フォト

日本ブログ村

ブログランキング

  • マスコミに載らない海外記事
    本ブログとセットで読むと、世界のニュースと法律解説がセットでわかります。(;^_^A アセアセ…

  • * ランキングに参加しています *
    応援クリックしてもらえるととっても励みになります
    人気ブログランキングへ

« 日本-NATO新連携協定 関連メモ | トップページ | 遅ればせながら、マチベンの残暑見舞い »

2014年9月13日 (土)

朝日新聞「誤報」事件  秘密保護法の生け贄

朝日新聞の「誤報」に対するバッシングは、戦後、言論機関(朝日新聞がそう呼ぶに値するかどうかは別として)に対するものとして、かつて例をみない特異な事件に発展した。


沖縄密約を暴いた西山太吉記者は女性スキャンダルにすり替えられた人格破壊によって記者生命を絶たれた。
戦後初めての本格的な政権交代を成し遂げた小沢一郎は、事実無根の金銭スキャンダルによる人格破壊によって政治生命を絶たれた(ように見える)。
朝日新聞「誤報」事件も、人格破壊の域に達した。
そして、朝日新聞は、西山氏や小沢氏と異なり、人格破壊に屈して、頭を垂れた。



朝日新聞「誤報」事件は、確実に後世の歴史に残る。
「誤報」としてではなく、「暗黒の言論統制」の時代の幕開けとして、だ。


とりあえず何が対象にされたのかを確認しておくことに意味があるだろう。
「慰安婦」の「拉致」に関する吉田清治証言に関する「誤報」は、「軍」に対するものだ。
福島第一原発事故に関する吉田調書の「誤報」は、原発に対するもので「テロ」関連で軍事に通ずる。


吉田調書に関する誤報は、「命令違反」と「撤退」に関係する。
所員が、吉田所長の意図に反して福島第二原発へ移動したことを「命令違反」とするのか否か、それが「撤退」であったのか「待避」であったのか、いずれも表現の問題であり、価値評価に関わる問題だ。
事実関係の詰めに甘さがあったとしても、報道の現場では常に起こりうる問題だろう。


何より、これを問題にするのであれば、小沢一郎の金銭スキャンダルに関する執拗な報道は、「誤報」を超えて「捏造」だったと謝罪しなければならない。
TPPについて未だに農業・畜産業の関税の問題として報道し続けているメディアは全て誤報の山を築いている。
ウクライナ政権を正統政権として報道し続けているのも国民を欺く大誤報だ(革命政権であると主張するのであれば別だが、そのような評価は見たこともない)。


吉田清治証言に関わる「誤報」は30年、短く見ても20年前のものだ。
そうした遙か過去にさかのぼる報道も猛烈な批判の対象になる。
報道回数において朝日新聞が抜きん出ていたとしても、当時の国内メディアは大半が吉田証言を事実として報道していた。


吉田清治証言を除外しても、韓国の軍「慰安婦」を「強制連行」と呼ぶか、これも価値評価の問題だ。
物理的な強制力を使えば「拉致(略取)」である。
仕事の内容を秘匿し、偽って連れ去れば「誘拐」である。
いずれも立派な刑法犯だ。


自分の娘が、仕事の内容を偽った勧誘によって外国に渡らされ、性的労働に従事させられたことを想像すればわかるだろう。
この「誘拐」を「強制連行」と呼ぶか否か、これもまた価値評価の問題だ。
現に「誘拐」を「強制連行」と評価した裁判例も存在する。


その程度の問題であり、20年以上も過去のことであっても、ある日突然、猛烈なバッシングに晒されることを今回の事件は露わにした。
どこかでGOサインが出されれば、どのメディアが狙い打ちにされるかわからないことを言論に関わる全てのメディアに知らしめた。


なぜそうした「誤報」が起きたのか。
根本的な原因は、情報が「秘密」だからだ。
吉田調書はそれ自体が「秘密」である。
吉田清治証言に関わる「誤報」がまかり通ってしまったのは、戦前の軍部全体が秘密情報の山で、多くの歴史的な証拠資料がすでに廃棄されているからだろう。


とくに吉田調書問題を見ればわかりやすいだろうが、「秘密」とされなければ、「誤報」も起こらなかったのだ。
一連の聴取結果が、国民共有の財産として公開とされ、教訓をくみ取るべく活発な議論がなされれば、このような問題は起きなかったし、議論の対象や内容も自ずから違ったものとなったはずだ。


吉田調書について、朝日新聞自身が裏付け取材が不十分であったとしている。
そもそも「秘密情報」について、裏付け取材を十分に行うなどということが可能なのか。
十分な裏付け資料がなければ報道してはならないとすれば、今後、「秘密情報」に関わる報道はできなくなる。
事実上、「秘密情報」に関わる報道は存在しなくなるだろう。


12月には秘密保護法が施行される。
政府は、取材、報道の自由を侵害しないというが、今回の事件で、報道のハードルは一挙に上がった。
十分な裏付け取材もなく、報道すれば、即、刑事処分が待っている。
誤報の後の対応が重要だ等という話では断じてない。
そして、「秘密」について、十分な裏付け取材を行うのは不可能だ。
朝日新聞は、全言論界に、秘密保護法の威力を見せつけるための、生け贄とされたのだ。


メディアは、益々、政府公認情報しか流さなくなる。
われわれは、そうした時代に入る。
それを覚悟して朝日新聞「誤報」騒動を見る必要がある。


--------------------------
朝日新聞に対しては、いい気味だという思いもある。
朝日新聞は、執拗に弁護士増員を主張し、これに反対する弁護士・弁護士会に対して、バッシングを行い、今の弁護士窮乏化政策を導いた張本人だ。
経済基盤を失った弁護士は、権力に対する批判勢力とはなり得ない。
弁護士がまともであれば、おそらく、朝日新聞バッシングに対しては、強い異議が出されただろう。
日弁連会長の抗議声明も出たかもしれない。
しかし、世論の勢いに負ける今の日弁連から、そんなものは出ない。
「日弁連は秘密保護法に反対」している、にも拘わらず、だ。


小沢一郎に対する朝日新聞のバッシングも異様であった。
バッシングに積極的に加担した朝日新聞が生け贄にされた。


ナチスの暴圧を対岸の火事と見過ごした、どこかの牧師の述懐が、現実となっている。
「茶色の朝」が訪れようとしている。

* ランキングに参加しています *
にほんブログ村 政治ブログ 政治・社会問題へ

« 日本-NATO新連携協定 関連メモ | トップページ | 遅ればせながら、マチベンの残暑見舞い »

ニュース」カテゴリの記事

憲法」カテゴリの記事

トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/536116/60306209

この記事へのトラックバック一覧です: 朝日新聞「誤報」事件  秘密保護法の生け贄:

» 報道は人の知る権利を満たすためにあって、国の名誉なぞ何の関係もない: 川本哲也氏 [晴耕雨読]
https://twitter.com/xxcalmo Reading:首相 朝日新聞記事で日本の名誉傷ついた http://nhk.jp/N4FI668Y 何が「リーディング」だNHK。 安倍の与太を垂れ流しているだけではないか。 この天麩羅ゴルファーが「日本の名誉」と口にするたびに、日本の美観がぼろぼろと剥落していく思いがする。 人気blogランキング 安倍晋三「一般論として申し上げれば、報道は国内外に大きな影響を与え、時としてわが国の名誉を傷つけることがある。そういうことも十分に... [続きを読む]

» 朝日バッシングの本当の理由 [Dendrodium]
街の弁護士日記は「朝日新聞「誤報」事件  秘密保護法の生け贄」で、 今、日本では国を挙げて朝日新聞を叩いているが、これは秘密保護法の施行された後のマスコミに対する警告ではないかと言っておられる。   (一部引用) 12月には秘密保護法が施行される。 政府は、取材、報道の自由を侵害しないというが、今回の事件で、報道のハードルは一挙に上がった。 十分な裏付け取材もなく、報道すれば、即、...... [続きを読む]

» 輸出立国時代は過去の話し円安で輸出も景気回復は起こらない、物価上昇で国民生活は苦しくなるだけ [国民の生活が第一は人づくりにあり]
 輸出立国時代は過去の話し円安で輸出も景気回復は起こらない、物価上昇で国民生活は苦しくなるだけ。 一般人が経済動向の変化に気付かないことを利用して、日本が未だに輸出立国時代の経済構造とマスコミを利用して宣伝し、アベノミクスなら円安となり景気が回復するとしているが、一例を上げるならトヨタ、日産を始めてして自動車及び部品の主な生産拠点は海外に移動しており、輸出が利益源の国内企業は激減している。そして円安は、海外生産の部品類や天然ガスなどの原材料による赤字を拡大し続ける経済構造に変化している。安...... [続きを読む]

» 従軍慰安婦誤報問題 産経・読売・文春・新潮の右派メディアが掴んだ「空疎な勝利」 [Thinking quietly about people's rights]
 あせって不可せん。頭を悪くしては不可せん。根気ずくでお出でなさい。世の中は根気の前に頭を下げる事を知っていますが、火花の前には一瞬の記憶しか与えてくれません。うんうん死ぬまで押すのです。それだけです。決して相手を拵えてそれを押しちゃ不可せん。相手はいくらでも後から後からと出て来ます。そうしてわれわれを悩ませます。牛は超然として押していくのです。何を押すかと聞くなら申します。人間を押すのです。文士を押すのではありません。(1916年8月24日付 夏目漱石から芥川龍之介・久米正雄に宛てた手紙)... [続きを読む]

» 朝日新聞「誤報事件」の本質を突くブログが登場した! [インターネット政党 「ネット des 新党 」 のブログ]
〔画像:朝日新聞DIJITAL(http://goo.gl/8N3jhS)〕 ◆◆不破利晴のオリジナル・メールマガジンです。価格と面白さの両立を目指しています◆◆ Introduction: 朝日新聞の「誤報事件」について、読者のショウ様から極めて重要な情報が寄せられたので他の読者諸氏と共有し...... [続きを読む]

« 日本-NATO新連携協定 関連メモ | トップページ | 遅ればせながら、マチベンの残暑見舞い »