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« 『イスラム国非難決議』について | トップページ | 旅券返納命令事件のもう一つの解釈  「公益」による人権制限  内外説明の二重基準 »

2015年2月 9日 (月)

旅券返納命令について  日本国の利益又は公安を害する行為を行うおそれ

さすがにこの事件は、どの媒体も採り上げている。
渡航の自由以前に、報道の自由にも大きく関わるはずだ。


シリア渡航、外務省が強制阻止 カメラマンに旅券返納命令

日本経済新聞WEB 2015/2/8 1:34

 外務省は7日、シリアへの渡航を計画していた新潟市在住のフリーカメラマン、杉本祐一さん(58)に、旅券法に基づいて旅券(パスポート)を返納 させた。邦人人質事件を踏まえ、渡航を強制的に阻止した。杉本さんはトルコを経由してシリアに入国することを公言していたという。こうした措置は初めて で、憲法が保障する「渡航の自由」との兼ね合いで論議を呼ぶ可能性もある。

 外務省は警察とともに杉本さんに自粛を強く要請したが、渡航の意思を変えなかったという。外務省職員が7日、杉本さんに会い、命令書を渡して旅券返納を求めた。これに杉本さんが応じた。

 杉本さんは共同通信の電話取材に「過激派『イスラム国』の支配地域に入るつもりはない。シリア国内の難民キャンプなどの取材をするつもりだった」と話した。さらに「取材と報道の自由どころか、言論の自由を妨げる行為だ」と述べ、政府の対応を批判した。

 渡航阻止の法的根拠について、外務省は旅券の名義人の生命、身体、財産の保護という旅券法19条の規定に基づいて、緊急に旅券の返納を命じたとしている。この規定による返納は初めて。

 杉本さんは人質事件を巡る新聞のインタビューでシリアに入国する考えを表明していた。

 外務省幹部は6日、個人的意見としたうえで、イスラム国の支配地域を目指す渡航者の出国禁止措置を検討すべきだとの考えを記者団に明らかにしていた。〔共同〕


「渡航阻止の法的根拠について、外務省は旅券の名義人の生命、身体、財産の保護という旅券法19条の規定に基づいて、緊急に旅券の返納を命じたとしている。」
この説明だけを見ると、あたかも本人の生命、身体を保護するために緊急の必要があったかのように受け取られるだろう。


旅券法19条の該当部分は、つぎのとおりだ。


第十九条  外務大臣又は領事官は、次に掲げる場合において、旅券を返納させる必要があると認めるときは、旅券の名義人に対して、期限を付けて、旅券の返納を命ずることができる。
 旅券の名義人の生命、身身体又は財産の保護のために渡航を中止させる必要があると認められる場合


一般に当事者に不利益な処分を課す場合は、行政手続法による基準の明確化や聴聞手続き等の手続きをとらなければならない。
同条の第3項は、この手続きをとらなくてもよい場合を定めている。


 第一項の規定に基づき同項第一号又は第二号の場合において行う一般旅券の返納の命令(第十三条第一項第一号又は第六号に該当する者に対して行うものを除く。)については、行政手続法 (平成五年法律第八十八号)第三章 の規定は、適用しない。

第一項の規定に基づく同項第一号又は第二号の場合とは次の条項を指す。

 一般旅券の名義人が第十三条第一項各号のいずれかに該当する者であることが、当該一般旅券の交付の後に判明した場合
 一般旅券の名義人が、当該一般旅券の交付の後に、第十三条第一項各号のいずれかに該当するに至つた場合

要するに旅券法13条1項に該当する場合は、聴聞手続き等を定める行政手続法第3章は適用しないとなっている。

今回の場合、事前の聴聞手続きがなされた形跡はなく、外務省自身が緊急に旅券の返納を命令したと説明している。

13条1項に該当したということになるが、いったい、どれに該当したというのだろうか。

第十三条  外務大臣又は領事官は、一般旅券の発給又は渡航先の追加を受けようとする者が次の各号のいずれかに該当する場合には、一般旅券の発給又は渡航先の追加をしないことができる。
 渡航先に施行されている法規によりその国に入ることを認められない者
 死刑、無期若しくは長期二年以上の刑に当たる罪につき訴追されている者又はこれらの罪を犯した疑いにより逮捕状、勾引状、勾留状若しくは鑑定留置状が発せられている旨が関係機関から外務大臣に通報されている者
 禁錮以上の刑に処せられ、その執行を終わるまで又は執行を受けることがなくなるまでの者
 第二十三条の規定により刑に処せられた者
 旅券若しくは渡航書を偽造し、又は旅券若しくは渡航書として偽造された文書を行使し、若しくはその未遂罪を犯し、刑法 (明治四十年法律第四十五号)第百五十五条第一項 又は第百五十八条 の規定により刑に処せられた者
 国の援助等を必要とする帰国者に関する領事官の職務等に関する法律 (昭和二十八年法律第二百三十六号)第一条 に規定する帰国者で、同法第二条第一項 の措置の対象となつたもの又は同法第三条第一項 若しくは第四条 の規定による貸付けを受けたもののうち、外国に渡航したときに公共の負担となるおそれがあるもの
 前各号に掲げる者を除くほか、外務大臣において、著しく、かつ、直接に日本国の利益又は公安を害する行為を行うおそれがあると認めるに足りる相当の理由がある者

1号から6号までが該当しないことは明らかだ。
残るのは7号の「外務大臣において、著しく、かつ、直接に日本国の利益又は公安を害する行為を行うおそれがあると認めるに足りる相当の理由がある者だけだ。


過去、ジャーナリストは戦地にすら赴いて、実態を伝え続けてきた。
イラク戦争では戦闘の実態が伝えられたからこそ、その不毛な痛ましさが軍事による解決の虚しさを伝えることにもなった。
イラク戦争において米軍へ武器・弾薬を補給する航空自衛隊の活動の違憲性が明らかになったのも現地にジャーナリストがいたからである。
そのはるか以前から戦争のおろかしさを伝えるために、ジャーナリストの存在は必要不可欠であった。


今回のケースは、そうしたジャーナリストの活動が、「著しく、かつ、直接に日本国の利益又は公安を害する行為を行うおそれがあると認めるに足りる相当な理由がある者」とされた。


表現活動の萎縮ではなく、表現行為を直接に規制し、政府にとって都合の良い情報しか入手できなくする。
思えば、昨年10月、私戦予備陰謀罪を初めて適用したのも警視庁公安の独走ではなく、政府の意図に基づくものだったと言わざるをえないだろう。


2004年にイラクのアルカイダに斬首された青年の事件があり、処刑動画映像もインターネットに投稿されたが、今のように騒がれることはなかった。
イスラム国の事件は、明らかに政治利用されている。
アルカイダが軍産複合体と相互依存にあったのは明らかだ。
今は、イスラム国がその座を受け継ぎ、欧米軍産複合体と相互依存関係になっている。
日本の軍産複合体も、早足でそれを追っている。


イスラム国は、これから、ますます恐ろしげに演出されていくのだろう。


少しでも解毒するために、戦争10のプロパガンダの法則を改めて援用しておこう。


(1) 我々は戦争をしたくない。

 

(2) しかし、敵側が一方的に戦争を望んだ。

 

(3) 敵の指導者は悪魔のような人間だ。

 

(4) 我々は領土や覇権のためではなく、偉大な使命のために戦う。

 

(5) 我々も誤って犠牲を出すことがある。だが、敵はわざと残虐行為におよんでいる。

 

(6) 敵は卑劣な戦略や兵器を用いている

 

(7) 我々の受けた被害は小さく、敵に与えた被害は甚大。

 

 

(8) 芸術家や知識人もこの戦いを支持している。

 

(9) 我々の大義は神聖なものである。


 

 

(10) この戦いに疑問を投げかける者は裏切り者である。

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