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2015年2月 5日 (木)

『イスラム国非難決議』について

本日、衆議院で「イスラム国」非難決議が全会一致で成立した。


安倍首相は、これで『人道支援』と称する、兵站活動=戦争に参加できると大喜びだろうが、そうはイカのキンタマである。


熟読すれば、『人道支援』とイスラム国をはじめとするテロに対する抗議とは、周到に切断されており、『国際社会』と協調して行えることも『安保理決議』の文言が入ることによって制約を受けている。


「わが国は、中東・アフリカ諸国に対する人道支援を拡充し、国連安全保障理事会決議に基づいて、テロの脅威に直面する国際社会との連携を強め、これに対する取り組みを一層強化するよう、政府に要請する。」


安倍談話の「テロリストたちを絶対に許さない。その罪を償わせるために…人道支援を拡大する。」という「その…ために」の部分がないのである。
そして安倍談話の「国際社会」(有志国連合)には「国連安保理」の冠がかぶせられたのである(つまり国連の主導する「国際社会」)。


連携すべき国際社会について、有志国連合と一線を画した意味は大きい。
米国政府が有志国連合にこだわるのは、国連の枠組みでは、中ロの拒否権によって、対テロ戦争ができないからで、国連の枠外での武力行使する国家の連合としての「有志国連合」を形成しようとしているからである。
イスラム国を弱体化させ、壊滅させるために武力行使をしているのは、有志国連合であるから、この枠組みではなく、国連の枠組みをもって「国際社会」であると位置づけた意義は、今回についていえば、大きいと言わざるをえない。


人道支援には、国際的に確立された原則があり、その中には中立性原則もむろん含まれている。
「人道支援は人道性、中立性と公平性の原則に基づいて提供されなければならない。」
(1991年12月19日国連総会決議46/182


国連安保理決議に基づく国際社会と連携した人道支援を名乗る以上、国連総会決議に従わなければならないのであるから、中立性原則には従わなければならない。


外務省の人道支援の中立原則の解説によれば、


「中立原則とは,紛争時にいずれの側にも荷担せず,いかなる場合にも政治的,人種的,宗教的及び思想的な対立において一方の当事者に与しないことである。」


人道支援に当たって、一方に荷担することは許されない。
当たり前なのである。


であるので、安倍総理は国会決議に拘束され、有志連合に荷担しようとしていた、『人道支援』を称する兵站活動は一切許されないのである。


安倍総理は中東歴訪でさんざん「イスラム国と戦う国に対する支援」を吹聴して、兵站活動の実施を既成事実にしようと企んだわけだが、国会決議は、似て非なるもの、安倍総理のたくらみを封じ込めた。


なお、国会決議が援用している安保理決議は、2014年9月24日安保理決議2178である。
長文なので、全てを読んでいないが、テロリスト勢力に対する資金や便宜の供与を禁止することなどを趣旨としており、この決議は「対テロ戦争」の兵站活動を行う根拠にはとうていならないものである。


国会決議は、見た目は勇ましいが、内容は勇ましくない。
国会決議が安倍総理の暴走に歯止めをかけた。


歯止めをかけたということを強調しておかないと、マスコミは報じないだろうし、安倍総理は理解していないだろうから、ここで強調しておく。


対テロ戦争から一線を画した決議を国会がなしたことの意義は大きい。
この成果は、今後に引き継がなければならない。
昨今の国会情勢の中では、貴重な勝利である。


ただし、安保理決議に基づく取り組みの強化や、国内外の国民の安全に触れている部分など、今後、表現の自由規制法制や監視体制と絡んでくる可能性が高い。
どう絡んでくるのか、この点については、警戒が必要である。


今頃なんだと言われそうだが、有志国連合の空爆は、国際法上、違法である可能性が高い。
集団安全保障措置としては、安保理の武力行使容認決議が必要であるが、存在しない。
イラク政府の要請があることから、かろうじてイラク領内での空爆には、集団的自衛権による根拠付けが可能かもしれないが、シリア政府の同意はないので、シリア領内での空爆は、国際法上、適法とされる余地はないようにみえる。
つまり、シリア領内で行われている空爆は、国際法上違法な、国家テロということになる。
日本政府は、米国主導の有志国連合によるテロにも屈してはならないのである。

 

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追記
知る限り、人道支援の中立性の問題に踏み込んだのは、赤旗だけである。
今回の、見た目は勇ましく、実は安倍総理を拘束する国会決議が共産党修正であるとしたら、貢献大である。

なお、僕の立場について誤解のないように付け加えれば、イスラム国の活動には一片の合理性もないと考えている。
彼らの目的はただ人々に恐怖をまき散らす残忍な振る舞いを行うことにあるようにしか見えない。

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