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2014年12月 1日 (月)

年金資産運用変更問題と総選挙

年金資産の大部分をリスク資産である国内外の株式と外国債で運用するドラスティックな運用変更が発表されたのは10月31日。


年金史上例のない重大事が起きたというのに驚くほど静かだ。連合以外に反対する組織はあるのだろうか。


実は、選挙になれば強力な宣伝力のある共産党が【消える年金】とでも名付けて国民的な関心事になることを期待していた。


各党の政策集が出たので、この問題がどう取り上げられているか、見てみた。
小さな記載で及び腰に見えるが民主党は株式運用比率を高めることに反対している。驚くことは他の党は年金資産運用変更問題に全く触れていない。あの共産党もだ。社民党が長期に渡って安全な運用をするとしているが、これだけでは何を言っているかさっぱりわからない。


ショックである。証券取引の専門家がリスクを指摘しているのに、民主党を除いて、この問題を無視している。


この状態は民主党以外、日本国債はリスク債であることを各党とも暗黙の前提としているとしか考えがたい。国債破綻織り込み済み総選挙という所以である。
そしてどの党も国債リスクをいわないということは、だれもこれに責任を負わないということだ。


はっきりしていることが二つある。


一つは、これで証券会社や信託銀行などが確実に儲かるということだ。GPIFは資産運用を内外の証券会社や信託銀行に広く委託している。今回の資産運用変更で約50兆円のリスク債券運用が増える(公務員共済はGPIFに一本化することが確定している。これらを合わせ運用変更される年金資産は200兆円に及ぶ)。


リスクが顕在化すれば、いずれ仕送り方式を採っている年金も破綻するだろう。積立方式への変更がなされれば莫大な金融市場が生まれる。
郵貯のみに気を取られていたが、とんでもない儲け話が転がっていたわけだ。


金融がアメリカのGDPに占める割合は30%、利益に至っては5割を占めるという。日本ははるかに及ばないだろう。


金融主体の経済成長を目指すというのが、今回の年金資産運用変更の主題であるから当たり前といえば当たり前であるが、大部分の国民には知らされていない。


各党が年金資産運用変更問題を選挙の公約に取り上げないのは国債リスクだからだが、この国債リスク論も日本の金融社会化を図る勢力から意図的に誘導されている可能性もありそうである。


二つ目は、社会保障が株式市場に従属する構造が無抵抗のまま固定化されることだ。これまで大部分の国民の生活に株価は無縁であったが、実生活が株価に従属することが「構造的に」固定される。


市場奴隷化政策が一気に構造化した。

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