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2015年1月 4日 (日)

誤報の反省 戦争責任の問題は、自らの言葉で語ろう 

朝日新聞が「権力の羊」になったとした件、新年早々の誤報でした。

天皇の新年の感想は、1月1日未明の発表だったようで、1月1日の朝日新聞を確認したところ、『天皇陛下が年頭の感想 「歴史を学ぶことが大切」』の記事が電子版のとおり掲載されていました
(朝日新聞には昨年12月14日朝、購読取りやめを申し出たが、販売店とは1月末までの購読申込がしてあったので折れて、実は1月一杯は配達されるのです)

孫崎さんのページでは配信記事自体が削除されてしまっているようですが、孫崎さんも訂正を打った方がよろしいのではないかと思うのですが…。


何を反省するかというと、裏付けをとらなかったことではなく、私たちが、自分の言葉で戦争責任を語らず、天皇の言葉を借りて戦争責任を語ろうとしている怯懦な姿勢である。
同調圧力が嫌いであるから、君が代斉唱や国旗掲揚には、無言の抵抗をするのが常の自分ですら、天皇の言葉を借りようとする意識があったから、失敗を犯したことを反省する。


この際だから、軍「慰安婦」問題に関して、思うところを書き流す。


この問題に関する欺瞞は、いくつもある。


まず、日本の加害責任全般にわたると思われる、一般的な言説「いつまで謝り続ければいいのか」について言う。


第1に、この国がまともに謝ったことはない。
ここで「この国」というのは、今やアベノミクスを通じて露わになってきた、戦争当時からのこの国の支配勢力のことである。
この勢力は、日本の「独立」後も、連綿として、対米隷属を続けることによって、中韓に対して、敗戦や植民地支配の誤りを認めてこなかった。
独自外交路線をとろうとした政治家が次々と排除され続けた結果、今や日本の政治勢力は、『対米隷属・敗戦否認』勢力しか存在しないかの様相を呈している。
白井聡氏の「永続敗戦論」が説く構造には全面的に賛同する。
したがって、今の日本国を代表する政治勢力は、「謝った」ことなど、ない。
本当は、見直したい河野談話や村山談話なのに、米国に言われて、無理矢理、承継すると言わされているだけで、この勢力は、戦後、一度たりとも真摯に謝ることもなければ、反省することもなかった。


第2に、左派も、実は、アジアに対する加害責任を認めるようになったのは、1990年代以降の、たかだか20年程度のことである。
70年代、極左グループが、ベトナム戦争に絡めて、日本のアジアに対する加害責任を主張したが、主流左派は、民衆は戦争の被害者であり、加害者ではないとして、加害責任封じ込めを図った。
(主流左派なるものは要注意で、米国の対日要求である弁護士の大増員を「市民のための司法改革」などとごまかして片棒を担いで推進して弁護士の弱体を図った。現在の弁護士の情けない体たらくをもたらしたのは主流左派である)
主流左派も、冷戦崩壊を経て、初めて加害責任を語り出したのである。


戦後、いち早く加害責任に正面から取り組んだのは五味川純平だ。
五味川純平の『人間の條件』は、日本人の被害も加害も描ききった、戦後娯楽文学の最高峰だと僕は思っている。
『人間の條件』は1956年から58年にかけて出版されている。
従軍体験がある人が社会の中核にいた時代に、1300万部を超える国民文学になっている。戦争体験世代に大受けしたのだ。
だれも自虐史観だの売国文学だのとは言いはしなかった。
1959年から1961年にかけて映画化され、これも大ヒットした。
文部省選定映画にすらなっている。
何度でも言うが、戦争体験世代が圧倒的に支持したのだ。
ところが、五味川は主流左派に嫌悪された。
ことほど左様に主流左派は、日本の加害責任に触れることにはアレルギーがあったのであり、左派が日本の加害責任を正面から主張するようになったのは1990年代以降のことでしかない。


つまり、日本が謝る姿勢を見せ始めてから、まだ、たかだか20年しか経っていないのであり「いつまで謝ればよいのか」という問い自体がナンセンスなのである。

(この項続く)


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