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2014年12月28日 (日)

隠されるOECD報告「所得格差の動向と経済成長への影響」

12月14日付備忘録にメモしたトリクルダウン理論は実証データによって否定されたとするOECD報告書。
これを報道したのは何と「赤旗」だけのようだ。
一般報道では、わずかに東京(中日)新聞がコラムの中でガーディアンの記事を引用する形で、OECDがトリクルダウン(理論)を捨て去ったと触れただけだ。


アベノミクスの金看板は金融緩和であり、トリクルダウン以外の何物でもない。
無理に官製春闘を誘導してまでトリクルダウンが真っ当な政策であるかのように装おうとしている。


OECDにトリクルダウンを否定されてはさぞ、不都合であろう。
トリクルダウンは、格差を拡大するだけではない。
経済成長政策ですらなく、逆に経済成長を押し下げるとまで言われているのだ。


かくてマスコミは挙国一致でOECD報告書を無視することに決めた。


これほどの重要文献であるから、誰かが翻訳しているだろうと、苦労して、日本語文献を探したら、何のことはない、結局、OECD東京センターに掲載されていた。
この国のメディアには、あきれ果てるばかりである。


OECDのプレスリリースの全文を貼り付けておく。


OECDによると、所得格差は経済成長を損なう

2014年12月9日

最新のOECD分析によると、所得格差を是正すれば、経済成長は活性化されるでしょう。所得格差の縮小している国は所得格差が拡大している国より速く成長すると分析しています。

成長にとって最大の問題は、下位中間層及び貧困世帯とそれ以外の社会層との格差が拡大していることです。重要なのは教育で、格差が成長を損なう主な要因は貧困層の教育投資不足です。

アンヘル・グリアOECD事務総長は「
この説得力あるデータは、大きく、さらに拡大しつつある格差問題に取り組むことが、力強くかつ持続可能な成長を促進する上で重要であり、こうした取り組みを政策論議の中心に据える必要があると示している。幼少期から万人の機会均等を促進する国は、成長し、繁栄する。」と述べました。

推計によれば、
メキシコとニュージーランドでは、格差拡大が過去20年間の成長率を2000年代後半の経済危機までに10%以上押し下げました。イタリア、英国、米国では、所得格差が拡大していなければ、累積成長率は6-9%高く、スウェーデン、フィンランド、ノルウェーでも、低水準からではあるものの、成長率はより高くなっていたでしょう 。他方、スペイン、フランス、アイルランドの場合は、経済危機前の格差縮小が1人当たりのGDPの増加に寄与しました。

本ワーキングペーパーは、
格差が経済成長に影響を及ぼす主要なメカニズムは、貧しい社会経済的背景を持つ子どもの教育機会を損ない、社会的流動性の低下をもたらし、技能開発を阻害することによるという新たな研究結果を示しています。

低学歴の両親を持つ個人は、所得格差が拡大するにつれ、教育成果が悪化します。これに対し、中学歴または高学歴の両親を持つ個人は、格差が拡大しても、ほとんどあるいは全く影響を受けません。


経済成長への影響は、社会の最下位10%の最貧困層と社会全体との格差によるだけではなく、下位40%の所得層との格差からも生じています。OECDによれば、貧困防止対策のみでは対策は十分ではありません。現金移転や質の高い教育、訓練、保健医療などの公共サービスへのアクセス拡大も、長い目でみれば、機会均等化を進めるための極めて重要な社会的投資です。

また、本ワーキングペーパーでは、適切に設計され、対象を絞った政策の下で実施される限り、税や社会的給付などの再分配政策が経済成長を損なうという研究結果 は見いだしていません。

ワーキングペーパー『所得格差の動向と経済成長への影響』およびその4ページの要約はwww.oecd.org/social/inequality-and-poverty.htm で入手・閲覧することができます。

>> 「日本語版」 はこちら

コメントや詳細情報については、OECD雇用労働社会政策局のステファノ・スカルペッタ(stefano.scarpetta@oecd.org 、tel. + 33 1 45 24 19 88)、OECD社会政策課のミカエル・フォースター(michael.forster@oecd.org 、tel. + 33 1 45 24 92 80)またはOECD雇用課のフェデリコ・チンガノ(federico.cingano@oecd.org、tel. + 33 1 45 24 92 80、OECD東京センター川口(naoko.kawaguchi@oecd.org, 03-5532-0021 )までお問い合わせください。

改めて「OECD報告要約日本語訳PDF」


以下、報告書の結論部分を掲載する。


いかなる政策で対応できるか

所得格差の趨勢的な拡大が多くのOECD諸国において成長を押し下げていることを示す統計データは、政策面に重要な結果をもたらす。特に、この統計データは、政策決定者は必ず成長促進と格差対策のトレードオフ関係に対処しなければならないとする見方に異を唱えるものである。OECDのこれまでの分析が明瞭に示しているように、成長の恩恵は自動的に社会全体に波及するわけではないが、新たな統計データは格差問題は成長にとり重要であることを示唆しており、成長促進と格差対策のトレードオフ関係という見方に終止符を打つ。格差の抑制や逆転を促す政策は、社会の公平化に繋がるばかりでなく、富裕化にも繋がり得るのである。
成長を阻害するのは貧困または人口の最下位10%の所得のみではない。その代わりに、政策決定者はより全体的に、どうすれば下位40%の所得層がうまくやっていけるようになるかに関心を持つ必要がある。この中には、経済の回復と将来の成長から恩恵を受けられないまたはそれらに貢献できない恐れがある、立場の弱い下位中間層も含まれる。貧困防止対策のみでは十分ではない。現金移転ばかりでなく、質の高い教育や訓練、保健医療などの公共サービスへのアクセス拡大も、長い目でみれば、機会均等化を進めるための長期的な社会的投資なのである。
政策は、低所得層の正規教育への投資不足という歴史的遺産にも立ち向かう必要がある。技能開発を促進するための戦略には、就労生活の全般にわたり、低技能者向けの職業訓練や職業教育を改善していくことも含まれていなければならない。


主要な結論:

  • 富裕層と貧困層の格差は今や大半のOECD諸国において過去30年間で最も大きくなっている。
  • このような所得格差の趨勢的な拡大は、経済成長を大幅に抑制している。
  • 所得格差の全般的な拡大は、他の所得層を大きく引き離している1%の超富裕層にも牽引されているが、成長にとって最も重要なのは、置き去りにされている低所得の世帯である。
  • 格差の成長に対するマイナス影響は、貧困層ばかりでなく、実際には下位40%の所得層においても見られる。
  • これは、とりわけ社会的背景の貧しい人々は教育に十分な投資をしないためである。
  • 租税政策や移転政策による格差への取り組みは、適切な政策設計の下で実施される限り、成長を阻害しない。
  • 特に、再分配の取り組みは、人的資本投資に関する主要な決定がなされる対象である子供のいる世帯や若年層を重視するとともに、生涯にわたる技能開発や学習を促進すべきである。


第三次(大惨事)安倍政権が「この道しかない」として進める、トリクルダウン(格差拡大)による経済政策には、一片の合理性もない。
OECDの提言とはまるで真逆のことをしようとしている。
消費税増税と法人税減税を同時に行おうという経済政策は、格差拡大路線であり、何と、経済成長放棄路線なのである。
1%の富裕層のためにこの国を収奪しようとするのが、安倍政権の目的なのだ。
TPPはこれを、国際法上の桎梏として構造化し、引き返せないものとしようとするものに他ならない。


それにしても、TPP絡みとなると、この国のマスコミは、都合の悪い情報を、これほどまでにひた隠しにする。
秘密保護法の所為でもなければ、萎縮のためでもない。
日本国民を家畜化することこそが、彼らマスコミの使命と心得ているからなのである。

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追記
念のため、海外メディアの日本語版をいくつか探してみた。
ちゃんと採りあげている。
公平に見て、採りあげるべき価値のあるニュースだということだろう。
この国では、ニュースを取捨選択するのは政府である。
情報は完全にブロックされ、アンダーコントロールされている。
改めて、北朝鮮状態 \(^^@)/




ウォールストリートジャーナル 2014 年 12 月 9 日 15:50 JST
所得格差が経済成長を阻害=OECD

ブルームバーグ 2014/12/09 13:38 JST
所得の不平等、経済成長の大きな阻害要因に-OECD報告書

ハンギョレ新聞  登録 : 2014.12.10 08:39 修正 : 2014.12.10 16:53
OECD “所得不平等が経済成長の最大障害物”

なお、要約版の解説は、kojitakenの日記さんの12月22日付が最も詳しいようである。

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