中は来客なく、私邸で過ごす」「午後も来客なく、私邸で過ごす」「午後5時49分、赤坂の天ぷら料理店『楽亭』着。支援者らと会食」「午後8時5分、私邸着(了)」(時事)

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NHKが孤立集落の言葉を使ってようやく被害の一端を伝えたのは午後10時42分(訂正:17時には孤立集落と報道した模様)。

山梨選出みんなの中島かつひと議員のツイートによれば午後になっても政府は実情を把握していない模様。

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13時から関係省庁災害対策会議が行われました。この報告書を見る限り、山梨県内の状況は十分に把握されていません。 山梨県関係国会議員(後藤衆議院議員、長崎衆議院議員、中谷衆議院議員)で集まり、情報を集約し、緊急応急対策要請書を作成しています。

豪雪の本当の被害

朝、目覚めたら、Twitterのタイムラインには山梨、そして群馬の豪雪被害を訴えるツイートが次々と流れている。

NHKをつけても男子ジャンプのラージヒル映像を流している。気がついたら録画映像だった。

チャンネルを替えてもテレビは『首都圏』の被害を伝えるだけだ。せいぜいが『基幹道』止まりだ。普段はうるさいくらいのテロップ表示もない。


昨晩聞いた、山梨県が自衛隊の災害派遣を求めたとのニュースも続報が途絶えている。

そういえば、八王子アーケードの落下を伝えるまでにタイムラグがあった。

北朝鮮、ロシア、中国で完全に報道が統制されるのは災害だろう。よく似てきた。

目の前にある原発事故を完全にコントロールしたと言い張る政府を支持する国民は、目の前にある国民の被害から目をそらす日本と日本国民を招き寄せたということなのか。
沖縄、福島、東北をブロックしたこの国は、どうやらトーキョー以外はブロックする国になりつつあるようだ。

Twitterを真に受ける僕がおかしいのかもしれないが、報道の自由度59位などという「国境なき記者団」の評価は過大評価なのではないか。実態はとっくに三桁の大台に乗っている可能性がある。

山梨の被害は大したことがなくて、僕がおかしくて、ガセに怯えただけだったということになるかもしれないが、このブログは残しておくことにする。

2014年2月 9日 (日)

【転載歓迎】TPPに関する愛知県弁護士会意見書の公表

長野県弁護士会、栃木県弁護士会に続き、ようやく、わが愛知県弁護士会もTPPに関する意見を公表するに至った。
環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)に関する意見書  


TPPについては、弁護士もほとんど知らない実情だ。
可能な範囲で、会員に対する周知を図った上、議論を重ねて、慎重を期して会長声明という形ではなく、弁護士会の意見書として公表された。


事実や基礎的な概念については、オフィシャルな資料で確認した上、当たり前の憲法論に照らせば、日本国憲法の国民主権原理や基本的人権尊重秩序とは相容れないのではないか、とする問題提起である。


この程度の議論は、実は海外では当然のこととして行われている議論と思われるので、何ら新鮮なものではない。
議論が活性化することを強く望む(とくに法学関係者)。


日米二国間協議の交渉内容を明らかにするように求めている点は、米国内部の事情でTPP自体が膠着状態に陥る可能性が指摘される中で、有益な提言である。
(マチベンは、日本語しか理解できない国民が『非関税障壁』に当たると迫られているのではないかとすら想像している。)

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環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)に関する意見書

2014年(平成26年)1月23日
愛知県弁護士会 会長 安井 信久

意見の趣旨
1 国民生活に重大な影響を及ぼす可能性があるTPP交渉は、秘密交渉として行うべきではなく、国民主権原理に基づく国会の権能から考えて、公開されるべきである。
2 TPP交渉と並行して行われているアメリカとの非関税障壁に関する交渉については、交渉内容を明らかにして、国民的議論に付すべきである。
3 ISDS条項は、憲法76条1項に違反する疑いが強く、国会の立法活動をも大きく制約する可能性が高い。加えて、国民主権原理を侵害するおそれがあり、基本的人権尊重主義に深刻な混乱をもたらすから、同条項の締結には反対である。


意見の理由

第1 秘密交渉の問題について(意見の趣旨1、2項)


1 非関税障壁の撤廃と国民の権利


日本政府が本年7月から交渉に参加した環太平洋戦略的経済連携協定(以下、「TPP」という)は、関税だけでなく広く非関税障壁一般の撤廃を目的としている。

TPP交渉は、2006年に発効したニュージーランド、シンガポール、チリ、ブルネイ間の同名の協定の参加国及び分野を拡大して交渉されているものである(以下、4ヶ国の協定を「原協定」という)。原協定第1章第1条は、「締約国間の貿易の拡大・多様性を進めること、障壁を除去し物品及びサービスの貿易を円滑化する…(中略)ことを目的とする。」としており、同協定が広く非関税障壁の撤廃を目的とすることを明らかにしている。交渉されている21分野の内、関税に関連する分野は3分野に過ぎず、その他は、非関税障壁撤廃と制度的取り決め等に関する分野である。この中には、食の安全や医療、環境、労働、国民生活に不可欠な各種サービスに関わる事項が含まれ、例外規定に該当しない限り協定本文の規定が全面的に適用される(ネガティブリスト方式の採用)。このため広範な非関税障壁が撤廃されることが予め予定されている(弁護士制度及び法曹養成制度等も法的サービスに該当ないし関連するため、ネガティブリストに記載されない限り、TPP本文の規定に従う。たとえばTPPではサービス拠点の設置要求は禁止されている。原協定第12章7条)。こうした非関税障壁の多くは、法律に基づいて行われていることが多いことから、TPP協定の発効に伴い、TPP協定の履行のため多数の法律の改廃が必要となることが予想される。

非関税障壁とは、広く国家の規制、制度や慣行(民間慣行を含む)を意味する*1。経済活動に対する国家の規制は、国民の生命・健康・財産や環境の保護を目的としてなされるものであり*2、規制の撤廃は多くの場合、国民の生命・健康等に対する保護を弱める可能性が高い。第18回TPP交渉会合に参加した鶴岡公二首席交渉官は、交渉後の記者会見においてTPPは「日本全体の在り方に影響を及ぼす」と述べており、広範な分野の非関税障壁の撤廃が国民の生活に大きな影響を及ぼす可能性に言及している(中日新聞2013年7月26日)。


2 秘密保持契約

しかるに、TPP交渉は、交渉参加に先立ち、秘密保持契約を結ぶ異例の秘密交渉として行われている。このため、国民及び国民を代表する国会が民主的コントロールを及ぼす機会が完全に奪われている。先の記者会見で、同交渉官は、「政府だけで決めることはできない」として国民と情報を共有する手法を考えたいとしていたが(中日新聞2013年7月26日)、現在に至るまで国会及び国民の間で議論する基礎となる確実性ある情報は提供されていない。

しかも、TPP発効後、もしくは、TPPが合意に至らなかった場合は、最後の交渉会合から4年間は、交渉原文、各国政府の提案、添付説明資料、交渉の内容に関するEメール及び交渉の文脈の中で交換されたその他の情報(以下、「協定関連情報」という)を秘匿することが計画されている*3。


3 条約の解釈と協定関連情報の関係及び国会の承認

条約法に関するウィーン条約第31条は、条約の解釈は、「文脈により…解釈するものとする」(1項)とした上、条約の解釈上、「文脈」には、条約文(前文及び附属書を含む。)のほかに、「(a)条約の締結に関連してすべての当事国の間でされた条約の関係合意」、「(b)条約の締結に関連して当事国の一又は二以上が作成した文書であってこれらの当事国以外の当事国が条約の関係文書として認めたもの」を含むとしている。このため協定関連情報は、TPP協定の条文を解釈する上で欠くことができないものである。判明している限りでも、TPP協定には、「公正」「衡平」「合理的」等、抽象的な条項を多数含んでいるため「文脈」としての関連情報の必要性はいっそう高い。ところが、発効後4年間、協定関連情報を秘密にする前提では、国会は意味内容が確認できない条約に対して承認を求められることになり、国民主権原理に違反する。

国会は、各分野に渡り国民生活に及ぼす影響をそれぞれ検討し、全体について承認をするか否かを求められることになる。この場合に、国会が条文の内容を確定することができないまま承認を求められるのは日本国憲法73条3号但書が条約に対する承認権を国会に与えている国民主権の趣旨を没却するものであり、また、不明確なまま承認をした場合、条約締結に関連して改正すべき国内法が判明しないまま国会が承認を与えることになるから、憲法41条の趣旨にも反する。

よって、TPP交渉は、秘密交渉として行うべきではなく、国民主権原理に基づく国会の権能から考えて、公開されるべきである。

また、TPP交渉参加に関するアメリカの同意を得るに当たり、政府は、TPP交渉継続中、アメリカとの二国間の非関税障壁に関する交渉を別に行い、法的拘束力ある措置を採ることを合意している。並行する二国間交渉の内容もほとんど伝えられていない。アメリカがTPP加盟国の中では群を抜いた経済力を有する大国であることはいうまでもなく、非関税障壁に関する日米二国間交渉は、国民の権利や利益、生活に大きな影響を及ぼす。

よって、政府は日米二国間交渉の内容を明らかにし、国民的議論に供すべきである。


第2 ISDS条項(投資家対国家紛争解決制度条項)の問題について
(意見の趣旨第3項)

1 ISDS条項とは


TPP協定には、ISDS条項(Investor-State Dispute Settlement)が含まれることが確認されている。

ISDS条項とは、外国投資家に対して、協定に違反する、投資受入国政府(地方自治体、政府投資機関を含む)の行為(不作為を含む)により、損害を被った場合に投資受入国の裁判所ではなく、投資仲裁手続に付託する権利を事前に包括的に付与する条項である。


2 憲法76条1項との関係

憲法76条1項は「すべて司法権は、最高裁判所及び法律の定めるところにより設置する下級裁判所に属する。」と司法の統一的帰属を定める。

司法権とは、具体的な権利義務に関する紛争(以下、「具体的争訟」という)に関して、法を宣言して適用することによって紛争を解決する国家の作用をいう。ISDS条項は、本来、わが国の司法権に属するわが国の国内の具体的争訟について、わが国の司法権を回避して私的な制度である仲裁制度に付託する権利を予め包括的に認める。

わが国の管轄内の具体的争訟で、国際法によりわが国の裁判所に第一次裁判権が認められない例は、わずかに外交官特権にかかるもの(外交関係に関するウィーン条約)、日本国とアメリカ合衆国との間の相互協力及び安全保障条約第六条に基づく施設及び区域並びに日本国における合衆国軍隊の地位に関する協定(以下、「日米地位協定」という)に基づくものしか存在しない。深刻な問題が指摘されている日米地位協定も、協定文言上は、わが国の裁判所の第一次裁判権が否定されるのは、米軍内部の犯罪及び隊員等の公務執行中の犯罪に限るなど、わが国司法権に与える影響を最小限にするように配慮されている*4。

また、政府は、TPP交渉参加問題が表面化するまで、国連自由権規約選択議定書が定める個人通報制度を締結しない理由として、「司法権の独立」(憲法76条3項)を挙げていた*5。すなわち国際法上の理由で、司法権に制限を加える場合でも、憲法に反する場合があり得ることを認めていた。基本的人権を充実する方向での条約締結には消極的な一方、社会権を初めとする基本的人権の侵害を招きかねない外国投資家の投資財産や活動を特別に保護するISDS条項を締結するのは日本国憲法の原則と矛盾する対応である。

今日、わが国国内で事業を展開し、あるいはわが国に投資し、または投資しようとする外国投資家は、多数かつ広範囲にわたる。したがって、ISDS条項を締結することは、かつてない広範囲な第一次裁判権の放棄を承認することを意味する。


3 投資仲裁の実体規定(仲裁規範)

投資仲裁において用いられる実体規定(仲裁規範)は限られており、外国投資家に対して公正かつ衡平な待遇を与える義務、間接収用法理などの抽象的な規定が具体的な紛争解決基準として大きな役割を果たしている*6。

これらの実体規定は、自由貿易と公正な競争市場の形成によって、諸国民の福利が最大化するとの規律原理を有する国際経済法の立場*7から立案されている。また、アメリカの2002年超党派大統領貿易促進権限法*8によれば、「米国の法律が、全体として、国際法が要求するレベル以上の保護を投資に与えている」(2102条(b)(3)柱書き)との認識の下、「米国の法理及び慣行に基づく公正かつ衡平な取扱いに対する基準の設定を求める」と規定しているように、仲裁に関する実体規定は、投資受入国に対して、外国投資家にかかる高度な投資の保護、経済活動の自由の保障を求めるものである。公正かつ衡平な待遇を与える義務には、国際慣習法上、たとえば「外国投資家の投資財産保護に関する慎重な注意」、「投資家の正当な期待の保護」が含まれるとされている。上記大統領貿易促進権限法によれば、アメリカ企業・アメリカ投資家を当事者とする投資家仲裁では、米国の法理や慣行に基づく高度な投資保護が求められる可能性がある。

以上を前提とすれば、投資家仲裁における基本ルールは、外国投資家の投資やその活動の自由を特段に保護することを一方的に求めるものとなる可能性が高い。


4 日本国憲法との整合性

わが国憲法上、経済的自由に対しては、合理的な政策目的による制限を認め、制限に関する裁量が認められる一方、民主主義の基盤となる精神的自由については、やむを得ない場合に限って制限が認められ、その場合においても制限は必要最小限のものでなければならないなど、厳しい制約を課している(精神的自由優位の二重基準)。ところが、ISDS条項の実体規定は、これとは逆に、外国投資家に対して特別な保護を与えることを認めるものであり、日本国憲法の基本的人権秩序に深刻な混乱をもたらす可能性が高い。とくに外国投資家に対する特別な保護は、これと対抗関係にある社会的基本権を侵害する結果をもたらす恐れが否定できない。

さらに、外国投資家に投資家仲裁廷に付託する特権を与えることは、国会の立法活動にも深刻な影響をもたらす。条約は法律に優位することから、公正かつ衡平な待遇義務に違反する法律は、改廃すべきであるところ、概念が広汎であり、いかなる法律がこれに反するかの判断には著しい困難が伴う。係争事案が生じ、仲裁判断がなされるまで判明しないこともあり得る。また、今後の立法活動に当たって、公正かつ衡平な待遇義務に違反する立法はなし得ないため、この概念の広汎性は、立法活動に著しい制約をもたらす可能性がある。さらに、巨大な多国籍企業の場合、勝訴の見込みが低くても、巨額の賠償を仲裁付託し、あるいは仲裁付託する旨、政府に通告することによって、国会の立法活動、内閣の行政活動、さらには司法の活動を萎縮させることも生じる*9。

投資家仲裁廷における仲裁人は、原告である外国投資家と、被告である投資受入国政府がそれぞれ仲裁人を1人選任し、両者の合意で第3の仲裁人を選任するものであるが、仲裁廷は、その事件限りのものであり、裁定を下せば解散し、上訴制度も存在しない。絶対的な権限を与えられる仲裁人の資格や選任手続も厳格なものではない*10。国家の制度や慣行を裁くにも拘わらず、仲裁人は誰にも責任を負わない。にも拘わらず、裁定には被告である投資受入国の国内の確定判決と同一の効力があると規定されている例もある*11。国家の制度、規制や慣行を裁く制度であるにも拘わらず、適正かつ慎重な制度設計になっていない。

以上を踏まえれば、ISDS条項は、憲法76条1項に違反する疑いが強いとともに、国会の立法活動をも大きく制約する可能性が高く、国民主権原理を侵害するおそれがあるとともに、基本的人権尊重主義に深刻な混乱をもたらすものである。
よって、ISDS条項の締結には反対である。

*1中川淳司外「国際経済法(第2版)」9pは、公正な競争条件の確立をはばむものとして「国家による規制や制限、私人・私企業による競争制限的慣行」を挙げる。
韓国法務省「韓米FTA交渉:国際投資紛争分野対応方案」は「措置(actionまたはmeasure)は政府の法規定、制度、慣行、不作為、公務員の事実的行為等を含む広範囲な概念である」としている。
*2総務省「規制の事前評価に関するガイドライン」(平成19年8月24日)1p「規制は、社会秩序の維持、生命の安全、環境の保全、消費者の保護等の行政目的のため、国民の権利や自由を制限し、又は国民に義務を課すものである。」
*3ニュージーランド首席交渉官マークシンクレア:http://www.mfat.govt.nz/Trade-and-Economic-Relations/2-Trade-Relationships-and-Agreements/Trans-Pacific/1-TPP-Talk/0-TPP-talk-29-Nov-2011.php
*4日米地位協定17条3項
(a) 合衆国の軍当局は、次の罪については、合衆国軍隊の構成員又は軍属に対して裁判権を行使する第一次の権利を有する。
(i) もつぱら合衆国の財産若しくは安全のみに対する罪又はもつぱら合衆国軍隊の他の構成員若しくは軍属若しくは合衆国軍隊の構成員若しくは軍属の家族の身体若しくは財産のみに対する罪
(ii) 公務執行中の作為又は不作為から生ずる罪
(b) その他の罪については、日本国の当局が、裁判権を行使する第一次の権利を有する。
*5 2006年12月『市民的・政治的自由に関する国際規約第40条1項bに基づく第5回政府報告』
「我が国憲法の保障する司法権の独立を含め、司法制度との関連で問題が生じるおそれがあり、慎重に検討すべきであるとの指摘もあることから、本制度の運用状況等を見つつ、その締結の是非につき真剣かつ慎重に検討しているところである。」
*6中川淳司外「国際経済法(第2版)」352~353p、356~350p。小寺彰「投資協定における「公正かつ衡平な待遇」-投資協定上の一般的条項の機能-」等、文献多数。
*7中川淳司外「国際経済法(第2版)」8p~9p“国際経済法の規律原理」
*8アメリカ合衆国憲法上、通商協商の権限は議会に専属し(8条3項)、大統領には貿易協定を締結する権限はない。このため貿易協定の交渉に当たって、大統領は議会から授権されることが必要になる(TPAないしファーストトラックと呼ばれる)。最新の授権法が「2002年超党派大統領貿易促進権限法」であるが、2007年7月1日に失効している。この法律によって、大統領に授権する貿易協定の内容を極めて詳細に規定している。RIETI経済産業研究所のサイトで日本語訳が公開されている。
*9韓国法務省「韓米FTA交渉:国際投資紛争対応方案」
*10国際司法裁判所は常勤の15名の裁判官によって構成され、5名毎に改選される。5名は世界の5つの地域を代表する者で、国連総会及び安全保障理事会のそれぞれで絶対多数の得票を得るものとされている。
*11ICSID(投資紛争解決国際センター)憲章54条

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2014年2月 3日 (月)

栃木県弁護士会ISD反対声明 (2013年10月30日)

長野県弁護士会に引き続き、栃木県弁護士会がTPP反対の会長声明を出している。


ISDについて、憲法体系との矛盾点を簡潔に指摘しているので、ご紹介したい。


栃木県弁護士会で会長声明が承認された日付は2013年10月30日だが、公表されるまで確か2週間くらいかかっていた。
その間に特定秘密保護法案が国会提出され、TPPとの関連性に気づいてからは、秘密保護法問題に気を取られてしまい、ご紹介が遅れました。

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投資家対国家紛争解決制度を含む環太平洋パートナーシップ協定の締結に反対する会長声明

2013年(平成25年)10月30日
栃木県弁護士会
会長 橋本賢二郎


1 投資家対国家紛争解決制度
環太平洋パートナーシップ協定(Trans-Pacific Strategic Economic Partnership Agreement 以下、TPP という)のうち、投資分野に関する協定(投資協定)には、実体規定と手続規定とが定められているが、投資家対国家紛争解決制度(Investor-State Dispute Settlement、以下、ISDSという)は、投資協定に付随する手続き条項である。

ところで、当該制度は、外国投資家と投資受入国政府(地方自治体や独立行政法人等を含む)の投資協定に違反する作為・不作為の問題について、外国投資家に対し、直接に国際投資仲裁に付託する権利を包括的に認め、投資受入国政府に国際投資仲裁を受けることを強制する制度である。

TPPは、投資分野も対象の1つの分野としていることや、これまで同種の条約や協定にISDSが設けられていることから、このISDSが設けられることは必至である。

2 投資協定の実体規定と紛争の多発
投資協定の実体規定は、投資後の保護だけでなく、外国投資家の日本国内への投資の自由や、外国投資家の円滑な活動を保証する趣旨を含み、内国民待遇義務、最恵国待遇義務、間接収用を含む収用の禁止及び適正な保証、公正・衝平待遇義務等を定めている。

しかし、上記の様な重要な規定にかかわらず、その規定文言は漠然としている。しかも、外国投資家の活動範囲は、今日、極めて広範に及んでおり、外国投資家と政府・地方政府の間の活動の章にかかわる紛争は極めて広範に及ぶものであり、当該紛争解決制度の利用の多発することが必定であると言わざるを得ない。


3 司法主権の侵害
(1)ISDSは、極めて曖昧な文言で表現されている投資協定に関する実体法に、国際法としての規範性を付与したうえ、法律の制定を含む政府の作為・不作為が違法であるかどうかの判断権限を国際仲裁制度に与えるものである。

(2)ところで、日本国憲法76条1項は、「すべて司法権は、最高裁判所及び法律の定めるところによって設置される下級裁判所に属する」と規定し、司法権を一元化している。また、日本国憲法は、最高法規であり(憲法98条1項)、公務員に憲法尊重擁護義務を課している。更に、内閣による条件の締結、国会による条約の批准は、憲法の尊重擁護義務を課せられた公務員によって行われる。

この様な憲法の定めにかかわらず、ISDS条項を定める条約を批准することは、司法権に属する重要な権力行為を国際仲裁判断に付託すること、即ち、司法権の重要部分を国際仲裁に付託することを認めることになる。

つまり、内閣がこのような司法主権侵害のISDSを締結し、国会が批准することは、憲法に違反するものである。

4 国民主権の侵害と憲法破壊
(1)日本国憲法は、国民主権原理に立脚し、国民の選挙によって選ばれる議員によって構成される国民こそが国権の最高機関であり、唯一の立法機関であるとしている。

しかるに、国際投資仲裁制度における仲裁人は、国民に対し何らの責任をも負わないのであって、このような仲裁人に対し、国会の立法すら左右する権限を付与する制度は、国民主権原理と相容れないものである。

(2)また、ISDSは、巨大な多国籍企業によって濫用される傾向にあり、北米自由貿易協定(North American Free Trade Agreement)発足後、その弊害は顕著になっている。また、ISDSが存在することによって、国家機関等の諸活動に対して、萎縮効果を及ぼすものである。米韓FTAの締結に先立って、韓国の法務部がISDSについて検討した結果、「租税、安保、公共 秩序、保険等すべての政府(地方自治体及び政府投資機関、司法府等を含む)の措置に対して提訴可能」であるとしている。

(3)ISDSは、我が国においても、自立的な立法・行政・司法活動を著しく阻害する恐れがある以上、我が国の国民主権に基づく統治機構を、外国投資家の支配下に置くに等しく、国民主権原理を踏みにじるものであるから、それは、憲法破壊的な事態を招来するものと言わざるを得ない。

5 以上の様に、外国投資家が、我が国の同協定違反について国際投資仲裁に付託できる制度を採用する太平洋パートナーシップ協定の投資家対国家紛争解決制度は、我が国の司法主権を侵害するとともに、我が国の立法・行政をも萎縮させ、国民主権原理を否定するものである以上、日本国憲法の体系に違反する恐れがある。したがって、日本国政府は、この紛争解決制度の条項を置く環太平洋パートナーシップ協定を締結すべきではない。
    以上

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2014年2月 1日 (土)

オバマ大統領2014年一般教書演説 すとう信彦前衆議院議員からの情報

すとう信彦前衆議院議員が1月29日付のブログで、“なんじゃらほい”のオバマ一般教書演説という記事を書いている。
1時間に及ぶオバマ大統領の一般教書演説を注目して見たが、ついにTPPに触れずということである。

(略)
一般教書演説の直前にカメラは執拗にUSTRのフロマン代表の顔を追っていて、こりゃあ、ここで必ずTPP推進を明言すると思ったが、1時間を越す一般教書演説もアフガン帰還兵士の美談賞賛で終わり。かって見た一般教書演説の中でも最低ランクの演説だった。

まあ、TPP促進を明言しなかったのは、今後のTPPの行方を占う上で重要なポイントだ。ひょっとしたら、オバマ大統領自身、TPP推進にはもう期待していないのかもしれない。
(略)

演説終わってオバマ大統領が握手に回っているあいだ、テレビカメラはフロマンの姿を追わなかった...

その後、すとう信彦氏(TPP阻止国民会議事務局長)から、一般教書演説に対する個人的見解が提供されたので、以下にご紹介しておこう。

オバマ大統領2014年一般教書演説に対するコメント
2014年1月31日

TPP阻止国民会議事務局長
前衆議院議員 首藤信彦


1月28日にオバマ大統領の一般教書演説(State of Union)が行われた。以下はそれを聞きまた議会での反応を目にしての個人的な見解である。
今回の一般教書演説は、最終段階にあるTPP交渉に関連し、TPP協定を妥結する意思の宣言や、足踏み状態にある交渉を促進するための貿易促進権限を議会から獲得する自信などが表明されると予想されたが、現実には一時間もの長時間の演説の内容は格差是正などの内政課題が中心で、TPPどころか、深刻さを増す世界各地の紛争や外交課題にも踏み込んだ発言なく、また問題を抱える世界経済、成長するアジア、日本への言及もなかった。

昨年の一般教書演説では、アメリカ経済の推進役として、明確にTPPという言葉が盛り込まれていたのに対し、TPP協定の最終段階いわれる時期にそれが明言されないということは、今秋の中間選挙を前にして、それをオバマ政権の成果として予告できないという苦しい状況を物語っている。
唯一、TPPに関連して述べられたのは、アメリカ中小企業関係の部分で、「ヨーロッパおよびアジア太平洋諸国との新しい貿易協定ができれば中小企業への支援になる...」という漠然とした表現にとどまった。しかも、それもまずヨーロッパが最初に来ている。

また懸案の貿易促進権限(TPA)に関しても、「こういうものを皆で協力してやりましょう」のような努力目標に格下げされてしまった。その一方で、別の箇所では、議会が機能しないから、議会をとび超えて、大統領命令で政策の促進を図る...ような言明もあり、これでは議会の協力を得ることは到底困難であろう。

今回の一般教書演説を聞き、また議会の反応を見る限りにおいては、オバマ政権において、TPP合意達成の優先度が急速に低下していると考えざるを得ない。4月のオバマ大統領アジア訪問を視野に入れながら、引き続き、現在ワシントンで行われている日米TPP関連事務局会合の行方を注視したい。                  以上

昨年の該当部分は、〈さりはま〉さんのサイトの翻訳によれば、以下のとおりである。

Even as we protect our people, we should remember that todays world presents not only dangers, but opportunities. To boost American exports, support American jobs, and level the playing field in the growing markets of Asia, we intend to complete negotiations on a Trans-Pacific Partnership. And tonight, I am announcing that we will launch talks on a comprehensive Transatlantic Trade and Investment Partnership with the European Union because trade that is free and fair across the Atlantic supports millions of good-paying American jobs.

国民を守るとき、心にとめておくべきことですが、今日の世界は危険を与えるだけでなく、機会もあたえてくれるのです。アメリカの輸出を増やし、アメリカの仕事を支援し、アジアの成長市場における競技エリアをならすために、TPP(環 太平洋戦略的経済連携協定)の交渉をなしとげるつもりでいます。そして今宵、私は宣言しますが、広範囲にわたる大西洋をはさむ貿易と投資連合に関する話し 合いを、ヨーロッパ連合と始めるつもりです。なぜなら大西洋をかこむ自由で平等な貿易は、アメリカに、数百万にもおよぶ賃金の高い仕事を支援するからで す。

メディアは、《オバマ大統領TPP妥結に意欲》などの見出しで伝えているが、オバマ政権のトーンダウンは、明らかだろう。
(身内の民主党議員の大半からストップをかけられていれば、トーンダウンせざるを得ないのが道理だろう)

それなのに、アメリカ政府に対して早期妥結へ協力を約束するという日本政府は、一体、だれのために、何の利益を図るつもりでいるのか。
こんな状態の米国政府と熱心に関税協議をすればするほど、追い込まれた状態になることは、火を見るより明らかだろう。

それにしても、英語ができる首藤氏がうらやましい(汗)。

 

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