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2014年6月の4件の記事

2014年6月29日 (日)

TPPだけではない  TiSAという名のグローバリゼーション

TiSAという言葉を先日、初めて聞いた。
Trade in Services Agreementの略で、新サービス貿易協定と呼ばれている。


WTOドーハラウンドのサービス貿易分野で激しい抵抗にあって頓挫したルールを実現しようとする貿易交渉で、現在、23の国と地域が参加している。
参加国は次の通りだ。


米国、EU(加盟28ヶ国を代表)、日本、オーストラリア、カナダ、チリ、台湾、コロンビア、コスタリカ、香港、アイスランド、イスラエル、リヒテンシュタイン、メキシコ、ニュージーランド、ノルウェー、パキスタン、パナマ、パラグアイ、ペルー、韓国、スイス、トルコ


外務省による新サービス貿易協定についての紹介は次の通り。

(参考2)サービス貿易とTiSA
(1)ウルグアイ・ラウンド交渉(1986-94年)の結果,1995年,世界貿易機関(WTO)の発足に伴い「サービス貿易に関する一般協定(略称GATS)」が発効。これはサービス貿易に関する初めての多数国間協定。
(2)GATS発効後18年以上が経過し,
GATS以上の自由化を実現するための協定が必要との認識に基づき,WTOドーハ・ラウンド交渉(2001年開始)とは別の取組として,有志国がTiSA策定に向けて集中的に議論している。
(3)TiSA交渉に参加する国・地域の間では,
交渉対象から特定分野をあらかじめ除外しないこと,現行のルールを強化すること等で意見の一致をみている。

国際経済法上、サービスとは、農林水産業と製造業を除く全てであり、経済活動の大部分を包摂していることは「サービス貿易協定 その広汎性」で触れたとおりだ。
われわれの日常生活のほぼ全てがサービスに依存していると言っても過言ではない。


TiSAは、WTOのGATS(General Agreement on Trade in Services) で、貿易自由化の対象としようとして果たせなかった公共サービス部門の貿易自由化、競争市場化を目指す交渉のようだ。


ここでは、公共サービスの市場化の促進が議論され、いったん公共サービスを民営化したら、失敗だったからといっても元に戻せない(ラチェット)ようルール化することが図られようとしている。


たとえば、水道の民営化である。
南米では、水道の民営化によって、水道料金が高騰し、水質が悪化したり、あるいは水道会社が井戸水・雨水の取水制限をして、住民生活を困窮させたため、自治体が、民間会社との契約を解除するといった紛争が複数ISD提訴され、問題となった(この場合も、中央政府が提訴される。ボリビア、アルゼンチン等が被告とされている)。


背後には、世界銀行・IMFが途上国に金融支援する条件として、水道などの民営化を促したことがある。
水不足を見越して水を債券化して、ファンドとして運用する市場も形成されているという。
金融資本にとっては、水道事業の民営化は投資対象の拡大を意味する。


パリでも1990年に民営化した水道を2010年に再度公有化している。
(以上、月刊「日本」2014年7月号「私企業に『水』が奪われる! 水道民営化の罠」)


TiSAは、公共サービスの再公有化をラチェット条項等によって禁止するものだ。


貿易自由化・市場化する公共サービスとしてあげられている分野は、医療機関、大学・学校の認定、公共水道、ゴミ処理施設、発電所、放送の許認可と言った分野にも拡大している。


大阪市では橋下市長が水道の2015年度中の民営化を打ち出している。
TiSAルールでは、いったん民営化した水道事業を再度公有化することは許されない。


TiSAは、米国、EU、日本等の経済大国がリードして、最終的にWTOルール化することを目指している。


国際公務労連のブリーフィングによれば、この交渉は極秘交渉になっており、グローバル企業の恰好のロビーイングの場となっている。

TiSAの交渉は、現在ジュネーブにて8週間に1度、秘密裏に進められています。このような交渉は、企業の大々的なロビー活動の山場に当たります。


また、国際公務労連は、将来の政府から自由を奪う、民主主義を侵害すると警告する。

さらに、TiSAは将来の政府からも自由を奪います。秘密主義と協議の欠如とともに、将来の政府が拘束されることは、政府の説明責任をとうという市民の民主的権利に対して、重大な侵害であると言えます。

TiSAについては、幸いにもカナダ(だと思う)の研究者の論文が日本語で読める。
 「TISAと公共サービス 」(スコット・シンクレア、アドリアン・メルカティン・カークウッド共著)


国際公務労連のブリーフィングを貼り付けておく。


・TiSAは公共サービスの民営化に好都合な環境を生み出す。

・TiSAによって、政府は公共サービスを再公営化したり、新たなサービスを立ち上げたりすることができなくなる。

・TiSAは医療機関、大学、学校の認定、公共水道、ゴミ処理施設、発電所、放送の許認可と言った分野にも拡大している。

・TiSAは、労働者の安全、環境規制、消費者保護、ユニバーサルサービスの義務といった分野における政府の政府の立法能力を制限する。

・TiSAの対象は、いわゆるモード4のもと、移民労働者の自由な移動など、すべての部門と提供手段に広がる。

・TiSAで除外されるのは公共サービスのわずかな断片のみ。

・TiSAにはラチェット条項とスタンドスティル条項が含まれる。

・TiSAでは、内国民待遇に「ネガティブリスト」方式をとっている(その部門がリストから具体的にに除外されない限り外国事業者は全て現地事業者と同じ待遇を受ける)。


グローバリゼーションはTPPだけではなく、あらゆる機会を捉えて世界を飲み込もうとしている。


国際公務労連のTiSAに関するサイトはこちら


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2014年6月28日 (土)

グローバリゼーションと、対抗する専門家の不在

「景気回復」、「経済成長(金儲け)」の一言で思考停止するショックドクトリンの罠に日本は、完全に絡め取られている。


TPP、日本再生計画、国家戦略特区、規制改革実施計画…。
安倍政権は、TPPの波に乗り、「世界一ビジネスのしやすい国」を掲げて、率先して外資のために日本という国を投げ売りしている。


生涯派遣法、残業代ゼロ法、そして解雇制限法理廃止の追及。
労働者をもモノ化して市場に投げ込む労働者保護法制への執拗な攻撃。


生活者のために歯止めをかけるべき野党(社共を除く)は、与党とともに超党派でカジノ法を推進してグローバル企業に日本国民を差し出すことに精を出す。
避けられぬカジノ難民や治安維持のために国家予算を割いて、グローバル賭博業を日本に呼び込む。
どうかしている。


大阪市の水道を初めとして、公共サービスを解体して、市場に投げ入れようとする動きも急だ。


武器輸出3原則の見直しが言われたとき、これに反対する人たちは、せいぜいが同盟国との武器共同開発に向けられたものと理解していたのではないか。
そんな生やさしいことではなかった。
堂々と武器(技術)を輸出し、軍事ODAに踏み出す。
原発輸出が、原発事故の危険性を世界中にばらまく。
原子力協定でどのような約束をしようと、先々、全世界への核兵器の拡散につながらぬ保障はない。
戦後、営々として築いてきた「平和国家日本」のブランドを手放し、忌み嫌うべき「死の商人」へと踏み出す。
欺瞞であったとしても「平和国家」のブランドは外交・防衛上の日本の最大の強みだったはずだ。
これをいともやすやすと手放し、踏みにじる。


それもこれも「経済成長(金儲け)」のためだ。


「集団的自衛権行使」を容認して世界の普通の国になることと、「経済成長」「グローバリゼーションへの投身」は結びついている。


ネオリベラリズム、ウルトラ自由主義に哲学をもって対抗しようとする佐伯啓思氏や水野和夫氏ら気骨の論者は「経済成長」を自明視することに警鐘を鳴らし続けている。


残念ながら、極めて少数派だ。
今まさにマルクスが予見した世界に直面しながら、左派の学者から哲学のある本格的なグローバリズム批判が出たのを知らない。
みな学会の評価第一で、専門分野を避けながら、TPPに反対してみせているだけではないか。


憲法学者が憲法の最高法規性をいうならば、ISD条項によるグローバル資本主権国家への組み替えが、国民主権原理と基本的人権尊重原理を踏みにじることを明らかにすべきだろう。
国際公法の学者は、グローバル企業帝国主義は、国際公法の大原則に反することを主張すべきだろう。
行政法学者は、なぜ地方自治を蹂躙する国家戦略特区を初めとする、構造改革を体系的・専門的に論じ、違憲を主張しないのか。
僕が知る限り、法学者のだれ一人としてグローバル帝国主義を批判する専門分野の議論をしようとしない。


あげくは、TPPはアメリカ相手だからだめだが、ASEANや東アジアとの自由貿易は推進すべきという勢力に加担する。
自由貿易ルールの本質から目をそらす議論だ。
WTO後の現在、自由貿易のための新たなルールの導入は、「非課税障壁撤廃」のスローガンの下、すべからく暮らしの仕組みをグローバル資本にとって都合よく作り替えることに向けられているという本質を見ない。
自由貿易ルールは、食の安全も、消費者保護も、労働条件も、等しく底辺への競争へと駆り立て、人間の暮らしを破壊するという本質に目を向けようとしない。


日弁連も、グローバリズム、TPPについて頑なに沈黙を守る。
沈黙を守るということは、グローバリズム推進勢力に加担するということだ。


学者や日弁連が、集団的自衛権行使容認反対で、一丸になるのはいいだろう。
しかし、今、わが国を襲っているグローバリゼーションの波は、それに匹敵する重大な問題だ。
せめて集団的自衛権問題に割く力の、半分でも、いや4分の1でも、グローバリズム批判に向けるべきなのは明らかだ。


今や、僕の目に写る法律家の世界は、研究者も実務家もすべからくグローバリストに見える。
みなネオリベラリズム・ウルトラ自由主義を内在化させ、そのことに気づいてすらいないようにも見える。


佐伯啓思氏も水野和夫氏も、グローバリゼーションが破綻するのは、歴史的スパンでみれば、そう遠くはないという。
そうなったとき、法学者や法律実務家は、第二次世界大戦の敗戦と同様に悔恨の共同体を気取ってみせれば、責任を逃れられるとでも思っているのか。
目の前の、現実をそのままに見て、対峙すべきである。

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追記
「ショックドクトリン」という言葉は人口に膾炙しているが、本当に読んだ人が、どれほどいるのかと思う、周囲の雰囲気である。
ポーランド民主化を果たした「連帯」のワレサも、アパルトヘイト撤廃を果たしたネルソン・マンデラも、ネオリベラリズムの走狗となった。
自身の自伝によれば、韓国民主化の英雄である金大中も、ネオリベラリズムを推進した。
左派は新自由主義に絡め取られやすい。
まずは、そこを自覚してもらいたい。

2014年6月26日 (木)

規制改革実施計画249項目 対日要求の構造化

6月24日、政府は規制改革実施計画を閣議決定した。


内閣府の規制改革会議のページに「規制改革実施計画」がアップされている。


「規制改革実施計画」(平成26年6月24日 閣議決定)
(その1)(PDF形式:764KB)別ウインドウで開きます、(その2)(PDF形式:971KB)別ウインドウで開きます、 (その3)(PDF形式:864KB)別ウインドウで開きます


一覧を眺めるだけで、げんなりする。
249項目に及ぶ。
分野別の件数は以下のとおりだ。


健康・医療分野   63項目
雇用分野        6項目
創業・IT等分野  100項目
農業分野       20項目
貿易・投資分野   60項目


混合診療の拡大や、農協解体が目論まれているのはいうまでもない。


雇用分野では、国家戦略特区でブラック特区として批判を浴びた、解雇制限法理の廃止が執拗に追及されている。

労使双方が納得する雇用終了の在り方

諸外国の関係制度・運用の状況に関する調査研究を行うなど、労働契約関係の継続以外の方法を含め、労使双方の利益に適った紛争解決を可能とするシステムの在り方について検討を進める。

こんな項目がずらりと並ぶ。
あまりに多岐にわたるため、目を通すことすら不可能だ。
その全貌を理解している人は、一人もいないと言ってもよいだろう。


議論もされぬまま、この国の暮らしの仕組みを支えてきた規制は、次々と撤廃されていく。


改革事項を眺めていると、ふとデジャブ感を抱く。
これは米国の対日年次改革要望書や非関税障壁報告書の国内版ではないか。


昨年4月、日本はUSTRにTPP交渉参加を認められ、TPP交渉継続中、日米二国間で並行協議を行うものとされた。


今や、非関税障壁の撤廃は、交渉によって行われている訳ではない。
すでに、上陸され、作業は、国内で進められている。
規制改革実施計画は対日改革要求を、いっそうきめ細かく日本国内において実施しようとするものだ。
TPP交渉参加によって、グローバル企業のための国家の作り替えは日本国内に構造化されて進めらる。


景気回復や経済成長という言葉に惑わされたまま、この国はグローバル企業主権国家へと作り替えられていく。


今、私たちは、ショックドクトリンのまっただ中にいる。

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2014年6月20日 (金)

壊れていないモノを直すな  混合診療拡大の帰結

本川裕氏「統計データが語る日本人の大きな誤解」(日経プレミアシリーズ)の中に、興味深いグラフがある(社会実情データ図録1900)。

見やすいグラフはこちら

やや難解なグラフであるが、高齢化に伴って、各国の医療費が対GDP比でどのように変化したかを表している。
各国の折れ線グラフの点は、2011年までの一年ごとの各国の医療費がGDPに占める比率と、高齢化率(65歳以上の高齢者が人口に占める比率)の交点に打たれている。


注目すべきは、米国の医療費率の増大の仕方である。
ほぼ垂直にグラフが立ち上がっている。
つまり高齢化していないのに、GDPに占める医療比率が急激に上昇しているのだ。
高齢化が進展しているわけでもないのに、対GDP比率が10パーセント台から、17.7パーセントに急速に立ち上がっている。
グラフの点の数を数えてみると、こうした傾向は、80年代くらいから顕著になっている。
米国ほどではないが、英国も同様の傾向がある。
特別な要因が指摘できないとすれば、医療費が年々高騰したことを示している。
この医療産業の膨脹が、米国の経済成長の重要部分を占めていることを示している。


対して、日本は、高齢化率は最も高いが、医療費の対GDP比は相対的に低い。
しかも高齢化に伴う医療費の対GDP比率の上昇が相対的に緩やかになっている。
高齢化しても他国ほどには医療費の比率が増大しないということで、これは日本の医療制度のコストパフォーマンスが総体的に良好だということを示しているものと思われる。


政府は、「経済成長戦略」と称して、混合診療を拡大し、壊れていないモノ=健康保険制度に敢えて手を加えようとしている。
その先には、混合診療の全面解禁が待ち受けている。
健康保険が適用される件数が増大することは、健康保険財政を圧迫する。
不可避的に健康保険が適用される給付水準は切り下げられることになる。今なら保険適用されているCTやMRI、各種の検査が保険適用外になる。あるいは各種の薬剤が保険の適用外になる。


絶妙なバランスの上に成り立ち、コストパフォーマンスのすぐれた健康保険制度が破壊されることになる。
国民全体の健康が悪化することが避けられないだろう。


TPPでは、薬価に対する製薬メーカーの異議の制度化や、ジェネリックを抑制する種々の仕組みが盛り込まれている。
薬価を決める審議会での米国企業の発言権を強化することも狙いだ。


薬価が高騰すれば、今は当然と考えられているような基礎的な薬も、健康保険が適用されなくなる。
民間の保険会社の市場となる。


米国では、金融分野がGDPに占める比率が3割を超え、医療分野がほぼ2割を占める。
実に米国のGDPの内、半分を金融と医療が占める。
いわば作られた虚業による経済成長である。
このような経済は、いびつというほかないだろう。
しかし、「経済成長戦略」は、これこそ真っ当な戦略とする。


世界的に稀にうまくいっている健康保険の仕組みを壊すことが、「経済成長」には有益なのである。
ノバルティスなどで指摘される大学や医療機関と製薬会社の癒着は氷山の一角に過ぎない。
金融と医療をセットにして「経済成長」を図る政策は、国家ぐるみの癒着を正常なものと認識することを強いる日を招くだろう。


「経済成長」を自明視すべき時代が去ったと認識すべきことは「資本主義の終焉と歴史の危機」(水野和夫著・集英社新書)が示すとおりである。仮に「経済成長」を是とするとしても、TPPが招き寄せようとするグローバリズムによる「経済成長」は、一部富裕層を除く国民全体の生命・健康、幸福追求の権利を蝕む「経済成長」である。

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追記
本川裕氏の「統計データが語る日本人の大きな誤解」(日経プレミアムシリーズ)は、立場の違いを超えて、一読をお勧めしたい好著と思う。
氏の結論は次の通りだ。


『本書が統計データで明らかにした日本社会の本当の姿はこうだ。
 失業率はどんどん高まっているわけでなく、日本の経済力は高く、技術力も世界と比較して向上し続けている。
 経済格差も貧困も拡大しておらず、相変わらず日本は国際的には平等社会を維持している。
 また、世界一の「小さな政府」が効率的に機能しており、高齢化の割に医療費は非常に低く抑えられている。
 その中で食べ過ぎや肥満に陥らず、世界一の平均寿命を達成し、女性は生き生きと美しく暮らしている。
 これらのことから、日本人は、人類全体の希望の星となっている』


僕は、日々の仕事の中で、人々に広がる格差を実感している。
それでもデータが示す姿は日本がまだまだグローバリズムの観点からは序の口であることを示している。
TPPが壊すのは、まだ残されているこうした日本社会の良さでもある。

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